2011年08月17日

『仮面ライダー青春譜』を読む

5歳違うと、こんなにも違うんだ、と些か悔しい想いがした。すがやみつるさんの『仮面ライダー青春譜--もうひとつの昭和マンガ史』(ポット出版)を読んだ直後の感想だ。

もともとは、80年代後半からニフティ・サーブの「本と雑誌フォーラム」に連載されていた作品で、それが同氏のサイトで書き継がれ、やがてブログに移って続けられていた作品。ニフティでのスタートのときからの読者で、こちらも延々と楽しみに読ませていただいてきた。
それが1冊にまとまったのが「仮面ライダー青春譜」である。

仮面ライダー青春譜: もうひとつの昭和マンガ史
仮面ライダー青春譜: もうひとつの昭和マンガ史
すがや みつる
ポット出版
¥1,995円
ISBN:478080163X
2011/08/18発売


実は、すがやさんを知ったのは、コロコロコミックで「ゲームセンターあらし」を連載されていたときだ。78年~83年の連載というから、たぶん80年頃だと思う。こちらは20代半ば、週刊誌の取材で飛び回っていた頃である。
この頃からすがやさんは、大人向け学習マンガという分野を開拓されていて、「こんにちはニューメディア」「饅頭こわい」「一番わかりやすい株入門」などを立て続けに出されていた。

当時ぼくは、週刊誌や月刊誌で金融関係の記事も書いたりしていて、実はすがやさんの本が非常に参考になった。一歩も二歩も先を行くすごい人、という印象だった。

そんなすがやさんにはじめてお会いしたのは、88年のオフ会だった。想像していたよりもずっと若くて、すぐファンになってしまった。大人の学習マンガからコンピュータやネットの入門書も書き、やがて小説家に転身、そして早稲田大学のeスクールに入り大学院まで卒業してしまう。適わないなあ、素直にそう思う。

その頃の話が、350ページ近い「仮面ライダー青春譜」のなかの320ページ目ぐらいのところに出てくる。そう、この本は昭和42年にすがやさんが石ノ森章太郎氏に初めてお会いしてから、「ゲームセンターあらし」で漫画家としての居場所を見つけるまでの、漫画が一番輝いていた時代のマンガ史でもあるのだ。

それとともに、これは昭和という時代に興隆したカルチャーの一部を切り取った、隠れたカルチャー史にもなっている。第5章には、すがやさんの見習い編集者時代の話が綴られている。そこには次々と創刊されていく漫画誌の舞台裏や、漫画の編集現場、そして「赤頭巾ちゃん気をつけて」「海を見ていたジョニー」の漫画化や、「よど号ハイジャック事件」の劇画化といった話まで出てくる。

そういう時代に、ぼくも雑誌の世界に身を置きたかったという意味で、悔しい想いがしたのである。「仮面ライダー青春譜」には、熱い青春期だったマンガの持つ熱気が、いまでも隅々まで充満している。

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2011年05月06日

電子書籍『クラウド』(樹林伸)

 クラウドに関して、以前『雲のなかの未来』という解説書を出したこともある関係から、クラウドに関してはかなり興味を持っています。そのため、『クラウド』も出てすぐ読みたいなと探していたのですが、書店で見つからず、ついついそのままになっていました。

 この『クラウド』が電子書籍として出ていたので、ポチッてしまいました。

クラウド 1.0.0(¥900)

iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.1 以降が必要

クラウド 1.0.0
カテゴリ: ブック
価格: ¥900 App
更新: 2011/04/28


iPhone iPhone

 発売元の幻冬舎の解説によれば、あらすじは次のようになっています。

玉木つぐみは、社内不倫をしたことが噂になり、出社ができなくなっていた。家で一人でいる間にふと始めたツイッターで、何気なくつぶやいた一言に、見知らぬ誰かから返事がくる。『一人と書いて、カズトと読むんです。』男か女かもわからないカズトと短い言葉を交わしていくうちに、つぐみは閉ざされた心の中に何かが満たされてゆくのを感じていた。やがて、元彼・長瀬との辛い恋や仕打ちを打ち明けるまでに心を開いたつぐみだったが、その数日後、長瀬が何者かによって殺された。「もう、大丈夫だよ、つぐみ。長瀬はもう二度と現れない」――まさか、カズトが犯人なのか。次々とつぐみの周りで起こる不可解な出来事に潜む影の正体とは。140文字のありふれた出会いから始まった、前代未聞の犯罪。驚愕のネットワークミステリー。

 インターネット全盛、さらに日本でもTwitterが大ブームで、しかも先日のソニーの情報流出事件(ソニー、流出さらに2460万人分 のべ1億人超す恐れ)のように、個人情報が流出する危険がすぐ身近にある現在だからこそ、出てきた小説であり、発刊された小説でもあるんでしょう。

 著者の樹林伸さんは、『金田一少年の事件簿』『神の雫』など人気コミックの原作者としても知られていますが、まさにインターネット社会に警鐘を鳴らすネットワークミステリーです。

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2011年04月01日

電子書籍『限りなく透明に近いブルー』(村上龍)

 村上龍の衝撃的なデビュー作であり、1976年の芥川賞受賞作である「限りなく透明に近いブルー」が、iPhone/iPad用の電子書籍アプリケーションとして発売されました。「限りなく透明に近いブルー 1.0」です。

 基地の街(福生)で、麻薬と乱交に明け暮れる若者の姿を描いた同作品は、芥川賞選考会でも評価が二分するほどでしたが、群像新人文学賞、芥川賞を獲得し、衝撃的なデビューだったのは間違いありません。
 その後、「コインロッカー・ベイビーズ」「69 sixty nine」「愛と幻想のファシズム」、さらに中学生に向けて働くことへの興味を促す目的で書いた「13歳のハローワーク」など、問題作、意欲作を次々と発表しています。

 その村上龍のデビュー作「限りなく透明に近いブルー」が、iPhoneやiPadで読めるだけでなく、手書き原稿でも読めるのが、電子書籍アプリの「限りなく透明に近いブルー 1.0」です。
 同書は、発売直後から何度も読んでいますが、手書き原稿でも読めるというのは嬉しい限りです。村上龍ファンなら絶対におすすめ。

限りなく透明に近いブルー 1.0

iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.2 以降が必要

限りなく透明に近いブルー 1.0
カテゴリ: ブック
価格: ¥900 App
更新: 2011/03/31


iPhoneiPhone

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2011年02月23日

電子書籍『池袋ウェストゲートパーク』(石田依良)

 石田依良『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズ』が、App Storeで販売されています。

 テレビドラマでも人気が高かった同書ですが、石田依良の代表作ともいえるシリーズ。電子版にはシリーズ10冊と、無料版の無料立ち読み版が収録されています。

 しかも10作目の『PRIDE――プライド』は、初電子化作品で、このアプリでの先行販売です。
 石田依良ファンなら、ぜひ手元に置いておきたい電子書籍。無料の立ち読み版だけでも必見の価値ありです。


池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズ 1.0.0
カテゴリ: ブック
価格: 無料 App
更新: 2011/02/20


iPhoneiPhone


iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.1 以降が必要

PRIDE(プライド)―池袋ウエストゲートパーク<10>
PRIDE(プライド)―池袋ウエストゲートパーク<10>
石田 衣良
文藝春秋
¥1,600円
ISBN:416329810X
2010/12/09発売


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2011年01月26日

禁煙できるか?「ホントに楽しい電子タバコ」(スタパ齋藤)

 ここ2年ほど、電子タバコにハマっています。とくに昨年のたばこ値上げ以来、本格的に電子タバコに移行しようとしています。

 実は、かなりのヘビースモーカーでした。原稿を手書きで書いている当時から、たばこは原稿を書くときのリズムにとって手放せない道具でした。
 キーボードで原稿を書くようになって25年ほどになりますが、それでもたばこは手放せませんでした。習慣もありますが、リズムもある。さらにオーバーヒートした頭を鎮めるのに、たばこが非常に役立っていたんです。

 最初に吸った電子タバコは、国産の市販品。いまでは書店でも販売されており、宝島社のように120万部以上のベストセラーになっている(宝島社:「電子たばこ」210万部 今なお勢い衰えず - 毎日jp(毎日新聞))ものさえあります。

 この国産の電子タバコは、しかしたばこの代用にはなりませんでした。それが半年ほど。その後、電子タバコ Wiki*を読んだり、とくにスタパ齋藤の「スタパブログ」 電子タバコを読み、輸入ものの電子タバコを試してみたら、これがいいんですね。
 そんなわけで、昨年10月のたばこ値上げ後は、本格的に電子タバコに移行し、いまでは紙のたばこは外出時に少し吸う程度にまでなりました。世間で電子タバコの認知があまりないため、外出時には電子タバコは控え、紙のたばこを吸うという、なんともおかしな逆転現象になっています。

 紙のたばこから電子タバコに移行したのをもって、「禁煙か?」といわれると、どうも禁煙とは言えない。紙から電子に移行しただけで、相変わらず「煙」は吸ってるわけです。あ、これって電子書籍に似てるなあ。「紙から電子へ」移行してるわけで。

 その「紙から電子」へと、ぼくの喫煙ライフを移行させたきっかけとなったスタパ齋藤さんの、電子タバコ本が発売されました。

ホントに楽しい電子タバコ 選び方からカスタマイズまで
ホントに楽しい電子タバコ 選び方からカスタマイズまで
スタパ齋藤
リットーミュージック
¥945円
ISBN:4845619105
2011/01/25発売

 電子タバコ全般やその基礎についてはもちろん、海外流通品の購入方法やリキッドについて、さらに大容量電池ケース(MOD)についてなどの本格的な話題も取り上げられています。

 紙のたばこと電子タバコの一番の違いは、火を使わないこととタールが含有されていないこと。ニコチンよりもタールのほうがずっと発ガン物質が多く、紙から電子に移行するだけで、ガンの危険性は低減するといっていいでしょう。
 ニコチンは、少量なら興奮作用が、大量なら鎮静作用がありますから、原稿書きの身としては、この鎮静作用がうれしかったりもします。そんなわけで、まだ完全禁煙にはほど遠いけど。

 ちなみに、現在使っているのはeGoという輸入電子タバコ。BlueCigJapan楽天市場店などで購入できます。


電子たばこヘルシー コンセント充電タイプ
電子たばこヘルシー コンセント充電タイプ
宝島社
宝島社
¥2,500円
ISBN:4796677402
2010/05/28発売


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2011年01月21日

電子書籍『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん)

 三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』が、App Storeで販売されています。
 これまではiPhone版のみでしたが、バージョン1.1.0でiPadにも対応し、iPhoneでもiPadでも読めるようになりました。

 三浦しをんは、この『まほろ駅前多田便利軒』で、2006年上半期の直木賞を受賞しています。

『まほろ駅前多田便利軒』は、主人公の多田啓介が営む便利屋に、同級生だった行天春彦が転がり込み、次々と奇妙な仕事が舞い込み、これらの依頼に関わっていくうちに、さまざまな人間模様が見えてくるという物語。
 多田もちょっと変人ですが、行天はもっと変人で、それがなぜ変人になったのかも伏線として面白く描かれています。その変人たちが織りなす、いわば痛快物語ともなっています。

 そういえばこの『まほろ駅前多田便利軒』は、4月から瑛太と松田龍平のダブル主演の映画として、全国でロードショー公開されるようです。公式サイトはこちら→映画『まほろ駅前多田便利軒』公式サイト

まほろ駅前多田便利軒 1.1.0
カテゴリ: ブック
価格: ¥450 App
更新: 2011/01/21


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まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
文藝春秋
¥1,680円
ISBN:4163246703
2006/03発売


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2011年01月14日

電子書籍『「悪」と戦う』(高橋源一郎)

 App Storeで、高橋源一郎『「悪」と戦う』が販売されていたので、購入してみました。

 『「悪」と戦う』は、昨年5月に発売された小説。ランちゃん(3歳)と弟のキイちゃん(1歳)が、突然現れた謎の少女マホさんの指令で、パラレルワールドで「悪」と戦う物語――ストーリーだけを簡単に書けば、SF小説のようなノリですが、そこは高橋源一郎。「悪」とは何なのか、「世界」とは何なのかという永遠の命題が、この小説のなかに詰まっています。

 高橋源一郎にして、「いまのぼくには、これ以上の小説は書けません」と言わしめた物語です。
 デビュー作の『さようなら、ギャングたち』(1981年)は、当時の錚々たる文芸評論家、柄谷行人、蓮實重彦、吉本隆明などから絶賛されたものです。
 その高橋源一郎の最新作が、半年遅れとはいえ電子書籍で読めるのは感慨深いものがあります。書籍なら1,680円のところ、電子書籍なら900円というのもうれしい。


『「悪」と戦う」
高橋源一郎
価格:900円




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2010年08月19日

『アップル vs アマゾン vs グーグル』Twitterでプレゼント

 著者の手元に、発売前の『アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~』(マイコミ新書)の見本誌が届きましたので、またプレゼント企画を行います。

 Twitter上で、プレゼント企画のツイートをリツイート(RT)していただくだけで応募になります。
 抽選は、アタッターを利用しますので、"厳正なる抽選"だと思います。

ちなみに、このツイートです。締め切りは、8月25日正午まで。

アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~ (マイコミ新書)

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2010年08月17日

新刊『アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~』の目次をアップしました

 早いところでは今週末、全国でも来週には発売になる『アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~』(マイコミ新書)の、目次と「はじめに」をアップしました。

 本書では、アップル、アマゾン、グーグルの3社の現在のデジタルコンテンツを巡る現在の状況や、今後の3社の戦略や予測などについて解説しました。興味があれば、目次や「はじめに」を見ていただければと思います。
 アマゾンでは予約可能になっていますので、いまなら発売日にお手元に届きます。

著書一覧
『アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~』

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2010年08月07日

新刊『アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~』が出ます

 ネットを利用していれば、アップル、アマゾン、グーグルのそれぞれの動きが気になるもの。とくに今年初めから大きな話題になっている電子書籍に興味があれば、電子書籍や音楽配信、動画共有、それにテレビとネットの融合など、3社の動向には目が離せません。

 そこでこの3社について、現在の状況、とくにデジタルコンテンツを巡る覇権争いとその戦略、さらには今後の3社の予測などについて解説しました。

アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~ (マイコミ新書)
アップル vs アマゾン vs グーグル ~電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い~ (マイコミ新書)
武井 一巳
毎日コミュニケーションズ
¥819円
ISBN:4839935637
2010/08/24発売

 本書の目次や詳しい内容が、マイコミブックスに掲載されています。
 また、すでにアマゾンでも予約できるようになりました。

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2010年07月24日

『iPadではじめる新・仕事術』リンク先一覧

 新刊『iPadではじめる新・仕事術』でご紹介させていただいたアプリの、リンク先一覧を掲載しました。

ご紹介アプリリンク先一覧

 各アプリのリンクをクリックすれば、iTunesが起動して、詳しい内容を表示。またダウンロードができます。ご活用ください。

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2010年07月23日

『iPadではじめる新・仕事術』PDF無料ダウンロード開始

 今日からアマゾンでも購入できるようになった新刊『iPadではじめる新・仕事術』の、先頭50ページまでを、PDFで読めます。

 配布しているのは、版元の日本文芸社の以下の新刊紹介ページです。

 http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/pages/ISBN978-4-537-25779-3.html

 このページにアクセスし、「ダウンロードはこちら」のリンクをクリックすれば、PDFファイルがダウンロードできます。
 ダウンロードしたファイルをiPadのiBooksやi文庫HDに送り込めば、電子書籍として楽しめますよ。

投稿者 kazumi : 17:59 | コメント (0) | トラックバック

2010年07月16日

『iPadではじめる新・仕事術』新刊プレゼント

 新刊『iPadではじめる新・仕事術』のプレゼント企画始めました。
 ご応募は、TwitterのこのツイートRTするだけ。5名様に当たります。

 今回は、アタッターというサービスを利用してみました。これ、Twitterの懸賞やプレゼントなどがひと目でわかるというサービスで、またTwitterでプレゼント企画などを行う際に、ここからツイートすることもできます。
 アタッターを利用したプレゼント企画は、期間終了後にアタッターで抽選を行い、当選者を決めることができます。不正がないよう、こんなサービスを利用しておくと便利かなと思って、今回は利用してみました。

 というわけで、どしどしご応募ください。

投稿者 kazumi : 15:43 | コメント (1) | トラックバック

新刊『iPadではじめる新・仕事術』出ます!

