2004年07月28日

不良のための文章術

 毎日毎日、いくつものブログを巡回している。RSSリーダーに登録しているブログだけでも、100箇所近くある。
 それらのブログは、RSSリーダーで巡回すると、ほんの20秒ほどで新しく登録された記事のタイトルだけを取得してくれる。そのタイトルを見ながら、読みたい記事を指定してやると、新規の記事だけが表示される。

 実に便利なのだが、このRSSリーダーの欠点は、最初にタイトルしか取得されない点だ。タイトルだけでは、その記事が面白いのか役立つ情報なのか、判然としない。
 ただし、RSSの作り方によっては、概要も取得されて表示されるから、その概要をちょっと見るだけで、たいていの記事が判断できる。

 この点を逆に考えれば、RSSリーダーが普及すると、ブログではタイトル付けや概要の書き方が重要な意味を持ってくるということがよくわかる。

 タイトルは、記事とは別に付けることができるし、これは誰もがかなり気にしているだろう。

 概要は? ブログ、とくにMovable Type系のブログでは、RSSの概要として載せる単語数を設定することができる。単語数なんていうのは、日本語ではほとんど無意味なのだが、それでも概要が掲載できるという点だけでも覚えておいたほうがいい。

 RSSリーダーで概要を取得し、読むか読まないかを判断するなら、概要の書き方、つまりMovable Typeなら記事の書き方そのものにも工夫が必要になるからだ。これについては、また別の機会に書いてみよう。今回は、記事そのものの書き方について。
<不良>のための文章術
 書店で「<不良>のための文章術」(永江 朗/NHKブックス)という本を見つけた。永江さんの本だ。「不良のための読書術」(永江朗/ちくま文庫)に引っかけて「<不良>」とタイトルを付けたそうだが、もちろん本当の不良のための文章術なんかじゃない。

 <不良>とは、「不良品」、つまり「良品」ではない、という意味だ。その「良品」とは、教科書に載ってるような、正しくて美しい日本語・文章のこと。そういう「良品」ではない「不良品」の文章とは、どこか過剰で、何かが欠落しているが、おカネになる文章のことだ。

 プロの文章は読者のためにあります。読者ができないことを書き手が代行し、読者に満足を与える文章です。ただし、これは読者に媚びへつらい、おもねり、すり寄り、慰撫する文章を書けという意味ではありません。読者を苛立たせ、不快にし、立腹させる文章もプロの文章です。
――「<不良>のための文章術」(永江 朗/NHKブックス)

 随分前に連載していた某コラムで、これを実践したことがある。読者を挑発し、立腹させ、議論を巻き起し、そして疲れた。こういうのは、書きっぱなしの活字メディアでやることで、少なくとも読者がコメントできるような場では、あまりやらないほうがいい。その後の議論や誹謗をすべて引き受けるというなら、実に有効な手段でもあるんだけど。

 この本には、他にも実に有益な文章術が、具体的かつ実戦的に書かれています。自分の文章を出し、あるいはサンプルを出し、そのどこをどう書き換えればどうなるのか、といった実戦的な説明が続きます。
 ライターとしては、ぜひ読んでおきたい1冊です。

 さらに、ブログをやってる方なら、やはり読んで損はない本でしょう。おカネをとるかどうかは別として、他人に読んでもらう文章なら、やはり「不良」の文章のほうが楽しい。

 ただし、疑問符がないわけでもない。
 この本に書かれている文章術は、多かれ少なかれ、プロならほぼ実践していること。ライターが実践しなくても、編集者ならこれらの点を考えて原稿を直しているはず。

 そういうプロのライター、あるいはおカネのとれる文章が、現実にはおカネがとれなくなっているわけです。それはシステムにもおおいに問題があるんだけど、おカネのとれない、あるいはおカネなど目的としていないインターネット上の文章に、活字メディアが客を奪われているという現実があるわけです。

 それはことによると、文章術の問題ではないんじゃないだろうか、と最近考えています。内容も、もちろん問題で、活字メディアがいまのような内容しか扱えないのなら、早晩、活字メディアは衰退して、ことによったら消えてしまうでしょう。では、どうするのか――。どうしたらいいんでしょうかね。

投稿者 kazumi : 2004年07月28日 15:14

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