ブログの影響なのか、はたまた携帯電話の影響なのか、小説を書く人がこのところ増えているそうです。
そういえば、今年の文藝賞(第42回文藝賞:河出書房新社)を受賞したのは、三並夏さんという15才の女子中学生。もちろん、早くから才能が開花する方もいますが、それにしても若い。
でも、これを読めばそんな中学生でも、まして大学生でも社会人でも定年過ぎた熟年でも、小説が書けるようになるかもしれません。
「マンガでわかる小説入門」(構成:すがやみつる/作画:横山えいじ / ダイヤモンド社)は、小説の書き方をマンガでわかりやすく解説した本です。
小説の書き方というと、古くからさまざまな解説書があります。ただ、それらの解説書の多くが、なぜ小説を書くのか、小説を書くためにはどうすればいいのか、小説とは何なのか、といった概念論に終始しています。もちろん、それが重要だからであって、それなくしては小説は書けません。
ところが、そこを通り超すともういけません。実際に小説を書いても、それが小説という形になっていない。とくに最近の作家志望者の書くものは、まるで小説の体裁になっていないとか。読んできた小説の絶対量が少なすぎるんですね。だから体裁がわからない。
学校教育でも、ちゃんとした作文の基本を教えていないんでしょう。いや、教えているのかもしれないけど、それが実用的ではなかったり、教育そのものが間違っている。以前、学校の先生の作文というのを読む機会があったんですが、これでは生徒に作文を教えられないのは当然だという、酷いものばかりでした。
そんな先生にも読んでもらいたいのが、「マンガでわかる小説入門」です。この本には、小説を書く前のプロットの作り方から、必ずつまずく視点の話、さらにはパソコンで書くためのソフトの話まで、実に実戦的な話が盛り込まれています。
さらに巻末には、数ある小説の新人賞リストまで掲載されています。
実はこれらの話は、何も小説家志望者だけのことではありません。ブログが流行で、誰でも文章を書いて簡単にネットで発表できる時代になっています。が、それらのブログを書くときも十分に役立つ。
文章を書く前に読むと、やはり役立つのが「わが子に教える作文教室」(清水義範 / 講談社現代新書)です。こちらも新刊で出ています。
作文、あるいは小説といったものを見ると、どうも学校教育には任せておけない、という感じがあるのかもしれません。
文章など、体裁より中身が大事なんだ、という意見もありますが、中身のない文章も体裁が整っていればそれなりに読めるものなんです。いわんや、賞に応募しようとか、人に読んでもらおうなどと思うなら、中身とともに体裁にも気を使うべきでしょう。面白い小説なのに、体裁がダメなために最初から読んでもらえないものがたくさんあります。
もちろん、ネット時代になって文章の書き方、出し方が変わってきた、という感覚もあります。小説や、巷に氾濫している出版物を見ると、ちょっと違うんじゃないかという違和感を、個人的には抱いています。見せ方や文章、あるいは何ともいえない"感覚"が古いんです。これについては、まだ"感じる"というだけで、明確にこれと指摘することはできないんですが。
しかし、それらを踏まえた上で、なおかつ従来の小説や文章の書き方について、もう一度見直してみてもいいでしょう。そのために役立つ本です。
[参考]
・ボーイズラブ小説の書き方[CD-ROM付](花丸編集部/白泉社)
・キャラクター小説の作り方(大塚英志/講談社現代新書)
・ベストセラー小説の書き方(ディーン・R. クーンツ/朝日文庫)
・もう一度だけ新人賞の獲り方おしえます(久美沙織/徳間書店)
・ミステリーはこう書く!―最新完全メソッド(若桜木虔/文芸社)
・何がなんでも作家になりたい!(鈴木輝一郎/河出書房新社)