 5月28日にiPadが届いて以来、毎日iPadを使っています。最近は、iPhoneよりも使う頻度が高いかもしれません。

 そのiPadについて、iPadでの情報収集や整理、情報発信など、仕事で使う方法について詳しく解説した本が出ます。

iPadではじめる新・仕事術
iPadではじめる新・仕事術
武井 一巳
日本文芸社
¥1,575円
ISBN:4537257792
2010/07/23発売

Amazonで購入 楽天ブックスで購入


 iPadで仕事をするとき、どんなアプリが便利に使えるのか、それらをどうやって利用するといいのかといった点を中心に、知的生産にiPadを利用する方法を解説しました。
 50本近くのアプリも紹介しましたので、iPad用アプリを探している方にも参考になると思います。

 なお、詳しい目次、それに「はじめに」の部分を、こちらにアップしてありますので、興味があればご覧ください。

投稿者 kazumi : 15:14 | コメント (0) | トラックバック

2010年02月19日

「携帯&iPhone ツイッターを使いこなす!」目次(正式版)

 大晦日、元旦と泣きながら原稿を書いていた(ウソ)本が、やっとアマゾンでも予約ができるようになりました。

携帯&iPhone ツイッターを使いこなす!
携帯&iPhone
ツイッターを使いこなす!

武井 一巳
日本文芸社/日文新書
760円
ISBN:4537257474
2010/03/06発売予定

 まだ詳しい情報は掲載されていないようですので、目次を掲載しておきます。

はじめに ……

第1章 ツイッターでビジネスが激変する
01 ブログ、SNSからツイッターへ
02 爆発的に普及するツイッター
03 日本でも急速に普及
04 ニューオーリンズのピザ屋は140文字で15%の売り上げ
05 100人体制で650万ドルを売り上げたデル
06 政治をも動かすツイッターの威力
07 続々と参入する著名人と企業
08 ボットが伝えるニュース配信から地震情報まで
09 すべての情報はツイッターに集まる
10 ついに公式携帯サイトが始まった!

第2章 だから、いますぐ「ツイッター」を始めよう!
11 ツイッターで新しいアカウントを作成する
 ◆携帯電話でアカウントを取得
 ◆パソコンでアカウントを取得
12 ツイッターの基本はタイムライン
13 ツイッター画面の見方と操作
 ◆ツイートの読み方・投稿の仕方
 ◆フォローの関係を読む
14 フォローを増やすための検索活用
15 情報を発信すればフォロワーが集まる
 ◆@アカウントで話しかける
 ◆RTでツイートを広げる
16 ハッシュタグで特定の話題を追う
 ◆ビジネス活用で生きるハッシュタグ
 ◆特定の相手へのメッセージの送受信
17 リスト機能でフォロワーを分類
18 アイコンの設定でもっと目立とう
19 本格利用には専用アプリケーションが便利
 ◆ブラウザで利用する
 ◆専用クライアントで利用する
★ツイッター有名人――すがやみつるさん

第3章 携帯でつぶやけば、ツイッターはビジネスの即戦力になる!
20 ケータイにベストマッチしたツイッターの威力
21 公式携帯サイトにログイン
22 特定の相手への返信とリツイートの方法
 ◆@ツイートの実際
 ◆RTツイートの実際
23 携帯電話で写真を利用する
24 フォローとフォロワー管理
25 パソコンと併用すればもっと便利に活用できる
26 米ツイッターのモバイル機器向けサイト
 ◆モバイル機器向けサイトへのアクセス
 ◆モバイル機器向けサイトでのユーザー管理
27 独自に開発されたモバツイッターなら、ツイッターがもっと便利になる
 ◆モバツイッターでタイムラインを読む
 ◆携帯電話ならではの「写ツ」投稿
 ◆モバツイッターでフォロワー管理
28 いつでも、どこでもを可能にする携帯ツイッター
29 ダイレクトメッセージが新たなビジネスチャンスを創造する
★ツイッター有名人――えふしん(藤川真一)さん

第4章 iPhoneでつぶやけばスグに最高の結果が出る!
30 アイフォーンユーザーの6割がツイッターを使う理由
31 アイフォーン標準のブラウザを使って公式サイトを閲覧してみる
32 つぶやくチカラがもっとアップする専用ツイッタークライアント
 ◆強力な検索機能を備えたTweetie 2
 ◆ビジネスユースに最適なTwitBird Pro
 ◆高速に、大量のツイートを閲覧するFastweet 2K
 ◆パソコンと同じ感覚で使えるTwitterrific
 ◆初心者にも優しい操作性で定評のあるNatsuLion for iPhone
33 アイフォーンとパソコンソフトとの連携でつぶやくチカラをアップする
 ◆最強の可能性を秘めたTweetDeck for iPhone
 ◆多種多様なタイムラインが売りのHootSuite
34 特定機能に特化した独自クライアント
 ◆目の前の映像につぶやきを映し出す「セカイカメラ」
 ◆翻訳機能に特化したTwitter Wold
 ◆音声変換で投稿できる「しゃべったー」
 ◆画像のツイートにはTwitpic

第5章 ビジネスツイッターを効果的に進める5つのステップ
35 企業がツイッターに続々参入してきた!
36 《ステップ(1)フォローするユーザーを増やす》
 まず100人以上のユーザーをフォローする
37 《ステップ(2)(3)たくさんツイートし、フォロワーを増やす》
 ブログや自社サイトとの連携で情報量が飛躍的に増える
38 《ステップ(4)フォロワーが増えたら、コミュニケーションを深める》
 オバマの成功は緊密なコミュニケーション力の賜物
39 《コミュニケーションを深めれば、ビジネスチャンスが生まれる》
 つぶやきでスポンサー契約を獲得したラジオ番組!?
40 《ステップ(5)新製品紹介や告知などのビジネス利用の道が開ける》
 グーグルもマイクロソフトも、ツイッターを追いはじめた
41 《ツイートの伝播状況をチェックすれば、ビジネスへの波及効果もわかる》
 ツイッターツールを使えばツイートの効果が測れる
42 《影響力のあるつぶやきを発信するコツ》
 ネット上の有益な情報をURL付きツイートで発信する

第6章 ツイッターで最高の結果を出す人の6つのやり方
43 マーケティングツールとしてのツイッターの威力
44 《最高の結果を出す6つのやり方――(1)リアルなフォロワーを増やす》
 反応しやすいつぶやきには“いま”の状況が活写されている
45 《最高の結果を出す6つのやり方――(2)タイムラインを独占するな》
 企業宣伝ばかりの連投は逆効果!?
46 《最高の結果を出す6つのやり方――(3)フォロワーはキャラにつく》
 キャラクターを意識しながら個性的なツイートを演出
47 《最高の結果を出す6つのやり方――(4)フォロワーとのコミュニケーション》
 顧客の要望などをきめ細やかに聞き取る姿勢が必要!
48 《最高の結果を出す6つのやり方――(5)常にリスクを自覚する》
 たったひと言のつぶやきで企業イメージを損なうことも!?
49 《最高の結果を出す6つのやり方――(6)リアルタイムがすべて》
 成功した人は、“いま”を上手くビジネスに取り入れた
50 ツイッターに乗り遅れるな!
★本書で紹介した関連サイト一覧
★本書で紹介したアカウント一覧

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2010年01月10日

Kindle for PCで青空文庫を読む

 著作権の切れた文学作品などを公開している青空文庫の各作品は、iPhoneなら豊平文庫i文庫SkyBookといった優れたブックビューアーで手軽に読むことができます。

 また、Kindle本体なら、青空キンドル [Beta]という便利なサービスを利用して、Kindleで読めるPDFファイルを作成。これをKindle本体に読み込ませれば好きな青空文庫の作品が読めます。

 では、Kindle for PCでは? これはちょっと大変です。Kindle for PCが扱える形式のファイルはAZWという形式。試しにPDFファイルやテキストファイルなどをKindle for PCのウィンドウにドラッグ&ドロップしてみても、読み込まれません。

 実はこのAZW形式というのは、Kindle専用の形式のファイルで、実際にはフランスのMobipocket社が開発したMobipocket形式(拡張子.mobi)で、アマゾンはKindleの発売に先がけてMobipocket社を買収しています。AZW形式というのは、このMobipocket形式の拡張版と考えてもいいようです。
 実際、Mobipocket形式のファイルをKindle for PCにドラッグ&ドロップすると、ちゃんと読める。

 つまり、青空文庫をMobipocket形式のファイルに変換すれば、Kindle for PCでも青空文庫が読めるというわけです。横書きだけど。

 Mobipocket形式のファイルを作成するツールを探したところ、アマゾンから提供されていました。これはAmazon Kindle's Publishing Programからダウンロードできますから、ダウンロードしたらファイルを解凍。なかに kindlegen.exe というプログラムが入っています。

 この kindlegen.exe はHTMLファイルをmobi形式のファイルに変換してくれるツールで、コマンドプロンプトで実行します。

 そこで青空文庫にアクセスし、Kindle for PCで読みたい作品のファイルのなかで、 「XHTMLファイル」をダウンロードしておきます。

 ファイルがそろったら、Windowsでコマンドプロンプトを起動し、kindlegen に続けて変換したいHTMLファイルを指定。これでHTMLファイルがmobiファイルに変換されます。
 変換されたmobiファイルをKindle for PCにドラッグ&ドロップすれば、Kindle for PCで青空文庫の作品が読めるというわけです。


 横書きのため、青空キンドル [Beta]などと比べると風情がありません。でも、青空キンドルのほうはPDFファイルのため、Kindle for PCでは読めないのです。
 mobi形式のファイルなら、Kindle for PCで閲覧でき、なおかつツールバーのフォントの大きさを変更するボタンで表示される文字の大きさが変更できたり、ブックマーク機能で栞をはさむこともできます。


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2009年10月17日

書評:ツイッター 140文字が世界を変える

 遅ればせながら、「ツイッター 140文字が世界を変える」(コグレ マサト , 他/マイコミ新書)を読みました。ツイッターって、Twitterですね。

 拙著「雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス」(NTT出版)のなかでも書きましたが、私がTwitterを始めたのは2007年4月16日のことで、最近の大ブレークよりかなり前のことになる。
 ちなみに、Twitterのアカウントをいつ作ったかは、When Did You Join Twitter?というサイトで、自分のTwitterのアカウント名を入力すると調べられる。

ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)
ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)
コグレ マサト , 他
毎日コミュニケーションズ
819円
ISBN:4839933162
2009/10/09発売
通常5~7日以内に発送

 実は、2年半前にTwitterを使いはじめたころは、TL(Time Line)に表示されるのはまだ英語のつぶやきばかりで、それほど面白いと思わなかった。ただし、ブレークする可能性があるんじゃないかとわりと使ってみて、Twitterの本ができないかと画策した。2007年中はこのTwitterの企画書をもって、いくつかの出版社や編集者に会ったのだが、当然ながら「何、それ?」状態で、どこも乗ってくれなかった。
 そうこうするうちに、2008年になって河出書房新社からTwitter活用ガイド(藤本 壱/河出書房新社)が出てしまった。
 この本を実際に担当した編集プロダクションとも仕事をしていたため、後から聞いたのだが、河出の編集者がTwitterをいやに気に入って、それで本を作ってしまったそうだ。

 そんな経緯から、Twitterとはつかず離れずでときどき使っていたのだが、再開したのが去年あたりから。すでに日本語のつぶやきがバンバン飛び交い、面白い状況になってきていた。

 その後の大ブレークにも、当然立ち会ってきた。勝間和代さんと広瀬香美さんの掛け合い漫才的つぶやきに楽しませていただき、朝日新聞の最初のつぶやきには大いにのけぞった。
 広瀬香美さんのヒィッヒヒー誕生の場面にも立会い、その後の「ビバ☆秋葉原」とすがやみつるさんバージョンの誕生も目にしてきた。

 そんなユーザーにとって、「ツイッター 140文字が世界を変える」の内容は、目新しいものではない。
 だが、Twitterのそもそものスタートや、Twitterを利用している企業の話などは、けっこう新鮮に読むことができる。
 Twitterとはどういうものなのか、なぜ面白いのか、世界に開かれているということはどういう意味を持つのか、従来のSNSとはどう異なるのか、今後どう発展する可能性があるのか、といったことが読み取れる本だ。

 折しも、日本の携帯電話向けに、専用のサイト(http://twtr.jp/)が10月15日から始まった。これまではモバツイッターを利用しているユーザーも多かったが、これで携帯電話からも気軽にTwitterが楽しめる。もっとも、iPhoneならもっと手軽で便利に楽しめるし、便利なクライアントアプリがたくさんあるのだが。

 Twitter関連の本は、この10月~11月にかけてたくさん出てくるようです。次のようなものがあるようですから、Twitterとその周辺のことに興味があれば、1冊手にとってみるといいでしょう。

[Twitter関連本]

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2009年09月15日

「クラウド・コンピューティング仕事術」を読む

 西田宗千佳さんのクラウド本第2弾、「クラウド・コンピューティング仕事術」(朝日新書)を読みました。
 前著「クラウド・コンピューティング - ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)では、クラウド・コンピューティングとはどのようなもので、現在それがどのように進行しつつあるのか、といったクラウド・コンピューティングの概念について解説していましたが、「クラウド・コンピューティング仕事術」ではもう少し具体的に、クラウドを利用する方法やその意義などについて解説されています。おもに著者自身のクラウド・サービスの利用法を解説したものです。

