あまったリナザウの使いみち

――Linux Zaurusでどこでもブログ(1)


 仕事の都合で、発売と同時にシャープSL-C700を購入したのが2002年12月のことだった。以来、C750、C760、C860とずっとこの Linux Zaurus を追いかけてきたが、実はメインでいつも利用しているのは、SL-C760 に落ち着いている。

 C760が発売されたとき、正直に言えば、これは好きになれないなと感じた。それまでのシルバーのデザインと比べ、C760の蓋は真っ白で、ご丁寧にも大容量バッテリーを覆う裏蓋が、白の安っぽいプラスチックだったからだ。
 そのひと月前に発売されたC750は、逆に真っ黒な蓋になっていた。俗に言う「ピアノ調塗装」というやつだが、使い慣れたC700と比べると、何とも形容しがたいデザインだった。

SHARP ザウルス SL-C760 もちろんデザインだから、好き好きだ。人によっては、この白が好きだの、この黒光りがたまんないだの、やっぱりC700のシルバーよ、だのと言いたい放題なんだろうが、やっぱりなあ、好きになれないよなあ、というのが最初の感想だった。

 ところが、C760を使い続けていくうちに、このデザインが何となく好きになっていったのだから不思議だ。見ようによっては、ちょっと大きな iPod みたい(んなわけ、ない)で、まあ白もいいかな、なんて思いはじめたのだ。前面に、大きなシールを貼ってしまったためかもしれないけど。

 その後、後継のSL-C860が発売されたが、今度は「シャンパンゴールド」のデザインになった。これがシャンパンゴールドか? という反論もあるだろうけど、それはC860の発表時にシャープの発表に記されていたのだ(PCWEB)。

SHARP ザウルス SL-C860 このC860もしばらく使ったし、解説本を書くために使い倒したが、結局いつも利用するのは、なぜかC760に落ち着いてしまった。デザインが、あまりに違いすぎたからかもしれない。

 Linux Zaurusは、PIM機能はあまり利用していないが、出先からWebを見たり、メールを送受信したり、あるいはエディタで文章を書いたりと、かなり日常的に利用している。もっとも利用しているのがHancomSheetで、これは経費の計算のために使っている。次がPortaBaseで、蔵書の管理などに利用している。

 この程度の使い方では、当然ながらC760で十分間に合う。となると、C860が余ってしまうわけで、余ったから、じゃあオークションで売ってしまおうか、なんて話もあるが、またLinux Zaurusの解説書を書くかもしれない、なんて可能性もあるわけで、やはり手元に残しておきたい。

 で、ふと考えた。じゃあ余ったC860をサーバにして、これでブログなんぞやってしまおうか、と。それが間違いのもとでした。


boaでサーバに変身

――Linux Zaurusでどこでもブログ(2)

 SL-C860をWebサーバにするためには、サーバソフトが必要だ。これにはサーバソフトとしては有名なApacheもあるが、C860にはちと荷が重い。まあ、やってやれないこともないし、それほど難しいわけじゃない。
 実際、Apacheをインストールしてサーバにしてしまう、という解説記事を書いたりもしている。が、やはり実際に使ってみると、使い勝手がそれほどいいわけじゃない。設定が面倒なのだ。

 サーバソフトのなかでは、もっとも手軽なのが boa だろう。これもザウルスの解説本を書いているときに見つけたソフトで、あまりのあっけなさに、大丈夫かいなと心配になるほど簡単なソフトだ。どうせ長くは続かないだろうから、とりあえず boa を使ってC860をサーバにすることに決めた。

 まず、boaをダウンロードする。これはBoa Webserverでダウンロードできるが、手軽にインストールするにはipk形式のファイルのほうがいい。こちらはZaurus Software Indexで探してみるといい。ここでboaが見つかるはずだ。

boaの最新版は、Version 0.94.14rc20(2004年6月現在)となっているが、Zaurus Software Indexからダウンロードできるのは 0.94.12 という版だ。まあ、いいかな。
追加削除「ソフトウェアの追加/削除」を起動する。
 実際にダウンロードされたファイルは、boa_0.94.12_arm.ipk という名前のファイルだった。このファイルをCFカードなどにコピーし、C860の「ソフトウェアの追加/削除」機能で本体にインストールしてしまおう。

boaをインストールする。  boaをインストールしても、画面にアイコンは出ない。また、boaを有効にするためには、ザウルスを再起動する必要がある。boaを起動したり停止したりするのが面倒だから、Benjamin MeyerさんのところにあるServer Managerもインストールしてしまうといい。
Server Managerもインストールする  と思っていま確認したら、Server Managerのダウンロードページに、boaも掲載されていた。ここからboaもServer Managerも、どちらもダウンロードできるから、こちらのほうが便利だ。

 ダウンロードしたServer Managerは、servermanager_1.0_arm.ipk という名前のファイルだった。これもCFカードなどにコピーして、「ソフトウェアの追加/削除」機能で本体にインストールしてしまおう。

 両方、つまり boaServer Manager の2本のソフトをインストールしたら、とりあえずシステムを再起動してみよう。システムを再起動すると、boaが有効になり、つまりC860がWebサーバになっているはずだ。

「設定」ホーム画面にServer Managerが登録されている



 また、Server Managerをインストールしたときは、「設定」ホーム画面に「Server Manager」というアイコンが登録されているから、これをタッチして起動してみよう。
Server Managerのプロパティ画面で、設定を変更しておく


 なお、アイコンを長押しして、「ルート権限で実行する」オプションにチェックマークを付けて有効にし、また「アプリケーションをVGA(480×640ドット)の画面に最適化して実行する」のチェックマークを外して無効にしておくといい。

Server Manager 起動画面

 Server Managerの起動画面。
ZEditorをインストールする

 ついでに、あとあとのためにテキストエディタの ZEditor もインストールしておくといい。
 もちろん、boaを利用するだけでなく、ZEditorは優れたテキストエディタだ。Blosxomの記事を書くときも利用するから、ぜひインストールしておきたい。

 ZEditorは、Satoshiさんが作成・配布されているフリーソフト。Satoshi Web Siteからダウンロードできる。これを書いている時点で、最新版は v.2.1.4 だった。
 ファイル(zeditor_2.1.4_arm.ipk)をダウンロードして、やはりCFカードなどにコピーして、ザウルスにインストールしておこう。