リアルタイムで読んでいたから、本になって何となくがっかりしました。「電車男」(中野独人/新潮社)です。内容がというのではなく、やはり書籍という形には合わないんだなあと。
「理系のための恋愛論」(酒井冬雪 /毎日コミュニケーションズ)のような本も売れましたから、理系だのオタクだのアキバ系だのというのが、もはや一般にもまったく違和感なく受け入れられているのはわかります。
というか、「博士の愛した数式」(小川洋子/新潮社)のように、理系の話がそのまま文学に昇華したものもあります。
出版前からあちこちで話題になったため、内容は紹介しません。ただ、出版の舞台裏がちょっとだけ出ているので、そちらを紹介します。新潮社の「電車男」の舞台裏です。担当編集者やデスク男、営業男など6人の、それぞれの舞台裏が掲載されています。
ただ、ちょっと首を傾げたのが、担当編集者の次の言葉です。
通常、お原稿をいただいてから刊行までというのは3ヶ月から4ヶ月かかるのに、たった2ヶ月しかありません。「全部希望通りに出来ますよ」とは申し上げたものの、印刷における問題もたくさんありました。
――新潮社
それが、「通常、3カ月から4カ月かかる」というのは、そりゃかかりすぎだろって。タイミングを見ているというのではない。通常そんなにかかるのを、何とか2カ月に短縮した、とまで言ってるのだから。
だからダメなんじゃん。そんな仕事してるから、書籍がますます売れなくなる1つの要因なんじゃん。ネット、テレビ・ラジオ、新聞、雑誌、書籍。これが現在の情報伝達の早い順番です。ネットと書籍が、トップとビリなら、ビリはビリなりの加工の仕方というものがなければなりません。それが「電車男」(書籍版)を見たとき、ネットの書き込みをただ紙に移しただけ、という期待外れの感想でした。うう、しょうがね~なあ。そして、たまらんなあ。
とか言いながら、実はいま原稿を渡してるのに本になっていないブツが3冊あったりします。編集に1カ月もかけるなよ、たまらんなあ。
投稿者 kazumi : 2004年10月27日 07:41