クラウド・コンピューティング仕事術 (朝日新書)
クラウド・コンピューティング仕事術 (朝日新書)
西田 宗千佳
朝日新聞出版
777円
ISBN:4022732954
2009/09/11発売

 すでにGmailやEvernoteのようなクラウド・サービスを利用しているユーザーには、あまり参考になる部分はないかもしれません。どちらかというと、ネットに不慣れなユーザーに向けて、クラウドの便利さや利用する上での注意点といったものをまとめた、といった本です。といっても、具体的に利用法そのものを解説しているわけではないため、やはり初心者にはあまり参考にならないかもしれませんが、クラウドを利用することの意義やその雰囲気は伝わるのではないでしょうか。

 その意味でいうと、こういう本はやはり難しいな(作り方が)というのが偽らざるところです。

 実際に、すでにいくつかのクラウド・サービスを利用しているユーザーでも、しかし第4章の「クラウドの危険性」の項には目を通しておくといいでしょう。クラウド本では、クラウドは便利だというのが基調で、あえてその危険性については記述を最小限にとどめているのが一般的です。
 しかし本書では、クラウドのリスクを「流出」「消失」「切断」の3つに分け、それぞれの意味や対処法などについても解説しています。
 逆に言うと、クラウドに対してこれらの点で不安をもっている上司や友人には、この部分を説明することでクラウドの利用を説得できるかもしれません。

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2009年09月10日

クラウド・サービスのリンク一覧

 拙著「雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス」の「クラウド・サービスを体験する」の章で紹介させていただいたサービスへのリンクを、こちらに掲載してあります。

 本を読んでいただいて興味を持たれたら、このページからリンクをクリックして移動できます。

(紙の本というのは、こういうところが不便なんですが、Webと連携させておけばもう少し便利になりますね)

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2009年09月09日

仕事するのにオフィスはいらない-ノマドワーキング

 昨年、ある企業を取材して驚いたことがあります。大企業で立派な社屋があるのですが、社員にはデスクがないというのです。
 代わりに、喫茶店のカウンターのような場所が社内のあちこちにあり、社員は出社してくるとノートパソコンを持って好きな場所に移動しながら仕事をこなす。

 IT系企業でしたので、そんなワークスタイルもあるのかと思ったのですが、これは企業の"ノマドワーキング"化なのかもしれません。

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
佐々木俊尚
光文社
798円
ISBN:4334035159
2009/07/16発売

「仕事するのにオフィスはいらない」(佐々木俊尚 / 光文社)で、著者は

「日本語に直訳すれば、「遊牧民」。北アフリカの砂漠や中央アジアの草原で、羊や牛を追って生活している彼らが、ノマドです。(中略)
 遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです。
 言ってみれば、「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのことです」

 と定義しています。しかし、現実にはすでに先進的な企業でさえ、ノマド的なワーキングが実践されはじめてきています。

 ノマドワーキングを可能にしているのは、ブロードバンド、サードプレイス、クラウドの3つのインフラですが、本書ではこれらの利用法を具体的に紹介しながら、さらにノマドワーキングのためのアテンションコントロールなどにも言及しています。

 このノマドというワーキングスタイルは、実はかつて流行ったSOHO(Small Office/Home Office)を発展させたものといってもいいでしょう。SOHOを発展させ、しかもブロードバンドの普及と快適なサードプレイスの出現、さらにクラウドによって、"どこでもオフィス"化が可能になり、仕事をするのにことさらオフィスは不要になってきたわけです。

 これは拙著「雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス」でも紹介しましたが、グループウェアのサイボウズの創業者である高須賀宣氏も、「企業経営のあり方もこの数年でまったく変わりました。ベンチャー企業では特定のオフィスを持たないことも普通です。プロジェクトごとに必要な技術者を集め、喫茶店でミーティングし、その場で新サービスを作ることも珍しくありません」と日経ソリューションビジネスのインタビューで答えています(日経ソリューションビジネス)。

 ただし、そういうワークスタイルは、フリーランサーならすでに何十年も前から実践してきたものです。30年以上前、まだ原稿用紙に手書きで原稿を書いていたとき、私の主な執筆場所は自宅の他に、出版社の編集部だったり喫茶店のカウンターだったりしました。半分以上は、そういうオフィス(自宅)以外の場所だったわけです。

 ノマドワーキングは、しかし着実にビジネス社会に浸透しつつあります。このノマドワーキングを効果的に実践するためのノウハウが、本書には詰まっています。しかも、本書が多くのページを割いて紹介しているアテンションコントロール……ノマドワーキングを継続するための精神のコントロール法は、これからオフィスを持たずに仕事をしていこうという人に、必ずや参考になるはずです。

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2009年09月04日

新刊「雲のなかの未来-進化するクラウド・サービス」

 去年ごろから興味を抱き、今年前半にいろいろと調べていたクラウド・コンピューティングについて、やっと1冊にまとめました。
 今日、見本が届きました。

雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス
雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス
武井 一巳
エヌティティ出版
2,310円
ISBN:4757102623
2009/09/11発売
近日発売 予約可

 アマゾンではまだ近日発売になっていますが、来週には書店やアマゾンにも並ぶと思います。

 帯には、「クラウド・サービスの利便性が実感できるノウハウ・解説付き」とあり、「これならわかる! ユーザーの立場に立った初めての解説書。これであなたも最新ITトレンドが見えてくる。」とあります。
 クラウド・コンピューティングについてはもちろん、実際にクラウド・サービスを使う方法、とくにセールスフォース・ドットコムやAmazon EC2、S3、それにGoogle Apps、さらには個人で利用できるさまざまなクラウド・サービスも紹介しています。

 クラウド・コンピューティングって何なの? どういう経緯で発生してきたの? 今後どうなるの? 実際にどんなサービスがあるの? といった疑問を解決してくれるものと思います。

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2009年07月13日

「フェイク・ゲーム」(阿川大樹)を読む

 新宿・歌舞伎町の女ふたり。ひとりは海外勤務の両親のもと、中国社会を転々として育った高岡麗美――リーメイ。日本人でありながら、中国人として歌舞伎町の女王にのし上がった女。
 ひとりは中国で育ち、日本に留学してきて歌舞伎町でビジネスを始めようとするリン・シャメイ――西山律子。中国人でありながら、日本人として歌舞伎町で自分の才覚だけでのし上がろうとする女。

 育ちも境遇も、そして国籍さえ異なる2人の女がクロスしたとき、歌舞伎町のアンダーグラウンドの社会が大きく揺れはじめる。

フェイク・ゲーム
フェイク・ゲーム
阿川 大樹
徳間書店
1,890円
ISBN:4198627290
2009/05発売
在庫あり。

 歌舞伎町を舞台とした、阿川大樹さんのフェイク・ゲーム(徳間書店 / ISBN:4198627290)を読みました。

 覇権の標的(ターゲット)(ダイヤモンド社)、D列車でいこう(徳間書店)とビジネス色の強い、いわば経済小説を書いてきた阿川さんが、歌舞伎町を舞台に書いた異色経済ノワールともいえる小説です。

 日本一の歓楽街である歌舞伎町には、射精産業ともいえるさまざまなビジネスが渦巻いています。キャバクラ、ソープ、マッサージ、クラブ、エステ、居酒屋……、これらの欲望に忠実な、だからこそ危険と知りつつ人々を引き寄せる街には、アイデアと才覚で新しいビジネスが次々と展開されています。
 ただし、欲望に忠実だからこそ、そこにはアンダーグラウンドの組織も関与しています。六本木から新宿に移ったリーメイは、ヤクザの資本をバックに歌舞伎町で次々と新しいビジネスを展開していきます。
 一方、居酒屋やマーサージ店などの仕事をかけ持ちしていたシャメイは、あるとき簡単に偽の日本国籍を手に入れる方法を見つけ、やがてそれをビジネスに発展させていきます。

 この前半部分の新しいビジネスのアイデアや展開方法などは、まさに阿川さんの真骨頂ともいえる部分でしょう。目新しさそのものはありませんが、緻密なビジネス展開にワクワク引っ張られていきます。

 この2人の女がクロスしたときから、まったく新しい展開が始まりますが、それは読んでみてのお楽しみ。リーメイにも、シャメイにも、それぞれ異なる魅力があふれていて、どちらも捨てがたい。その間をうろうろする準主人公の比嘉翔太に、羨ましささえ感じます。

 ところで、リーメイが歌舞伎町に移ってくるとき属したのが、黄亮文の光洋グループですが、これはもともと戦後すぐに黄の父親が靖国通り裏に開いた「内藤食堂」が母体になったという設定ですが、これはちょっと。
 歌舞伎町の成り立ちや、戦後の混乱期、あるいはその後の暴力団(ヤクザ)の支配などについては、たとえば歌舞伎町・ヤバさの真相 (溝口 敦 / 文春新書)などを見ると一目瞭然です。もちろん、本書に書かれていることがすべてではないでしょうが、歌舞伎町を少しでもかじっていると、どうも「内藤食堂」から中国系組織が生まれてくるという話に、あまりリアリティが感じられません。これをリアルに感じられるような書き込みが、ちょっと足りないのではないか、と思うのです。

 ただし、もちろんそれによって本書の面白味が損なわれることは、まったくありません。ビジネス、ノワール、サスペンスなどの要素が絡み合い、逆に分類しにくい小説ですが、新しいビジネス小説として楽しめます。
 阿川さんは、これまでのビジネス小説を突き抜けた題材や設定から、独自の世界を小説にする特異な作家です。次作でもぜひ、新しい舞台で考えもつかなかったビジネス小説を読ませてほしいものです。

歌舞伎町・ヤバさの真相 (文春新書)
歌舞伎町・ヤバさの真相 (文春新書)
溝口 敦
文藝春秋
809円
ISBN:4166607057
2009/06発売
在庫あり。

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2009年02月27日

新刊「ネットブックの本」が出ます

 昨年から注目していたことのひとつに、クラウド・コンピューティングがあります。

 クラウド・コンピューティングというのは、詳しく書けば長くなりますが、要するに従来のWebアプリケーションを使うコンピュータの利用形態ということになります。

ネットブックの本 SSDモデル対応版 for Windows XP
ネットブックの本 SSDモデル対応版 for Windows XP
武井 一巳
毎日コミュニケーションズ
1,764円
ISBN:4839930791
2009/02/28発売
詳しくはこちらへ

 このクラウド・コンピューティングを見ていると、昨年から出てきたいわゆるネットブックという範疇の小型ミニノートパソコンが、PC業界をも牽引するほど急成長を遂げている理由がわかるような気がします。

 ネットブックは、クラウド・コンピューティングを体現するためのパソコンであり、従来の何でもハードディスクに溜め込むといった利用法とは異なっています。
 利用するのはWebアプリケーション、データの蓄積はネットストレージ。
 そのためにはインターネット接続環境の確保と、便利なWebアプリケーションの利用が必要になってきます。

 これらの点を、ASUSのEee PC(S101)を使いながら解説しました。
 といっても、もちろん他のノートパソコンや、デスクトップマシンユーザーにも大いに参考になると思います。

 今回も、「ネットブックの本」のCMを作ってみました。

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「ネットブックの本」(武井一巳著)絶賛発売中! 

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2009年02月13日

新刊「1秒を争う人のメール術」が出ました

 長く放置していました。公私共々いろいろなことがあり、ブログを書ける状態ではありませんでした。
 田舎の親父が亡くなり、その後片付け。長くお付き合いしてきた出版社の倒産……。

 いろいろありましたが、少し落ち着いてきました。
 というわけでもないんですが、久しぶりの新刊が出ました。

1秒を争う人のメール術―仕事がグングン加速する101のスゴ技 (成美文庫 た- 18-1)
1秒を争う人のメール術
仕事がグングン加速する101のスゴ技

 ・武井一巳
 ・成美文庫 / 成美堂出版
 ・2009/02/20発売
 ・ISBN978-4-415-40103-4
 ・552円+税

 電子メールの活用法や、さまざまな便利なサービスを紹介しました。初心者向けですが、紹介しているサービスやその使い方などは、メールを日常的に利用している方にも役立つものと思います。

 新刊が出たついでに、広告を作ってみました。これもWebサービスを利用したものです。コマーシャライザーというサービスを使うと、こんな広告が簡単に作成できます。





※ブラウザのJavaScriptをONにして、Flash Player9以上をインストールしてください。

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『1秒を争う人のメール術』絶賛発売中! by 武井一巳さん




カンタンCM作成サイト コマーシャライザー





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2007年05月29日

D列車でいこう

 昨年、「覇権の標的(ターゲット)」ダイヤモンド社の第2回ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞を受賞した阿川大樹さんの新刊です。前作はシリコンバレーを舞台にしたベンチャー企業の立ち上げを描いた本格的ビジネス小説だったのに対し、今回は田舎の廃線寸前の鉄道を再建する話。

D列車でいこう
D列車でいこう
阿川 大樹
徳間書店
1,785円
ISBN:4198623295

 元銀行支店長、銀行員でMBA取得の才色兼備の銀行ウーマン、鉄道マニアの元官僚――この3人で田舎の廃線寸前の鉄道を再建する。
 工学系の研究者になるつもりが銀行に就職し、下町の支店長までいきながら、傍系企業の役員へ出向を命じられた河原崎慎平。総合職で入社したものの、女子行員という理由だけでキャリアパスに乗れなかったため、自力でMBAを取得してしまった深田由希。元官僚で、いまは2億円の金を持ちながら鉄道写真を趣味とする田中博。この3人が、廃線が決まった山花鉄道の再建に乗り出した。会社名は「ドリームトレイン」。

 鉄道を黒字にするためには、乗客を増やすしかない。観光資源をもたないどこにでもある田舎に、客を呼ぶためにはどうしたらいいのか。ここから3人の破天荒なアイデアが爆発していきます。

 団塊の世代とそのちょっと下、そして30歳の才女が考えだしたアイデアは、これまでの鉄道経営には決して上がってこなかったチャレンジです。ただし、それだけ敵も多い。静かに廃線を迎えようとしている町長兼山花鉄道社長や、体面と保身だけで動こうとしない国交省。しかし、そんな3人に感化されたのか、村の人々や村を離れた若者などが少しずつ変化し、3人を応援してくれるようになります。

 ローカル線を再建しようとする3人が、ドリームトレイン以前と比べてどんどん元気になっていくのがわかります。その元気が、読む側にも影響するのか、読んでいるうちにこちらも元気になってきます。

 前作のビジネス&サスペンスに比べ、今回はビジネス色はそれほど強くないながらも、やはりプロジェクトXを見ているようなビジネスの面白さも描かれています。しかも、彼らの出すアイデアが、ヲタクやネットにも通じていて、これがまたいかにも現代的です。

 著者には、もっとビジネス色の強い小説を書いて欲しいと思わせるものがありますが、軽めで、しかも元気の出る小説が読みたいというなら、うってつけの1冊です。

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2007年05月01日

雑誌立ち読みサービス

 運動不足解消と情報収集と、それに趣味で、ほぼ毎日近所の書店に出かけ、ときには2、3軒もハシゴすることがありますが、面白いサービスが始まりました。

凸版印刷、NTTコムとWeb上で立ち読みできる雑誌情報サイト「デジ×マガ」を開設--日経プレスリリース

 凸版印刷株式会社は、NTTコミュニケーションズ株式会社と共同でWeb上で雑誌を立ち読みできる雑誌情報サイト「デジ×マガ」を4月23日よりサービス開始しました。
 NTTコミュニケーションズは、ネットユーザーの集客プロモーションとサイト運営、凸版印刷は、出版社への掲載促進とコンテンツ制作・運用を行います。


 スタートしたのは、デジ×マガ。実際にアクセスしてみました。

 立ち読みするためには、ActiveXのインストールが必要ですが、これは「立ち読みする」というボタンを押し、画面の指示にしたがっていけば自動的にインストールされます。
 立ち読みできるのは、AERA English、週刊朝日、ダ・カーポ、オレンジページなど、現在15誌。表紙や目次など、最大20ページ前後で、バックナンバー情報も見られます。

 面白いサービスで、これでもう少し立ち読みできるページや雑誌が増えれば、書店に行く理由も少なくなりそうです。逆に、出版業界はこうして自分で自分の首を絞めていると言えないこともないんですが。

 そういえばAERAでは、携帯アドレスを登録しておくと、日曜日に次号の目次を送ってくれるサービスがあります。あるいは、Fujisan.co.jpでは、いくつかの雑誌の目次をRSSで取得できるようになっています。また、エキサイトにも雑誌ヘッドラインというサービスがあり、ここでもいくつかの雑誌の目次がRSSで取得できます。

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2007年02月27日

Seconf LifeにBook Off

 とうとうここまでてたか、というのが最初の感想でした。この春、日本でも始まるSecond Lifeですが、英語版Second Lifeに、あのブックオフ(Book Off)が進出し、バーチャル店舗を出店したそうです。

トピックス BOOK OFF

話題の仮想空間「Second Life」にて"遊べる"体感型のバーチャル店舗を出店!

