乱歩賞作家で、脚本家の野沢尚さんが亡くなったというニュースが届いた。
乱歩賞作家の野沢尚さん、自殺か 「眠れる森」脚本家 - asahi.com : 社会 作家で脚本家の野沢尚(ひさし)さん(44)が28日午後2時半ごろ、東京都目黒区の事務所で死亡しているのが見つかった。ひものようなもので首をつっており、遺書とみられる文書も見つかった。警視庁は自殺とみている。
小説の新作のプロットが進み、NHKの「21世紀スペシャル大河」の脚本の話も進んでいる矢先のこととか。
野沢尚の名は、乱歩賞を受賞した「破線のマリス」(野沢 尚/講談社)ではじめて目にした。乱歩賞受賞作ということもあり、発刊されるとすぐに購入して読んだが、本職が脚本家ということもあってか、映像的で面白い小説だった。
それ以降に発売された小説は、それほど多くない。多くないが、なぜかほとんど読んでいない。講談社から何冊か文庫化されてもいたが、手に取るだけで購入にまでいたらなかった。ぼくとは相性が悪かったのだろう。
その野沢が、なぜ自殺などしたのか。これからいろいろと憶測や噂などが出てくるのだろう。推理作家の最期としては、これも読者サービスかと思えるものでもあるが、それは不謹慎だろう。本人も周囲の人たちにとっても、深刻な問題だろう。
真相はわからない。だが、もの書きにとっては決して明るい未来ばかりじゃないことは確かだ。
今年の4月には、やはり作家の鷺沢萠さんが自殺されている(作家・鷺沢萠さん死去:自殺と判明――毎日新聞)。もちろん、人それぞれの理由があり、真相があるだろう。
だが、ものを書き、それを公表していくということには、さまざまな軋轢があり、影響がある。ときには、何でこんな因果な商売をしているんだろうかと、自分を呪いたくなることもある。その自分の気持ちに、どうやって折り合いをつけていけばいいのか、ときどきわからなくなることもある。
とかくに人の世は住みにくい……。