2004年12月31日

厳しさ続く出版業界

 今年も、とうとう最後の1日となってしまいました。

 最後の最後まで原稿を書いていて、まだ終わりません。来年は、元旦から原稿書きになります。明日だ。
 そんなわけで、ブログを始めたのはいいのですが、なかなか思うように記事も書けませんでした。

 その出版界ですが、今年は「ハリー・ポッター」「セカチュー」など記録的なベストセラーが出た年でしたが、しかし業界そのものはまったく上向いていない状態が続いています。

書店の倒産、増加続く ネット書店・コンビニが影響か - asahi.com : 経済
 「ハリー・ポッター」「世界の中心で、愛をさけぶ」などのヒットに今年恵まれた出版界だが、町の小さな書店にはすきま風が吹く。民間信用調査会社・東京商工リサーチのまとめでは、書店の年間倒産件数は00年以降、30件台後半から40件台の高水準が続く。今年は11月までで29件だが、負債総額は87億円とすでに03年を上回る。大型店やインターネット上のオンライン書店の増加などが背景にあるとみられる。(12/26)

 出版業界というのは、著者、出版社、取次、書店がすべて一蓮托生なんですね。どこかだけが潤ったりすることはない。もちろん、ごく一部が突出することがあり、たとえばハリー・ポッターやセカチューは、著者、出版社が潤ったはずです。
 しかし、全体的に見れば、小さなパイをいくらか余計にとったようなもので、とられた側はそれだけ食う分が少なくなる。しかも、パイそのものがどんどん縮小しています。ベストセラーが出れば、潰れる出版社、食えなくなる著者が、その分多くなるだけです。

 書店が倒産するのは、それはしょうがない。日本の出版流通では、書店の経営努力がほとんど見られない。経営努力をしても表に出ないし、努力しなくても潤うところもある。「努力が結果に結びつく」というこれまでの概念は、まったく覆ってしまうんです。

注文「1秒に32件」 米アマゾン、歳末商戦は過去最高 - asahi.com : 経済
米インターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは27日、歳末商戦の11月25日から12月23日までの間の売上高が過去最高に達したと発表した。日本版を含む7つのウェブサイトの合計で、1日に最大280万件(1秒あたり32件)の注文が入ったという。(12/28)

 インターネットの普及によって、本の流通が変わってきました。日本のように、著者から書店までが一蓮托生の国では、インターネットの影響はまだ表に出てきませんが、いずれ大きな影響が出てくるのは目に見えています。

 そのインターネットに合わせて、本作りや流通、それに本の売り方も変革すべきなのですが、これはいくら口を酸っぱくして進言しても、ほとんど聞き入れてもらえません。それでも口うるさく言わざるをえないのは、インターネットのヘビーユーザーとしてネット浸けになりながら、その対極ともいえる本を書いている者の務めかもしれません。

 ともあれ、2005年もよろしくお願いします。

投稿者 kazumi : 2004年12月31日 14:51

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