話題の仮想空間「Second Life」にてバーチャル店舗を出店いたしました。
ブックオフの懐かしいCMを巨大スクリーンでストリーミング配信。


 ブックオフの店舗(BOOK OFF Second Life店)は、ShibuyaというSIM(島)にオープンされ、1階にはカフェ風スペース、2階、3階には本棚で作った3D迷路があり、この迷路を抜けるとアバター用のエプロンとはたき、オリジナルTシャツなどがもらえるそうです。

 仮想世界でありながら、リアルマネーが動いたりして、ちょっと気のきいた企業なら早めに手を出しておきたいというのは首肯けます。
 しかし、出版社が進出する前にブックオフができてしまうというのは、何とも出版の現状をあらわしているような。

 折しも、集英社の「月刊ジャンプ」が、6月発売の7月号で休刊するというニュースも出たばかりです。

ITmedia News:月刊少年ジャンプ休刊…出版不況に勝てず

月刊少年ジャンプ休刊…出版不況に勝てず
出版不況と多メディア化の流れは、ついに月刊漫画誌を代表するブランドまで飲み込んだ。集英社の月刊少年ジャンプが6月発売の7月号で休刊へ。


 それにしても出版業界は元気がありません。まあ、当然といえば当然で、このネット全盛時代にネットに対応もできず、旧態依然とした流通システムの上で営業してるんですから。まあ、いまだにネット上ではビジネスモデルが見えてこないというのも理由ではあるのでしょうが、対応がまったくできていない。だから主な収入源である広告にさえ見放されてしまうのです。
ITmedia News:ネット広告費、雑誌に迫る テレビなど4媒体は2年連続前年割れ

ネット広告費、雑誌に迫る テレビなど4媒体は2年連続前年割れ
電通が発表した日本の広告費調査によると、昨年のネット広告費は3割増の3630億円。ラジオの2倍を超え、雑誌に迫る勢い。一方でマスコミ4媒体は2年連続で前年割れとなり、今年もマイナス予測だ。


 出版界だけでなく、新聞やテレビなども低迷しはじめているのですが、これらのマスメディアのなかでは出版がもっともネット化に乗り遅れているといっていいんじゃないでしょうか。
 楽をしてきたツケが回ってきた、というべきかもしれません。

投稿者 kazumi : 13:47 | コメント (0) | トラックバック

2007年02月07日

リアル書店とネット書店

 出版業界や書店が、生き残りをかけてさまざまな取り組みを行なっている。そのひとつに、書店の検索機能がある。

 ほしい本を瞬時に探し出す利便性で急成長を遂げた「ネット書店」に負けじと、既存の書店が在庫の検索サービスに磨きをかけている。携帯電話に店内の地図を表示して書棚の前まで案内してくれたり、他社の書店の在庫まで調べられたり…。街中の書店でも、お目当ての1冊との距離は確実に縮まっているようだ。――イザ!-ライバルはアマゾン!在庫検索サービス競う書店

 記事には、紀伊國屋書店がはじめた携帯向けサイト「キノナビ・モバイル」(http://mobile.kinokuniya.co.jp/)や、三省堂神田本店のタッチパネル端末などが紹介され、実際の書店の声として次のように紹介されている。

「店の近くにいるときに携帯サイトを使って在庫を調べれば、お客さんは無駄足を防げる。ネット通販と違って実際に足を運んでもらうので、周辺の棚にある多くの関連書籍や情報を見てもらえるメリットもある」と、店売推進部の山崎賢司店舗システム課長は話す。

 認識としては、かなり甘いのではないか、と心配になってくる。現場の書店員は、自店以外の書店やネットで本を日常的に購入しているのだろうか、との疑問も出てくる。

 キノナビ・モバイルのような検索サイト、あるいは書店の検索端末は、たしかに便利ではある。だが、自分の欲しい本がわかっていれば、ダイレクトにアマゾンなどで検索し、在庫があればこれを購入したほうが便利だ。
 本を検索するというのは、検索する目的のものがわかっているわけで、これならネットで検索したほうがずっと速いし、いくつかのオンライン書店を縦断して検索することだってできる。第一、真夜中だって検索・購入が可能なのだ。

 検索してヒットした本は、ポチッとボタンを押せば、翌日か翌々日には宅配便で送られてくる。クレジットカードも利用できるし、アマゾンのコンビニ支払いを利用すれば、メールで送られてきた番号を近所のコンビニのレジに打ち込むだけで、手数料なしで料金が支払える。もちろん、料金を支払った翌日には、やはり宅配便で本が送られてくる。

 欲しい本がわかっていれば、ネットのほうが便利なのだ。これは、とくに大型書店が近所にない郊外や地方のユーザーにとって大きな魅力でもある。
 携帯サイトで検索を行ない、欲しい本があれば在庫を調べ、あれば書店に出向いて本を購入する……その手間や時間をかけさせる発想に、書店の限界があるのではないだろうか。そういう商売を、延々と続けてきたのである。

 書店に足を運べば、「周辺の棚にある多くの関連書籍や情報を見てもらえるメリットもある」というのは、確かだろう。だが、最近ではアマゾンのレビューや同じテーマの商品紹介、あるいは著者別検索などの紹介や機能のほうが、ずっと参考になる。仮想書店が、リアル書店をはるかに凌駕する機能を持ってしまったのだ。

 その認識の上に立てば、書店がネットを利用する方法は1つしかない。自社のオンライン書店サイトを構築するしかないのだ。そして、リアル書店では、高価で分厚い書籍を、じっくりと比較して選べるようなスペースを提供する。

 紀伊國屋書店やジュンク堂書店、三省堂書店(ビーケーワンと提携)など、大型書店はすでにオンラインショップを運営している。無理にリアル書店に資本をつぎ込むよりも、これらのオンラインショップをもっと充実させていくことが、今後の書店の生き残り策としてはベターなのではないだろうか。

 CNET Japanの「ウェブでの書籍購入経験者は6割以上に--モバイルの利用にはまだ課題も」という記事によれば、、「パソコンのウェブサイトでの購入経験者」は63.75パーセントいたという。
 調査対象や年齢層などが判然としないため、この調査を一概に信用することはできないが、それでもリアル書店よりネット書店で本を購入するユーザーは、かなり増えてきているのではないだろうか。

 書店の生き残りに、どこが妙案を見つけ出すか。小さなパイの奪い合いではなく、パイを増やす方策も考えてほしいものではあるが。

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2007年01月16日

第136回芥川賞・直木賞

 第136回芥川賞・直木賞の選考会が、1月16日に行なわれ、芥川賞に青山七恵さんが選ばれました。直木賞は受賞者なしです。

asahi.com:芥川賞に23歳、青山七恵さん 「ひとり日和」 - 文化芸能

 第136回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に青山七恵さん(23)の「ひとり日和」(文芸秋号)が選ばれた。--asahi.com

 青山七恵さんは、1983年埼玉に生まれ、図書館情報大学図書情報学部卒後、旅行会社に入社。大学4年のときに書いた「窓の灯(あかり)」で、河出書房新社主催の第42回文藝賞を受賞しています。

(関連図書)
窓の灯 青山 七恵窓の灯
青山 七恵
河出書房新社
定価:¥ 1,050

ちなみに、今回の芥川賞・直木賞の候補作は、次のようになっていました。

<芥川賞>

青山七恵(23)「ひとり日和」(文芸秋号)初
佐川光晴(41)「家族の肖像」(文学界12月号)5
柴崎友香(33)「その街の今は」(新潮7月号)初
田中慎弥(34)「図書準備室」(新潮7月号)初
星野智幸(41)「植物診断室」(文学界9月号)2

<直木賞>
空飛ぶタイヤ
池井戸潤(43)
「空飛ぶタイヤ」
実業之日本社

四度目の氷河期
荻原 浩(50)
「四度目の氷河期」
新潮社

ひとがた流し
北村 薫(57)
「ひとがた流し」
朝日新聞社

一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--
佐藤多佳子(44)
「一瞬の風になれ」
講談社

どれくらいの愛情
白石一文(48)
「どれくらいの愛情」
文芸春秋

失われた町
三崎亜記(36)
「失われた町」
集英社

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2006年12月22日

ハリー・ポッター7は「死の聖人たち」に

 今年のベストセラーの第2位はハリー・ポッターと謎のプリンス(ハリー・ポッターシリーズ第6巻)(J. K. ローリング(著) / 松岡佑子(翻訳) /静山社)でしたが、そのハリー・ポッターの第7巻、最終作のタイトルが、「死の聖人たち」に決まったそうです。

asahi.com:最終作は「ハリー・ポッターと死の聖人」 作者が発表 - 文化芸能

世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの著者J・K・ローリングさんは21日、現在執筆中のシリーズ最終第7作の題名が「ハリー・ポッター・アンド・ザ・デスリー・ハロウズ(ハリー・ポッターと死の聖人)」になると発表した。

 ハリー・ポッターシリーズは、タイトルまでもが何かと話題になるのですが、実際の話、「いいから、早く読ませろ!」という感じ。「ハリー・ポッターと死の聖人たち」の原題は、Harry Potter and the Deathly Hallowsだそうです。

 最終巻だけに、登場人物2人が死に、その1人がハリーだという噂もあります。(参考-イザ!

投稿者 kazumi : 12:35 | コメント (0) | トラックバック

2006年12月07日

2006年 年間ベストセラー

 (株)トーハンから、2006年 年間ベストセラーというのが発表されています。
 今年売れた本ということになりますが、話題になった本とは若干異なっているのは当然ですが、こうして見ると読んでない本もけっこうあるなあ。

2006年 年間ベストセラー(トーハンより)
1位
国家の品格
国家の品格
藤原 正彦
新潮新書

2位
ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)
ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)
J. K. ローリング(著) / 松岡佑子(翻訳)
静山社

3位
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー
扶桑社

4位
えんぴつで奥の細道
えんぴつで奥の細道
大迫 閑歩 (著), 伊藤 洋
ポプラ社

5位
病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-
病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-
新谷 弘実
サンマーク出版

6位
おいでよ どうぶつの森 かんぺきガイドブック
おいでよ どうぶつの森 かんぺきガイドブック
ファミ通
エンターブレイン

7位
人は見た目が9割
人は見た目が9割
竹内 一郎
新潮新書

8位
新・人間革命
新・人間革命 (第15巻)
池田 大作
聖教新聞社

9位
子育てハッピーアドバイス
子育てハッピーアドバイス(1)(2)(3)
明橋 大二 (著), 太田 知子
1万年堂出

10位
鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
野口 嘉則
総合法令出版

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2006年10月14日

オルハン・パムク

 2006年のノーベル文学賞が、10月12日に発表されました。

 村上春樹が受賞するのではないかと、前評判も高く期待されていましたが、残念。受賞したのは、トルコの作家オルハン・パムク氏でした。

 オルハン・パムクは、トルコの現代作家では大人気で、実は世界的にも有名なのですが、日本ではほとんど知られていないのではないでしょうか。

 イスタンブールで生まれ、1982年にデビュー。「白い城」で世界的に評価を高めた作家で、2000年には「わたしの名は紅(あか)」、2002年には「雪」を発表。トルコの古い文化を描き、西洋と非西洋の文化の違い、あるいはイスラム原理主義と世俗主義との対立を描いています。
 このへんが、日本ではそれほど評価の対象にならない要因でもあるのでしょうか。ともあれ、この2冊は翻訳されています。

わたしの名は「紅」
「わたしの名は『紅』」
オルハン パムク(Orhan Pamuk)
和久井 路子(翻訳)

雪
「雪」
オルハン パムク(Orhan Pamuk)
和久井 路子(翻訳)

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2006年07月13日

第135回芥川賞・直木賞

 第135回芥川賞と直木賞が、7月13日に決まりました。

asahi.com:芥川賞に伊藤さん、直木賞に三浦さんと森さん - 文化芸能

第135回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が13日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に伊藤たかみさん(35)の「八月の路上に捨てる」(文学界6月号)が選ばれた。

 最近の芥川賞、直木賞は、一時ほどの勢いはないようですが、それでも文壇でもっとも権威のある賞ではあります。

 芥川賞に選ばれたのは伊藤たかみさんの「八月の路上に捨てる」。伊藤たかみさんは、直木賞作家の角田光代さんの旦那さんだそうです。
 直木賞のほうは、三浦しをんさんの「まほろ駅前多田便利軒」と、森 絵都さんの「風に舞いあがるビニールシート」でした。

まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
文藝春秋
1,680円
風に舞いあがるビニールシート
風に舞いあがるビニールシート
森 絵都
文藝春秋
1,470円

投稿者 kazumi : 20:28 | コメント (0)

2006年06月10日

月刊アスキー休刊

 とうとうここまできたか、という思いでいっぱいです。

アスキー「月刊アスキー」の新装刊を発表 - IT系メディア特設哨戒線 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

