2004年12月02日

アキハバラ@DEEP

 3冊の本を前にして、悩んでしまった。
 1冊は、ちょっと前に購入した「アキハバラ@DEEP」(石田衣良/文藝春秋)。2冊目は、今日書店で見つけた「長恨歌 不夜城完結編」(馳星周/角川書店)。3冊目は、Amazonで取り寄せた「愚か者死すべし」(原寮/早川書房)だ。

 だいたいからして、こんな本を3冊も、同じ時期に出すというのは、何とも意地悪だ。しかもライターにとって、この時期はめちゃくちゃ忙しいのだ。本を読むより、原稿を書き、ゲラに目を通すほうが忙しい。活字だけでいえば、書いたり、自分が書いたものを読むほうが何倍も多いのだ。

 ただ、この3冊は、ぼくのなかでは微妙に位置が異なる。肩が凝らず、切れ切れの時間でも読めるのが石田依良。とにかく早く読みたいのが馳星周。じっくりと、ゆったりした時間を過ごしながら読みたいのが原寮。もううんざりなのが、自分の本。

アキハバラ@DEEP というわけで、一番最初に購入し、少し目を通した「アキハバラ@DEEP」(石田衣良/文藝春秋)を読み進めることにした。
 石田は、街を描くことにかけて抜群の力を持っている。渋谷もそうだし、代表作でもある池袋の描写もそうだ。それが今度は、アキハバラである。
 実は、うまいなあと感心するのだが、それ以上にならないのが石田の作品だ。うますぎて、技巧に走るところがある。この作品も、うまい。最初の数ページは、ひどく退屈だったが、途中から引き込まれ、3分の1ほど一気に読んでしまう。盛り上げ方が、ひどくうまいのだ。

 ただし、近未来的雰囲気を出しながら、出てくるマシンや機材、扱うテクニックが何となく古くさいのは、なんでだろう。
 扱っているのは、オタクだ。おたく(あえて平仮名で)が、負の意味で扱われるようになったのは、オタク(カタカナ)になってからじゃないだろうか。
 ぼくが最初に「おたく」という言葉を目にしたのは、86、87年だと記憶している。チャットで、「おたくですか?」と聞かれたのが最初だった。

 大塚英志の「「おたく」の精神史 一九八〇年代論」(大塚英志/講談社現代新書)によれば、おたくという語が初めて用いられたのは、83年の「漫画ブリッコ」だというから、ぼくが耳にしたのはだいぶたってからになる。ただし、その数年で、「おたく」という言葉が一般にも定着していたかどうかは疑問だ。

「おたく」というより、「ハッカー」や「ウィザード」のほうが、より「おたく」の本質に近かった。「おたく」と「ハッカー」や「ウィザード」では、範囲がかなり異なるだろうが、より近い意味合いで使われていたのだ。そして、その負の部分だけが突出してきて、やがて負のイメージとしての「オタク」という言葉が定着していったのだと思う。コミックを中心とする「おたく」と、PCを守備範囲とする「おたく」が混ざり合い、やがて負のイメージの「オタク」が出来あがる。その生息地が、アキハバラだということになる。

 そのオタクが始めたビジネスが、「アキハバラ@DEEP」だ。そして、アキハバラ@DEEPが始めたサーチエンジン「クルーク」を舞台に、主人公たちのテロが始まる、といった物語ですね。
 まだ半分しか読んでないけど。さあ、今年もあと1カ月。原稿書きに戻ろう。

投稿者 kazumi : 2004年12月02日 05:14 | トラックバック |


コメント

アキハバラ@DEEPは山田優出演の奴より、
生田斗真出演の方が面白い!!
ボックス君とタイコ君ダルマ君この三人がそろうと、
ショートコント見てるみたいで面白いっすww
第一話のオタク狩は許せん!
ラメBOXの友達もリアオタ狩に、あったなりよ・・・。
可哀想。10万も取られたって言ってたなりよ。
話変わるけどボックス君が女恐怖症は、しょうがないなり。
あれは、彼女の事をやった奴が、悪い。
ラメが言う事じゃないけど、言う!
ヲタじゃない人、ヲタをバカにするではない!
今、ヲタをバカにしてる人いずれか、お前たちがバカにされるだろう。また明日来るなりよ!

Posted by: ラメBOX : 2007年08月30日 17:06
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?