2004年09月08日

ライダー定食

 打ち合わせに出たついでに、新宿紀伊國屋に寄ったら、東直 己の新刊が出ていました。
ライダー定食
 「ライダー定食」(東 直己/柏艪舎)です。5編の短編小説が収録されています。
 この5編のうち、表題となった「ライダー定食」を除き、10年以上前に発表されたもので、東がプロとしてデビューする以前に書いたものです。というわけで、いわば東の原点ともいえる小説かもしれません。
 それについては、大森望氏が帯に書いています。「東直己の原点とも言うべきサイケホラー短編集」とある。

 久しぶり(でもないか。「札幌刑務所4泊5日」参照)以来だから、約3カ月ぶりになるけど、東としては“立て続け”って感じさえしてしまう。

 表題になった「ライダー定食」は、味付けの変わった小説だった。これまで読んできた東の小説が、かなりストレートだと感じていたのに対し、「ライダー定食」は最後の最後にどんでん返しがある。それまでの文章も、東らしくない不思議な味付けがされた文章だ。

「納豆箸牧山鉄斎」「ペレリヌム・ハペリタリア」「炭素の記憶」といった、いずれも東らしくない短編が続く。デビュー前の作品とはいえ、現在の文章と比べても、“東らしくない”と感じてしまう。試しに、寿郎社のサイトで連載されているStrong>「東直己の固ゆで日記」と比べてみてもいい。エッセイとはいえ、こちらのほうが現在の東の小説に近い。

 しかし、いずれにしてもデビュー前の小説を集めたとはいえ、東の新刊が読めただけでも幸福としよう。

投稿者 kazumi : 2004年09月08日 04:16

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