アスキーは、4月の「2006年度 媒体説明会」で触れられていた「月刊アスキー」の新装刊に関する情報を発表した。
「媒体説明会」では「8/末にリニューアル」という事であったが、7/18売(8月号)を以って「月刊アスキー」の刊行を一旦停止し、10月に新装刊するとの事。7/18売(8月号)は'77年に創刊された「月刊アスキー」を総括する大特集号となる。

 出版界、とくにパソコン系の出版事情はどこも酷い状況ですが、ほぼ30年続いた月刊アスキーも、とうとう休刊になるようです。

 月刊アスキーは、アスキー社のそもそもの出発点ともなった雑誌。前社長で創業者の西和彦氏が創刊したもの。この雑誌で、パソコンに関してさまざまな知識を得ました。ときには書かせていただいたこともあるし、執筆した本を取り上げていただいたこともある。
 日本のパソコン雑誌・書籍を、いや日本のパソコン界をひっぱってきた雑誌だといってもいいでしょう。

 それが休刊。10月には新装刊するそうですが、内容的にはほとんど別物になるようです。事実上、廃刊といっていいでしょう。

 もちろん、週刊アスキーがあり、目まぐるしく動く業界やハード、ソフトの情報を、月刊ペースで報じるのには無理があること、それにインターネットの普及でことにパソコン情報がすぐに簡単に入手できる環境になってきたことで、その役割を終えたともいえるのですが、しかし、残念です。

 7月18日売りの8月号では、これまでを総括する大特集号となるそうです。

月刊 ASCII (アスキー) 2006年 06月号 [雑誌]
月刊 ASCII (アスキー) 2006年 06月号 [雑誌]

投稿者 kazumi : 11:39 | コメント (0)

2006年05月10日

AsociateHelperがバージョンアップ

 ここでも便利に使わせていただいていますAUSGANG SOFTのAsociateHelperが、Ver.0.51にバージョンアップされています。

Amazonの仕様変更に伴い各種修正
これに伴って、AsociateHelperをバージョンアップしました。 使われていそうな、G-Tools ブックマークレットも修正しました。
AUSGANG SOFT

 仕様が変更されたとはいえ、これまで紹介した本のURLなどは変更されていませんから、リンクはそのまま生きています。

 Amazonといえば、WoodenSoldierさんのBookshelf Application ver.4.0も、ひじょうに便利なソフトです。
 このBookshelf Applicationを使えば、Bookshelf Applicationでキーワードや著者名などを指定して、Amazoneの本を検索することができます。さらにAmazoneのアソシエイトを行なっている方なら、検索してヒットした本のHTMLを取得し、これをエントリなどに貼り付けて紹介することもできます。

 便利なのは、アソシエイトだけではありません。実はこうしてAmazoneで検索・ヒットしたものを、まとめてローカルに保存しておくことができるのです。いわばAmazoneを使った蔵書データベースが作成できるんですね。
 蔵書が多い方には、きっと重宝するソフトではないでしょうか。

投稿者 kazumi : 19:52 | コメント (0) | トラックバック

2006年01月17日

第134回芥川賞・直木賞

 第134回、つまり2006年上期の芥川賞と直木賞が決まったようです。

asahi.com: 芥川賞に絲山秋子さん、直木賞は東野圭吾さん - 文化・芸能

第134回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に絲山(いとやま)秋子さん(39)の「沖で待つ」(文学界9月号)が選ばれた。直木賞は東野圭吾さん(47)の「容疑者Xの献身」(文芸春秋)に決まった。


 直木賞の東野圭吾さん、順当というか、やっとって感じです。

容疑者Xの献身
容疑者Xの献身

投稿者 kazumi : 20:15 | コメント (0)

2005年12月02日

ハリー・ポッター6は5月17日発売

 7月に発売され、アメリカでは690万部が初日に売れたといわれるハリー・ポッターですが、第6巻「ハリー・ポッターと混血のプリンス」(仮題)の日本語版が、来年5月17日に発売されるそうです。
 上下巻セットで3,800円。第5巻の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」が出たのが、2004年9月でしたから、約1年半ぶりということになります。


 Amazonでは、そのハリー・ポッターと混血のプリンス (仮) ハリー・ポッターシリーズ第六巻の予約が開始されています。


 しかし、日本でもこんなに売れる本なんですから、もう少しなんとか早く出してもらえないものでしょうかね。ファンとしては待ちきれません。
Harry Potter and the Half-Blood Prince (HARRY POTTER)

 待てない方は、とりあえず英語版のHarry Potter and the Half-Blood Prince (HARRY POTTER)を読んでみますか?

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(UMD Video)

 それともDVDのハリー・ポッターとアズカバンの囚人(UMD Video)を観ますか?

投稿者 kazumi : 03:32 | コメント (1)

2005年11月19日

ドラゴンライダー2 エルデスト

 このブログでも、以前紹介して反響が大きかったエラゴンですが、やっと第2弾が出ました。
ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(上)ドラゴンライダー (2)
 「ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(上)(下)」(クリストファー・パオリーニ/大島双恵訳/ソニー・マガジンズ)です。
 どちらも500ページ以上、上下巻で合計1,000ページ。お値段もともに1,890円、2巻で3,780円にもなります。でも、買ってしまいました。

 前作エラゴンが出たのが2004年4月でしたから、1年半ぶりの第2弾ですね。もうストーリーも、細かい部分までは忘れてしまった読者も少なくないでしょう。そんな読者のために、巻頭に登場人物の紹介と、「これまでのあらすじ」が掲載されています。

 そのエルデストは、

 エルフの国にたどりついたエラゴンとサフィラ、ふたりを待っていたのは、数百年を生きた<嘆きの賢者>と知られざる黄金のドラゴンとのきびしい修行の日々だった。
 いっぽうエラゴンの故郷では、従兄ローランと村人たちが、帝国に殺された家族の復讐を心に誓っていた。

 亡き将軍の娘ナスアダに率いられたヴァーデン軍に、屈強で情け深いドワーフの王とその臣下たち、さらにローランとともに決起した村人も加わり、帝国への反旗がひるがえろうとしている……。


 だそうです。まだ読んでない。1,000ページの本は、やはりゆっくりと時間のあるときでないと仕事に支障があります。秋の夜長にはもってこいかな。

 ところで、知らなかったのですが、出版元のソニー・マガジンズのサイトには、このエルデストの専用ページができたんですね。Sony Magazines -- ファンタジー大作! ドラゴンライダーシリーズ第2弾「エルデスト 宿命の赤き翼」 遂に発売!!というページです。
 このページには、目次やあらすじ、登場人物、それにマップまで掲載されています。パソコンでマップを表示させながら本を読み進める、なんてのもいいかもしれません。
 しかもリンク先のソニー・マガジンズ・オンラインショップからも購入することができるようになっています。
 ただし、送料が一律525円かかるようです。分厚くてかさばるため、ぼくはアマゾンで購入しましたが、こちらなら国内送料は無料です。

投稿者 kazumi : 18:44

2005年10月23日

マンガでわかる小説入門

 ブログの影響なのか、はたまた携帯電話の影響なのか、小説を書く人がこのところ増えているそうです。
 そういえば、今年の文藝賞(第42回文藝賞:河出書房新社)を受賞したのは、三並夏さんという15才の女子中学生。もちろん、早くから才能が開花する方もいますが、それにしても若い。
マンガでわかる小説入門
 でも、これを読めばそんな中学生でも、まして大学生でも社会人でも定年過ぎた熟年でも、小説が書けるようになるかもしれません。
 「マンガでわかる小説入門」(構成:すがやみつる/作画:横山えいじ / ダイヤモンド社)は、小説の書き方をマンガでわかりやすく解説した本です。

 小説の書き方というと、古くからさまざまな解説書があります。ただ、それらの解説書の多くが、なぜ小説を書くのか、小説を書くためにはどうすればいいのか、小説とは何なのか、といった概念論に終始しています。もちろん、それが重要だからであって、それなくしては小説は書けません。

 ところが、そこを通り超すともういけません。実際に小説を書いても、それが小説という形になっていない。とくに最近の作家志望者の書くものは、まるで小説の体裁になっていないとか。読んできた小説の絶対量が少なすぎるんですね。だから体裁がわからない。
 学校教育でも、ちゃんとした作文の基本を教えていないんでしょう。いや、教えているのかもしれないけど、それが実用的ではなかったり、教育そのものが間違っている。以前、学校の先生の作文というのを読む機会があったんですが、これでは生徒に作文を教えられないのは当然だという、酷いものばかりでした。

 そんな先生にも読んでもらいたいのが、「マンガでわかる小説入門」です。この本には、小説を書く前のプロットの作り方から、必ずつまずく視点の話、さらにはパソコンで書くためのソフトの話まで、実に実戦的な話が盛り込まれています。
 さらに巻末には、数ある小説の新人賞リストまで掲載されています。

 実はこれらの話は、何も小説家志望者だけのことではありません。ブログが流行で、誰でも文章を書いて簡単にネットで発表できる時代になっています。が、それらのブログを書くときも十分に役立つ。
わが子に教える作文教室講談社現代新書

 文章を書く前に読むと、やはり役立つのが「わが子に教える作文教室」(清水義範 / 講談社現代新書)です。こちらも新刊で出ています。

 作文、あるいは小説といったものを見ると、どうも学校教育には任せておけない、という感じがあるのかもしれません。
 文章など、体裁より中身が大事なんだ、という意見もありますが、中身のない文章も体裁が整っていればそれなりに読めるものなんです。いわんや、賞に応募しようとか、人に読んでもらおうなどと思うなら、中身とともに体裁にも気を使うべきでしょう。面白い小説なのに、体裁がダメなために最初から読んでもらえないものがたくさんあります。

 もちろん、ネット時代になって文章の書き方、出し方が変わってきた、という感覚もあります。小説や、巷に氾濫している出版物を見ると、ちょっと違うんじゃないかという違和感を、個人的には抱いています。見せ方や文章、あるいは何ともいえない"感覚"が古いんです。これについては、まだ"感じる"というだけで、明確にこれと指摘することはできないんですが。

 しかし、それらを踏まえた上で、なおかつ従来の小説や文章の書き方について、もう一度見直してみてもいいでしょう。そのために役立つ本です。

[参考]
ボーイズラブ小説の書き方[CD-ROM付](花丸編集部/白泉社)
キャラクター小説の作り方(大塚英志/講談社現代新書)
ベストセラー小説の書き方(ディーン・R. クーンツ/朝日文庫)
もう一度だけ新人賞の獲り方おしえます(久美沙織/徳間書店)
ミステリーはこう書く!―最新完全メソッド(若桜木虔/文芸社)
何がなんでも作家になりたい!(鈴木輝一郎/河出書房新社)

投稿者 kazumi : 05:02 | コメント (0)

2005年10月04日

雑誌の見出し配信

 インターネットで新聞・ニュースサイトを見るようになって、すっかり紙の新聞を見る時間が短くなっています。興味のある記事は、すでにネットで見ているから、新聞を見てもほとんど読んだものばかり。

 唯一新聞が必要だと感じるのは、書籍広告と雑誌広告。これも雑誌各社のサイトを見たり、ダ・ヴィンチを購入したりすれば、それで代用できちゃうんですが。通勤電車とは縁が無い身としては、新聞に掲載される書籍や雑誌の広告はそれなりに情報源となっていたのです。

 その雑誌の記事見出しが、とうとう配信されることになりました。

エキサイト広報・プレスリリース
エキサイト株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:山村幸広、
以下エキサイト)は週刊誌の見出し、キーワード情報を提供する
新サービス『エキサイト雑誌ヘッドライン』をエキサイトニュース内にて、
2005年10月3日(月)より開始致します。

 これは面白い。いくつかの気になる雑誌の最新記事タイトルが見られれば、新聞の雑誌広告も不要になってくる。

 というわけで、始まったはかりのExcite エキサイト 雑誌ヘッドラインを見てみました。
 なかなかいい感じです。配信されているのはビジネス系の雑誌を中心とする28誌。いくつかの記事(注目記事)には、かんたんな内容も紹介されています。これは使える。

 ところが、このサービスは「RSSに対応しているので、気になる雑誌やキーワードをRSSリーダーでいち早くチェックできます」(エキサイト広報・プレスリリース)というのがけっこう売りだったりすると思うんですね。
 最近ではブログでもニュースサイトでも、ほとんどRSSリーダーで巡回してしまっています。ブラウザでページを見るのは、たぶん以前の100分の1くらいに減ってます。RSSリーダーのほうがずっと効率良く情報の閲覧ができます。

 ところが、エキサイト雑誌ヘッドラインで配信されるRSSは、雑誌ごとにタイトルが配信されるのですが、その内容は詳細ページになっており、誌名、掲載ページ、キーワードなどが表示されるのです。
 注目記事ピックアップのページには、いくつかの記事に関しては、簡単ながらその概要が記載されている。実は、その概要の記載ページが読みたいんです。読みたいのに、RSSでは飛んでくれない。

 うう、中途半端だ。かなり使える面白いサービスなのに、残念です。

投稿者 kazumi : 03:36 | コメント (0)

2005年09月09日

電子書籍の動向

 最近の電子書籍の動向には、目をみはるものがあります。なんというか、従来の出版の常識を覆すほどの勢いというか。

インプレス グループ 「電子書籍ビジネス調査報告書2005」の調査結果によると、2005年3月時点での国内における電子書籍の市場規模は約45億円(昨年度18億円)、対前年比で2.5倍の規模に増加したと推測されます。この内訳はPC/PDA向けの電子書籍市場が約33億円、携帯電話向け電子書籍市場が約12億円となっています。
 出版業界全体から見れば、まだまだ小さな数字です。しかし、「対前年比で2.5倍の規模に増加」というのは、かなり意味があるのではないでしょうか。 「活字離れ」などといわれて久しいのですが、これは読者が活字から離れたのではなく、「紙離れ」をしているのであって、活字(テキスト)そのものから離れたわけではない。  それが電子書籍の市場規模の拡大からもわかるわけです。

 実際、某メディア関係者に取材しても、かなり危機意識を持っているようです。というか、これを前提の上で、今後どう「紙」から「デジタル」に移行していこうかと試行錯誤しています。

 ところが、当の出版界でこのことが正しく理解できる出版人がひじょうに少ない。「紙はなくならない」などと言っているのはまだしも、だから従来どおりの出版しか考えられない。
電車男
「電車男」「実録鬼嫁日記―仕打ちに耐える夫の悲鳴」といったものも、デジタルのデータを紙に焼き直しただけのもので、発想としては従来の出版とまったく変わりません。

 発想が変わらず、しかも売れたりしたもんだから、それでいいんだと勘違いする出版人がとにかく多い。いや、ほとんどの出版人はそう思ってるでしょう。売れないのは、ネタが悪いからだって。

 そうじゃないってば。少なくなっているパイを、単に奪い合ってるだけだって。そこには、パイを広げる工夫も努力もまったくない。
 そのままでは、いずれ出版は壊滅状態になってしまいます。もう近い状態だけど。早く出版界が、新しい可能性に気づき、新しい出版に手を出すことを秘かに願っています。

投稿者 kazumi : 17:25 | コメント (0)

2005年06月04日

出版界は先細りか?

 いやあ、驚きました。日本ABC協会 [2004年下期(7月~12月)ABC公査部数] 実売部数ランキングです。
 ちょっと古い(といっても、5月12日の記事です)んですが、消えてしまう前にメモしておきます。

f/x IT Magazine News

第1位日経パソコン281,408部( 19,150部 減少 )
第2位週刊アスキー162,348部( 13,714部 減少 )
第3位日経PC21141,535部( 8,833部 減少 )
第4位アスキー.PC81,267部( 15,513部 減少 )
第5位日経NETWORK62,886部( 4,736部 減少 )
第6位日経WinPC61,100部( 11,650部 増加 )
第7位日経CLICK55,310部( 9,580部 減少 )
第8位日経ベストPC+デジタル54,240部( 19,807部 減少 )
第9位Yahoo! Internet Guide52,360部( 9,499部 減少 )
第10位ASAhIパソコン46,936部( 1,513部 減少 )
第11位YOMIURI PC46,055部( 1,714部 減少 )
第12位Mac Fan46,050部( 968部 減少 )
第13位日経コンピュータ45,761部( 1,663部 減少 )
第14位日経エレクトロニクス40,347部( 768部 減少 )
第15位日経ものづくり38,546部( 1,323部 減少 )
次 点Mac People38,451部( 495部 減少 )


 ABCの調査では、従来の公称値ではなく発売部数による調査になったはずですので、これが実態に近い数値でしょう。

 しかし、それにしても少ない。一番売れてる日経パソコンが、28万部。7位の日経CLICKがわずか5.5万部で、しかも6月8日発売の7月号をもって休刊だそうです。

 他の一般雑誌の部数を見ても、軒並み減少傾向が見られますし、一時の100万部超しの雑誌などほとんどありませんから、出版業界ももう先細りしかないんでしょうか。フジ vs. ライブドア騒動を見るまでもなく、旧来のメディアはもう少し先を見たほうがいいんですが、編集者という職業は……(以下自粛)。

投稿者 kazumi : 06:24 | コメント (0)

2005年06月01日

最近の読書

 長いこと更新が止まっていました。とにかく忙しくて、ブログ書くより原稿書けという無言の圧力が……。

 忙しいときほど本が読みたくなる、という持病が発症していて苦しい&申し訳ない。「まだですか~?」と原稿督促のメール&電話が毎日のようにくるわけで、つくづく因果な商売です。

 というわけで、ここ何日かで読んだ本のうち、面白かったものを。
義八郎商店街
 例によって、大好きな東直己の新刊。「義八郎商店街」(東直己/双葉社)ですが、これまでのハードボイルド路線とは、ちょっと違います。違うけど、いいや。

 ホラーチックなユーモア路線、とでも言えばいいかな。肩が凝らずに笑いながら読めます。

わが青春無頼帖
 何年ぶりかで、シバレンの小説を読みました。「わが青春無頼帖」(柴田錬三郎/中公新書)です。シバレンの時代小説ではなく私小説的な青春もので、初の文庫化のようです。

 柴田錬三郎といえば、「眠狂四郎」を代表とする時代作家、直木賞受賞作家ですが、こんな私小説的なものも書いていたんですね。岡山県立二中を中退して上京し、直木賞を受賞するまでの女性遍歴や戦争体験などを回想した逸話録。

 このところ10年近く、ずっと新しい作家や新刊ばかりを追いつづけてきたんですが、たまにはこの当時の作家のものを読み返してみるのも楽しいものです。

売文生活

 新書では、「売文生活」(日垣隆/ちくま新書)を読みました。これも面白く読めます。

 夏目漱石を代表とする明治の文豪から、現在の作家、ライターまで、その経済生活という側面に焦点を当てた本です。
 作家というと、貧乏と思われますが、どうもそうでもないらしい。当時の原稿料を現在の金額に換算すると、信じられないほどの金額になります。そういう話が、あちこちに出てくる。

 ただし、鵜呑みにはできません。最近の出版事情はかつてないほど劣悪で、少なくともここ30年ほどは、悪くなりはしましたが良くはなっていない。このへんが「売文業」の難しいところです。

まるごと702NK―スマートフォンをあなたの手のひらに!

 理工系からも1冊。「まるごと702NK―スマートフォンをあなたの手のひらに!」(山根 康宏, あきらん, Ling‐mu/技術評論社)は、現在日本では唯一といえるノキアのスマートフォン「702NK」の解説書です。

 実際にショップなどで触れてみると、ちょっと大振りでポケットに入れるには嵩ばるなあと心配になりますが、機能を見ると欲しくなります。
 ソニーがPalmから撤退し、日本ではZaurusくらいしかPDAの選択肢がなくなってしまいましたが、これからはスマートフォンがPDAに置き換わる形で普及していくと予想されます。ドコモからも新しく出ると発表されていますね。

 時間があれば、自分にとってスマートフォンにどんな機能を求めているのか、まとめてみると面白いんでしょうが、なんせ時間がない。

 というわけで、最近読んだ本のなかで面白かったものです。もちろん、本そのものはこの何倍も読んでいます。自分の本も含めて。

投稿者 kazumi : 16:26 | コメント (0)

2005年02月15日

ケータイブログのはじめ方

 またまた自分の本の宣伝ですが。

ケータイブログのはじめ方・遊び方―livedoorではじめるモブログ もうそろそろ書店に並んでいると思いますが、こんな本を出しました。


 「ケータイブログのはじめ方・遊び方」
-livedoorではじめるモブログ-
メディア・テック出版

 livedoorの無料ブログサービス livedoor Blog は、携帯電話だけでブログが作れ、また記事を閲覧したり投稿したり、さらに携帯電話のデジカメで撮影した写真を、簡単に掲載して写真ブログなどを作ることもできます。
 このブログでも、MT4iを利用してモブログを実現していますが、そういうことをまったく考えずに、携帯電話だけでブログが始められます。

 もちろん、そんな無料ブログサービスがいくつかありますが、livedoor Blogではindex.htmlやCSSにかなり手を入れ、凝ったデザインのページを作成することが可能です。

 携帯電話が広く普及している日本では、PCなしで携帯電話だけでもブログが楽しめる環境が整ってきました。
 そんなlivedoor Blogを利用して、ブログをスタートし、遊んでしまえという本です。

投稿者 kazumi : 04:12 | コメント (0)

2005年02月11日

ライブドア出版社を設立

 また、やってくれました。去年の老害渦巻く野球界に斬り込んだように、今年は旧態依然とした出版界への進出です。

ライブドア、幻冬舎との合弁で出版社を設立~ブログを書籍化
 ライブドアは10日、幻冬舎の100%子会社である幻冬舎ルネッサンスと合弁で「株式会社ライブドアパブリッシング」を設立することで合意したと発表した。インターネットと出版を融合した事業を展開するという。(INTERNET Watch - 2005/02/10)

 このニュースによれば、設立の目的は「インターネットコミュニティに参加するユーザーに新たな可能性を提供することと、今までインターネットに触れる機会が少なかった方へ新しい表現を体験していただくこと」とか。

 その「新たな可能性」というのが、自費出版だったり、「新しい表現」というのがブログの書籍化や「電車男」だったりしたら、ちょっと嫌だなあ。
 もちろん、そういうのもありだとは思うけど、それなら既存の出版社でも何とか手が出せるわけで、ライブドアが参入するなら、もっと違った形の出版を模索してほしい。硬直した出版界が、絶対手を出せないような、あるいは世界の見えていない編集者からは絶対出てこないような、そんなモノがあるはずです。
 それは、「本」という形ではないかもしれない。既存のメディアにはないような形のものかもしれない。ライブドアが手を出すなら、そういうものを期待したい。

投稿者 kazumi : 08:00 | コメント (0)

2005年01月26日

SL-C3000活用マニュアル

Zaurus SL-C3000徹底活用マニュアル―標準機能の活用から快適さを極める拡張ツールの使いこなしまで 自分の本の宣伝も。書店には昨年末からちらほら並んだようですが、「Zaurus SL-C3000徹底活用マニュアル」(メディア・テック出版)が発売されています。シャープから発売されているLinuxザウルス「SL-C3000」について、その使い方を解説した本です。

 標準搭載のアプリケーションの使い方から、便利なフリーウェア、GPL、シェアウェアなど118本を紹介。付録CD-ROMにも収録しました。いずれのアプリケーションも、SL-C3000で動作確認を行なっています。入手先も記載しましたから、作者のサイトにアクセスして新しい版のものがあれば、ダウンロードできます。

 発売後、まだ1カ月たちませんが、増刷が決まりましたので、もうそろそろ2版が書店に並ぶと思います。興味があれば、書店で手にとってみてください。

投稿者 kazumi : 01:50 | コメント (1)

2005年01月25日

ネット発の話題作

 「電車男」(中野独人/新潮社)のヒットのためか、このところネットから出てきた本が何冊か話題になっています。
実録!鬼嫁日記「実録!鬼嫁日記」(カズマ/アメーバブックス)は、「虐げられる夫」の日記。もともと同名の実録!鬼嫁日記というブログで連載されていたものを書籍化したそうですが、内容は面白いです。

 ちなみに、この版元であるアメーバブックスは、「インターネットの感動をあなたの本棚に」を合言葉に設立された出版社とか。そのインターネットとは、アメーバブログで、その大もとはサイバーエージェントで……、とたどっていくと、なんだかなあ。
 しかし、アメーバブログを見ると、作家ブログという分類で、山川健一「イージー・ゴーイング」片岡義男「メントール・ユーカリプト」素樹文生「イケナイ宝箱 ~ようこそ鬱の世界へ」など、そうそうたるメンバーのブログがあります。
 これって、従来の文芸誌と単行本の関係に似てる。まだ数は少ないながら、ブログで連載して単行本化。しかもそんな作家ブログをいくつも集めている、と。出版界、うかうかしてると、全部IT企業にもってかれるゾ。

今週、妻が浮気します 話題作といえば、「今週、妻が浮気します」(GoAhead & Co./中央公論新社)もジワジワと話題になってきています。
 ドキッとするタイトル。「電車男」と同じように、こちらは「教えて!goo」に寄せられた質問投稿と、それに続く書き込みを書籍化したものです。2ちゃんねると「教えて!goo」という違いはあるものの、掲示板の書き込みがそのまま書籍化されるという時代になったんですね。

 そしてもう1冊。「びっくり爺さんのわしゃHが大好きなんじゃ!―素人さんも玄人さんもいらっしゃ~い」(びっくり爺/秀和システム)。こちらはハッカーへの階段というブログを書籍化したもの。
びっくり爺さんのわしゃHが大好きなんじゃ!―素人さんも玄人さんもいらっしゃ~い ちなみに、大好きな「H」とは「ハッカー」のこと。
 いや~、こういうのまで書籍にしてしまうというのは、面白いんだけど。

 こうして見てくると、編集という職業が少しずつ変化してきているような気がします。時代に合わせた変化ではなく、実は編集者の能力の退化。ネットと出版が、対立し、いずれ融合されるというのは、実はもう20年ほど前から見えていた構図なんですよね。当時の言葉でいえば、メディアミックス。ネット発足のときから、そんなことはわかっていた。当然、そういう形でメディアミックスして出版された本も、もうたくさんあるわけで。
 しかし、掲示板やブログの記事をそのまま書籍化するというのは、芸がないというか何というか。編集の放棄なんじゃないかな。出版の衰退は、さまざまな理由がありますが、この編集者の能力の退化というのも大きな要因なんじゃないかと。

投稿者 kazumi : 09:42 | コメント (0)

2005年01月14日

芥川・直木賞と「ニッポン泥棒」

ニッポン泥棒 またやってくれちゃったよ、大沢在昌。書店に行くと、大沢在昌の新刊が平積みされていました。「ニッポン泥棒」(大沢在昌/文藝春秋)です。

 産経新聞に2003年5月~2004年6月まで連載されていたものを、まとめたものです。産経新聞なんて読んでないし、たとえ連載を知っていても、ぼくは1冊になったものを一気に読むほうが好きなので。
 こんなに忙しいときに、また仕事を中断させる本です。表紙の題字は、京極夏彦。「ヒミコ」というプログラムの争奪戦に巻き込まれた男が主人公ですが、ネット社会の恐怖を根底にしたサスペンスです。
 とにかく出だしから面白い。引きこもり青年とリストラ中年の出会いから始まります。やがてヒミコの秘密が明らかにされていき、一気に物語が進行します、ってまだ冒頭しか読んでないけど。

 おりしも、第132回芥川賞・直木賞の受賞が発表されました。

芥川賞に阿部和重さん、直木賞は角田光代さん - asahi.com : 文化芸能

第132回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が13日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に阿部和重さん(36)の「グランド・フィナーレ」(群像12月号)が、直木賞に角田光代さん(37)の「対岸の彼女」(文芸春秋)が選ばれた。(01/14 00:11)


 順当なところだな、というのが感想。直木賞も芥川賞も、ここ数年、まったく理解不能になっていたから、今回は妥当な線だなという感じです。阿部なんて、ちょっと遅すぎる気もしますが。
対岸の彼女 「対岸の彼女」(角田光代/文藝春秋)は、30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵という、性格も生活環境も全く違う2人の女性の物語とか。ネタとしてはもう古くなってしまっていますが、こちらもちょっと読んでみたいなと食指をそそられます。

 ついでに、書店ではなくコンビニでダカーポ(マガジンハウス)を購入。特集は、「IT業界」研究、「書店」の大いなる楽しみ方、自分の「死」を考えようの3本。「IT企業の内幕を完全暴露」とか、「わたし、この書店が大好きなんです」など目をひく記事がいくつもあります。

投稿者 kazumi : 08:07 | コメント (0)

2004年12月31日

厳しさ続く出版業界

 今年も、とうとう最後の1日となってしまいました。

 最後の最後まで原稿を書いていて、まだ終わりません。来年は、元旦から原稿書きになります。明日だ。
 そんなわけで、ブログを始めたのはいいのですが、なかなか思うように記事も書けませんでした。

 その出版界ですが、今年は「ハリー・ポッター」「セカチュー」など記録的なベストセラーが出た年でしたが、しかし業界そのものはまったく上向いていない状態が続いています。

書店の倒産、増加続く ネット書店・コンビニが影響か - asahi.com : 経済
 「ハリー・ポッター」「世界の中心で、愛をさけぶ」などのヒットに今年恵まれた出版界だが、町の小さな書店にはすきま風が吹く。民間信用調査会社・東京商工リサーチのまとめでは、書店の年間倒産件数は00年以降、30件台後半から40件台の高水準が続く。今年は11月までで29件だが、負債総額は87億円とすでに03年を上回る。大型店やインターネット上のオンライン書店の増加などが背景にあるとみられる。(12/26)

 出版業界というのは、著者、出版社、取次、書店がすべて一蓮托生なんですね。どこかだけが潤ったりすることはない。もちろん、ごく一部が突出することがあり、たとえばハリー・ポッターやセカチューは、著者、出版社が潤ったはずです。
 しかし、全体的に見れば、小さなパイをいくらか余計にとったようなもので、とられた側はそれだけ食う分が少なくなる。しかも、パイそのものがどんどん縮小しています。ベストセラーが出れば、潰れる出版社、食えなくなる著者が、その分多くなるだけです。

 書店が倒産するのは、それはしょうがない。日本の出版流通では、書店の経営努力がほとんど見られない。経営努力をしても表に出ないし、努力しなくても潤うところもある。「努力が結果に結びつく」というこれまでの概念は、まったく覆ってしまうんです。

注文「1秒に32件」 米アマゾン、歳末商戦は過去最高 - asahi.com : 経済
米インターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは27日、歳末商戦の11月25日から12月23日までの間の売上高が過去最高に達したと発表した。日本版を含む7つのウェブサイトの合計で、1日に最大280万件(1秒あたり32件)の注文が入ったという。(12/28)

 インターネットの普及によって、本の流通が変わってきました。日本のように、著者から書店までが一蓮托生の国では、インターネットの影響はまだ表に出てきませんが、いずれ大きな影響が出てくるのは目に見えています。

 そのインターネットに合わせて、本作りや流通、それに本の売り方も変革すべきなのですが、これはいくら口を酸っぱくして進言しても、ほとんど聞き入れてもらえません。それでも口うるさく言わざるをえないのは、インターネットのヘビーユーザーとしてネット浸けになりながら、その対極ともいえる本を書いている者の務めかもしれません。

 ともあれ、2005年もよろしくお願いします。

投稿者 kazumi : 14:51 | コメント (0)

2004年12月26日

京ぽんの本当に使える本

 ついでに自分の本もちょっと紹介しておきます。

 昨日、新宿に買い物にいき、家電量販店を覗いていたら、店先で京ぽん(京セラ製PHS AH-K3001V)を販売していたんですが、その購入者の先着5名様に「京ぽんの本当に使える本」がプレゼントされていました。
京ぽんの本当に使える本―AH-K3001Vがちゃんとつながるヨ! そうかあ、そういう使い方もあるんだ。

 家に帰ってきて、あちこちのサイトを見ていたら、Yahoo!ニュースに利用者サイトや特集本も 京セラ製PHS端末というニュースが掲載されていました。
 大もとは、京都新聞の利用者サイトや特集本も 京セラ製PHS端末という記事です。そういえば、版元の編集者が京都新聞から取材があったと言っていましたが、それがこの記事なんですね。

 その「京ぽんの本当に使える本」も、もうそろそろ増刷ができあがって書店に並ぶようです。

投稿者 kazumi : 19:30 | コメント (0)

超零戦、飛翔せよ! 2

超零戦、飛翔せよ! 2 (2) このブログでは、読んだ本や気になる本なども紹介してますが、いただいていたのですが、忙しくて読めなかった本を。
 菅谷充さんの最新刊、「超零戦、飛翔せよ!―風涛の艦隊 第2部 (2)」(有楽出版社)です。

 前作の「超零戦、飛翔せよ!」――風濤の艦隊 第 2部の続編です。超零戦とF6F「ヘルキャット」との追跡劇には、やはり手に汗を握ってしまいます。

投稿者 kazumi : 19:28 | コメント (2)

2004年12月25日

ハリポタ6巻は2005年7月発売

 ハリポタマニアではないんですが、やはり気になるのが今年290万部の初版で売ったハリーポッター本。DVDでハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版も出て、ハリポタ人気はまだまだ衰えていないようです。
 そのハリポタの第6巻が、2005年7月に出るようです。

ハリポタ最新作、来年7月出版 まず英米などで発売 - asahi.com : 文化芸能

ハリポタ最新作、来年7月出版 まず英米などで発売

 世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズ最新作の第6巻「ハリー・ポッター・アンド・ザ・ハーフ・ブラッド・プリンス」が来年7月16日に出版されることが21日明らかになった。英米両国の出版元が発表した。


 もちろん英語版ですから、日本語訳が出るのはその翌年になるのかな。待たされるのが何とも歯がゆく、ずっと先のことになりそうですが、いまから楽しみです。

投稿者 kazumi : 18:32 | コメント (0)

2004年12月02日

アキハバラ@DEEP

 3冊の本を前にして、悩んでしまった。
 1冊は、ちょっと前に購入した「アキハバラ@DEEP」(石田衣良/文藝春秋)。2冊目は、今日書店で見つけた「長恨歌 不夜城完結編」(馳星周/角川書店)。3冊目は、Amazonで取り寄せた「愚か者死すべし」(原寮/早川書房)だ。

 だいたいからして、こんな本を3冊も、同じ時期に出すというのは、何とも意地悪だ。しかもライターにとって、この時期はめちゃくちゃ忙しいのだ。本を読むより、原稿を書き、ゲラに目を通すほうが忙しい。活字だけでいえば、書いたり、自分が書いたものを読むほうが何倍も多いのだ。

 ただ、この3冊は、ぼくのなかでは微妙に位置が異なる。肩が凝らず、切れ切れの時間でも読めるのが石田依良。とにかく早く読みたいのが馳星周。じっくりと、ゆったりした時間を過ごしながら読みたいのが原寮。もううんざりなのが、自分の本。

アキハバラ@DEEP というわけで、一番最初に購入し、少し目を通した「アキハバラ@DEEP」(石田衣良/文藝春秋)を読み進めることにした。
 石田は、街を描くことにかけて抜群の力を持っている。渋谷もそうだし、代表作でもある池袋の描写もそうだ。それが今度は、アキハバラである。
 実は、うまいなあと感心するのだが、それ以上にならないのが石田の作品だ。うますぎて、技巧に走るところがある。この作品も、うまい。最初の数ページは、ひどく退屈だったが、途中から引き込まれ、3分の1ほど一気に読んでしまう。盛り上げ方が、ひどくうまいのだ。

 ただし、近未来的雰囲気を出しながら、出てくるマシンや機材、扱うテクニックが何となく古くさいのは、なんでだろう。
 扱っているのは、オタクだ。おたく(あえて平仮名で)が、負の意味で扱われるようになったのは、オタク(カタカナ)になってからじゃないだろうか。
 ぼくが最初に「おたく」という言葉を目にしたのは、86、87年だと記憶している。チャットで、「おたくですか?」と聞かれたのが最初だった。

 大塚英志の「「おたく」の精神史 一九八〇年代論」(大塚英志/講談社現代新書)によれば、おたくという語が初めて用いられたのは、83年の「漫画ブリッコ」だというから、ぼくが耳にしたのはだいぶたってからになる。ただし、その数年で、「おたく」という言葉が一般にも定着していたかどうかは疑問だ。

「おたく」というより、「ハッカー」や「ウィザード」のほうが、より「おたく」の本質に近かった。「おたく」と「ハッカー」や「ウィザード」では、範囲がかなり異なるだろうが、より近い意味合いで使われていたのだ。そして、その負の部分だけが突出してきて、やがて負のイメージとしての「オタク」という言葉が定着していったのだと思う。コミックを中心とする「おたく」と、PCを守備範囲とする「おたく」が混ざり合い、やがて負のイメージの「オタク」が出来あがる。その生息地が、アキハバラだということになる。

 そのオタクが始めたビジネスが、「アキハバラ@DEEP」だ。そして、アキハバラ@DEEPが始めたサーチエンジン「クルーク」を舞台に、主人公たちのテロが始まる、といった物語ですね。
 まだ半分しか読んでないけど。さあ、今年もあと1カ月。原稿書きに戻ろう。

投稿者 kazumi : 05:14 | コメント (1) | トラックバック

2004年11月13日

ネット王子とケータイ姫

ネット王子とケータイ姫―悲劇を防ぐための知恵 なかなか面白い本だった。今年6月に起きた佐世保の女児同級生殺害事件のあと、何冊かネットと子どもの関係、あるいはネットを安全に利用する方法などに関する本が出版されている。
 そのなかでも、子どもとインターネット、さらにはケータイについて、その危険性とどう付き合っていけばいいかを解説したのが、「ネット王子とケータイ姫―悲劇を防ぐための知恵」(香山リカ・森健/中公新書ラクレ)である。

 精神科医の香山リカ氏と、ジャーナリストの森健氏が、それぞれの得意分野で子どもとインターネット、子どもとケータイの現実を取材し、検証し、そしてこれらの機器をどう扱っていくことで、佐世保の悲劇を防ぐことにつながるかを提言している。

 当然ながら、ここには学校教育のなかでのインターネット教育、あるいはもっと言えばメディア・リタラシーについての批判も出てくる。
 すでに報道されている話だが、2003年度末でネットなどITの「操作ができる」公立教員は、全体の93%にもなるのに、ITを活用して「授業ができる」教員は60.3%。情報教育で国や教育委員会の研修を受けた小学校の教員は20.9%で、民間企業主催の研修では2.8%しかいない。
 呆れてしまうのは、それほど問題となっているインターネットやケータイとの付き合い方を、子どもたちに教える立場の当の教師が、「僕らはあまり必要ないからね」という理由で、携帯電話を持っていない教師さえいるというのだ。
 それって、速く走ったり、長く走るなんてことは必要ないからと、体育の授業から短距離走やマラソンを省いたりするのと同じではないか。将来、まったく使わないことのほうが多いからといって、微分や積分を教えなかったりするのと同じだ。
 この危機感のなさには、驚きを通りこして呆れてしまう。

 もちろん、すべてを学校教育に任せようなんて思わないし、それでいいとも思わない。家庭内での教育や子どもとの接し方のほうが重要なのだろうが、それのできない親のほうが多そうなのだ。ネット王子とケータイ姫を語る前に、親の教育が必要になっているのである。

インターネット安全活用術 もう1冊、こちらはもっと技術的なことに踏み込んだ専門書。「インターネット安全活用術」(石田晴久/岩波新書)も発売されている。
 こちらは親向け、それもインターネットに関する正しい知識をそれなりに持つ大人向けというべきだろう。スパイウェアやP2P、それに企業におけるセキュリティ対策といった話題のなかに、プライバシー保護の方法やフィルタリングソフトや、メールのプロパティの設定など具体的な話まで出てくる。

 かつて、もう20年近く前になるが、ぼくらが初めてパソコン通信を使い、掲示板にメッセージを書き込み、チャットに明け暮れた時期がある。いまならネット依存症寸前といえるほど熱中したものだ。いま噴出しているような現象や問題は、当時すでに表面化していた。
 ただ、参加者のほとんどが大人だったため、それを回避する智恵があったのだろう。当時の合言葉は、「ネットやらなくても死なない」だった。そう言い聞かせて、中毒寸前でなんとか踏みこたえていたのだ。

 やがてインターネットが、しかも常時接続が当たり前になり、ネットは低年齢層にまで広まった。ネットやケータイのなかにしか居場所を見いだせない子どもたちが、どんどん産み出されている。「ネットやケータイがなくても、死なない」などとは、もはや言えない時代になってしまったのだ。
 そんな時代に、子どもたちにどうインターネット、さらにケータイと付き合うかを、どのように教えていくか、これらの本からいくつかのヒントが見いだせるはずだ。

投稿者 kazumi : 11:10 | コメント (0)

2004年10月27日

「電車男」キタ━━(゜∀゜)━━!!!

電車男 リアルタイムで読んでいたから、本になって何となくがっかりしました。「電車男」(中野独人/新潮社)です。内容がというのではなく、やはり書籍という形には合わないんだなあと。

 「理系のための恋愛論」(酒井冬雪 /毎日コミュニケーションズ)のような本も売れましたから、理系だのオタクだのアキバ系だのというのが、もはや一般にもまったく違和感なく受け入れられているのはわかります。
 というか、「博士の愛した数式」(小川洋子/新潮社)のように、理系の話がそのまま文学に昇華したものもあります。

 出版前からあちこちで話題になったため、内容は紹介しません。ただ、出版の舞台裏がちょっとだけ出ているので、そちらを紹介します。新潮社の「電車男」の舞台裏です。担当編集者やデスク男、営業男など6人の、それぞれの舞台裏が掲載されています。

 ただ、ちょっと首を傾げたのが、担当編集者の次の言葉です。

通常、お原稿をいただいてから刊行までというのは3ヶ月から4ヶ月かかるのに、たった2ヶ月しかありません。「全部希望通りに出来ますよ」とは申し上げたものの、印刷における問題もたくさんありました。
――新潮社

 をいをい、原稿アップから刊行まで3~4カ月? それがたった2ケ月しかなかった、と。通常、ぼくらは原稿アップから刊行まで40日と言われています。これはもう20年以上前から。
 最近では、というかぼくが書いている本の場合は、だいたい1カ月。早いところでは3週間。一番早かったのは、原稿渡してから4日で見本が出てきました。著者校じゃなくて、書店に並ぶ本の見本です。原稿アップから1週間ほどで書店に並びましたね。

 それが、「通常、3カ月から4カ月かかる」というのは、そりゃかかりすぎだろって。タイミングを見ているというのではない。通常そんなにかかるのを、何とか2カ月に短縮した、とまで言ってるのだから。

 だからダメなんじゃん。そんな仕事してるから、書籍がますます売れなくなる1つの要因なんじゃん。ネット、テレビ・ラジオ、新聞、雑誌、書籍。これが現在の情報伝達の早い順番です。ネットと書籍が、トップとビリなら、ビリはビリなりの加工の仕方というものがなければなりません。それが「電車男」(書籍版)を見たとき、ネットの書き込みをただ紙に移しただけ、という期待外れの感想でした。うう、しょうがね~なあ。そして、たまらんなあ。

 とか言いながら、実はいま原稿を渡してるのに本になっていないブツが3冊あったりします。編集に1カ月もかけるなよ、たまらんなあ。

投稿者 kazumi : 07:41 | コメント (0)

2004年10月24日

作家ってどうよ?

作家ってどうよ? 当代切っての人気作家、鈴木光司、馳星周、花村萬月、姫野カオルコの4人に、なぜ作家になったのかから始まり、小説を書く環境、テーマ、日常生活など、読者の興味のある質問をぶつけた「作家ってどうよ?」(角川文庫)が出ています。
 もともとニッポン放送のラジオ番組「ザ・BUNDANバー」を書籍化したものだとか。番組は聴いてないから何ともいえないが、内容的にはちょっとパターン化しすぎているかな、という感じもします。

 ただし、作家が作家だけに、興味深い話がそれこそたくさん出てきます。鈴木光司が小説の登場人物を設定するときの方法だとか、オカルトや恐い話について、さらに小説を書くときのBGMについて書いてもいます。
 姫野カオルコの小説の売り方というのもすごい。ラフ原稿を書き、それをあちこちの出版社に持っていき、出すといった編集者と組んで推敲していき、完成原稿にするのだとか。いまでもそれが基本だというのだから、すごい。
 花村萬月は、もう存在そのものがすごいですよね。半端な生き方じゃない。馳星周は、やっぱりお金の使い方が面白い。

 知ってる話がいくつもあり、またそれぞれのテーマがサラっとしか掘り下げられていないという不満もありますが、売れっ子作家の生の声を聞きたいという読者には、なかなか楽しいものがあります。

投稿者 kazumi : 13:39 | コメント (0)

2004年10月11日

奥田英朗「東京物語」

 以前、第131回直木賞を受賞した奥田英朗さんのことについて書いた(直木賞と青山ブックセンターの閉店)。このとき読んだ「イン・ザ・プール」(奥田英朗/文芸春秋)が、けっこう面白かったのだ。
東京物語
 で、9月末に「東京物語」(奥田英朗/集英社文庫)が出ていたので、こちらも読んでみた。
 6編の中篇で構成された、80年代の青春グラフィティといった感じのものだ。これが面白い。それぞれその年代の雰囲気と、流行したモノや有名人などをさりげなく出して、時代そのものをきっちりと切り取ってしまっている。
 実はこの6編は、時系列には並んでいない。時系列ではないが、季節によって並べられている。読んでいくと、時代を前後するために不思議な感じがするが、こういう並べ方もありなんだと、最後に納得してしまう。

 クラプトン、キャンディーズ解散、ジョン・レノン殺害、名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊、ウォークマン、松田聖子、ルービック・キューブ、テクノポリス、ブルータス、江川卓の初登板、状況劇場、野田秀樹、いとしのエリー、ブラック・レイン……。

 これらの言葉を見るだけで、当時の状況が鮮やかに脳裏に甦る人なら、ぜひ読んでみるといいです。清水義範「青山物語1971」(光文社文庫)「青山物語1974―スニーカーと文庫本」(光文社)などが好きな人なら、きっとハマるでしょう。このころの奥田の作風は、これらの清水義範の作風に近いものがあります。

投稿者 kazumi : 02:51 | コメント (0)

2004年09月30日

アフターダークと小説の終焉

 遅ればせながら、村上春樹の「アフターダーク」(村上春樹/講談社)を読みはじめた。
アフターダーク
 何てったって、「風の歌を聴け」からリアルタイムで読んできた。ただし、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」あたりですっかり食傷気味で、それでも「ノルウェイの森」までは何とかついていったが、「海辺のカフカ」ではもう止めようと思った。読んだけど。

 好みの問題だし、ぼくの読書傾向そのものが、1979年の「風の歌を聴け」からだいぶ遠くへきてしまっていたという理由もある。
 だが、つい最近購入した小説の終焉
「小説の終焉」(川西政明/岩波新書)
を読んで納得した。
 この本では、二葉亭四迷の「浮雲」が発表されて以来120年の、日本の小説が追い求めてきたテーマ、積み上げてきた主題を考察し、そして大胆にも「小説はどうやら終焉の場所まで歩いてきてしまったらしい」と結論づけている。

「小説の終焉」では、1章で「私の終焉」「家の終焉」「性の終焉」「神の終焉」と、近代日本文学が追い求めてきた小説のテーマごとに、それらが終焉したことを語っている。
 2章では、「芥川龍之介の終焉」「志賀直哉の終焉」と続き、「大江健三郎の終焉」「村上春樹の終焉」まで、作家ごとのスタイルとテーマを語っている。そして3章が、「戦争の終焉」「革命の終焉」など時代と小説との関連を語っている。
 しかもそれらのテーマ、作家、時代は、互いに独立するものではなく、複雑にからみ合って、しかも互いに触媒として変化をもたらす存在として位置付けられている。

 このなかの作家として、村上春樹が取り上げられているのだが、さらに最後の最後で、「小説の終焉」として次のように記述されている。

 一九七〇(昭和四十五)年を境にして村上龍と村上春樹が登場した。春樹が『風の歌を聴け』を世に出したとき、小説の風向きも変わった。龍も春樹も既存の小説からの訣別を宣言して出発したが、彼らの小説は深い地下水脈で戦後以後の小説とつながっていた。その龍と春樹が終わりの場所まで歩いてしまった。『風の歌を聴け』の世界は『海辺のカフカ』で一巡し、春樹はふたたび風の音を聞く場所に立っていることが確認できよう。
――川西政明『小説の終焉』より

『海辺のカフカ』以後、つまり『アフターダーク』は、ではどのように位置付けられるのか。そんなことを考えながら『アフターダーク』を読むと、また異なった趣きさえある。
 もちろん川西は、『小説の終焉』によって、日本の小説が全的滅亡をした、といっているわけではない。だが、たしかに120年かかって綿々と綴られてきた小説は、どうやらここにきて滅亡しつつあるようだ。小説が存続するためには、非滅亡のかぼそい一線を発見し、そこから再び出発するしかない。
 その「かぼそい一線」は、残念ながら『アフターダーク』のなかにはまだ読み取れない。

投稿者 kazumi : 18:38 | コメント (0)

2004年09月21日

THE WRONG GOODBYE

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ
 帯には、「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」とあります。三島由紀夫賞受賞第一作となる、「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」(矢作俊彦/角川書店)です。

 2004年に三島賞を受賞したのが「ららら科學の子」(文藝春秋)ですが、それ以前にも「スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行」「マイク・ハマーへ伝言」「あ・じゃ・ぱ!」、それに「気分はもう戦争」など、必読書ともいえるものが何冊もあります。

 その矢作の、19年ぶりのハードボイルドといえば、もう読まずにはいられません。「リンゴォ・キッドの休日」(78年)、「真夜中へもう一歩」(85年)に続く、二村永爾シリーズの3作目です。

「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」という帯の言葉には、若干異論もあるでしょう。原りょうあたりのほうが、「美しい日本語の、ハードボイルド」という気がしますが、どちらも甲乙つけがたいのは言うまでもありません。

 今年ももう3分の2を過ぎてしまいましたが、今年一番の収穫かもしれません。

投稿者 kazumi : 01:27 | コメント (0)

2004年09月17日

平凡パンチ1964

 雑誌の仕事を減らしてから、だいぶたつ。もともと月刊誌から入り、雑誌を渡り歩いて、その雑誌の記事から単行本を書くようになり、現在ではほとんど単行本を月刊誌のように書いている。

 しかし、それでも雑誌は好きだ。原点だとも感じている。まだ中学・高校で田舎にいたとき、東京の情報はテレビよりもむしろ雑誌から入ってきた。毎日学校帰りに書店に寄り、1時間ほど飽きずに色んな雑誌を立ち読みしていた。毎日3件くらいの書店に寄っていたものだ。
平凡パンチ1964
 平凡パンチが創刊されたのは、残念ながら記憶にない。1964年だから、ぼくはまだ小学校の低学年だった。しかし、それから2、3年後には、秘かに近所の書店でときどき買っていた、マセたガキだった。
 その当時の平凡パンチの話、それに続くデラックス・パンチの話を、創刊に立ち合い、実際に編集し、のちにマガジンハウスの社長になった赤木洋一が書いたのが、「平凡パンチ1964」(赤木洋一/平凡社/平凡社新書)だ。平凡パンチよりも、ほとんどがデラックス・パンチの話で占められている。

 パンチやデラパン(デラックス・パンチ)そのものも面白かったが、それを編集していた編集部の話はもっと面白い。そして、それを可能にしていた時代そのものも。それを当事者が書いているのだから、面白くないわけがない。一気に読んでしまった。

 現在の雑誌には、まだあの当時のような熱気は残っているのだろうか。雑誌や雑誌編集部から遠ざかってしまった現在、ぼくには知る術もないが、当時の平凡出版(現マガジンハウス)のような熱気や活気、あるいは名物編集者は、もう存在しえないのではないだろうか。

 数年後、ぼくはパンチの対抗誌で毎週記事を書くようになったが、まったく同じ頃に友人がパンチで記事を書いていた。もともと別の雑誌の記事を共同で書いたりしていた友人だったし、アパートも近所だったから、当然ながら日常的に会う。いっしょに昼飯を食べながら、次の企画を回したり、取材先を紹介しあったりして、飯が終わるとそれぞれ対抗する編集部に顔を出したりしていた。

 雑誌は、面白かった。毎週違うネタで飛び回り、原稿を書きなぐっていた。締め切りが終わると、編集者と六本木にくり出し、朝まで遊びまわっていた。その六本木で、テレビ関係者とも会い、やはり遊びまわった。

 青年誌だから、当時取材した人の多くは有名人か学生だ。その学生のなかには、いまや超有名人になってしまった人さえいる。某大企業の社長になった人もいる。まだ大学生で、いっしょに遊んだりしていた人だ。

 平凡パンチの時代も、ぼくがまだ週刊誌で動き回っていた時代も、面白い時代だったなあと思い出さずにはいられない。そのパンチが廃刊し、ポパイが路線変更、ホットドッグプレスも廃刊が決まった。雑誌が部数を落とし、出版そのものさえ不況の波にアップアップしている。時代の曲り角にきているのだろう。「平凡パンチ1964」は、その意味でいえばタイムリーな本でもある。

投稿者 kazumi : 10:47 | コメント (0)

2004年09月08日

ライダー定食

 打ち合わせに出たついでに、新宿紀伊國屋に寄ったら、東直 己の新刊が出ていました。
ライダー定食
 「ライダー定食」(東 直己/柏艪舎)です。5編の短編小説が収録されています。
 この5編のうち、表題となった「ライダー定食」を除き、10年以上前に発表されたもので、東がプロとしてデビューする以前に書いたものです。というわけで、いわば東の原点ともいえる小説かもしれません。
 それについては、大森望氏が帯に書いています。「東直己の原点とも言うべきサイケホラー短編集」とある。

 久しぶり(でもないか。「札幌刑務所4泊5日」参照)以来だから、約3カ月ぶりになるけど、東としては“立て続け”って感じさえしてしまう。

 表題になった「ライダー定食」は、味付けの変わった小説だった。これまで読んできた東の小説が、かなりストレートだと感じていたのに対し、「ライダー定食」は最後の最後にどんでん返しがある。それまでの文章も、東らしくない不思議な味付けがされた文章だ。

「納豆箸牧山鉄斎」「ペレリヌム・ハペリタリア」「炭素の記憶」といった、いずれも東らしくない短編が続く。デビュー前の作品とはいえ、現在の文章と比べても、“東らしくない”と感じてしまう。試しに、寿郎社のサイトで連載されているStrong>「東直己の固ゆで日記」と比べてみてもいい。エッセイとはいえ、こちらのほうが現在の東の小説に近い。

 しかし、いずれにしてもデビュー前の小説を集めたとはいえ、東の新刊が読めただけでも幸福としよう。

投稿者 kazumi : 04:16 | コメント (0)

2004年09月07日

超零戦、飛翔せよ!

超零戦、飛翔せよ!
 数日前にいただいた本ですが、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」を読み、京ぽんなんぞにハマっていたため、未読でした。

 「超零戦、飛翔せよ!」――風濤の艦隊 第 2部
 菅谷 充
 有楽出版社/ジョイ・ノベルス

 菅谷さんの人気シリーズ、「風涛の艦隊」の第2部です。アメリカ陸軍のリパブリックP-47C「サンダーボルト」と、日本海軍の新型戦闘機「超・零戦」が登場し、派手な対決を繰り広げます。
 不謹慎かもしれませんが、読んでいて胸がワクワクするのを止められません。まあ、小説ということで許してもらおう。

投稿者 kazumi : 03:39 | コメント (0)

2004年09月01日

ハリー・ポッター第5巻到着

 朝まで仕事をして、さて寝ようかなと思っていたところに、荷物が届いた。9:30a.m.Amazonからの荷物は、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(J. K. ローリング/松岡佑子訳/静山社)。予約開始と同時に申し込み、首を長くして待っていた本だ。

 早いところでは、今朝の5時から発売開始されたそうで、前日、つまり昨日の夜9時ごろから並んだ人もいたとか。

ハリポタ第5巻、日本で発売 未明の行列200人 - asahi.com : 社会

世界的なベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの第5巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(静山社、上下巻セットで4200円・税込み)の日本語版が1日、全国一斉に発売された。初版発行部数は、日本国内の出版史上最多の290万セット。

 シリーズ全巻を読んでいるが、確かに面白く、読者が多いのも当然なのだが、しかしなあ、初版290万セットだもんなあ。ある意味、異常としかいいようがない。

 届いた本をひもとき、少し読んだけど、いつものJ.K.ローリング節。ついつい読みふけって、すっかり寝そびれてしまった。
 午後から近所の書店に様子を見に行ったら、入り口の特等席に平積みで100セット以上が積まれている。ああ、やはり異常だ。どのくらい入荷したのか知らないが、そんなに売れるんだろうかと他人ごとながら心配になってしまう。
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻
 1冊の本、というより2冊でセットなのだが、それがごく短期間で300万セット近くも出るというのは、出版界にとっては喜ばしいことではない。異常すぎるのだ。確かに面白いし、売れて当然なのだが、その数字がどうもおかしい。読書離れを加速させているとしか思えないのだ。

 じゃあお前も売れる本を書けばいいとか、売れる本を出せばいい、といった反論も出るのだろうが、売れればいいというわけじゃないのが出版の面白いところ。異常に突出した売れ方をする本が出ると、他の売れないが良書という本を食い、ますます売れなくなってしまう。

 まあ、いずれにしても、この2冊で2、3日は楽しめるから、いいか。

投稿者 kazumi : 19:11 | コメント (0)

2004年08月31日

いまさらながら、京ぽんが欲しいかも

 いまさらながら、京セラのPHS端末AirH”PHONE AH-K3001V――通称京ぽんが欲しいな、と思いはじめています。
 発売当初から、というより発売前の発表のときから、これはどうしても手に入れたいなあと思っていたのですが、発売日を逃したらもうモノがなくなっていて、いつ入荷するかもわからない状況。まあ、とくにどうしても必要というわけではなかったので、そのまま放っていたのです。

 で、少したってから考えたら、ザウルスやノートパソコンではPHSカードとしてDoCoMoの@FreeDを使っていたため、京ぽんの魅力は携帯電話にOperaが乗っていて、しかも定額でWebが見られる、という1点に絞られてしまうんですね、ぼくとしては。
京ぽんの本―京セラAirH″PHONE AH‐K3001V活用術
 ところが、DDIポケットの定額サービスのつなぎ放題は、32kbpsという速度。@FreeDの64kbpsは倍のスピードだが、それでもストレス溜りまくりの速度。半分の32kbpsでは、早晩使わなくなってしまうだろうと思いはじめたわけです。

 そんなわけで、物欲もおさまっていたのですが、今日打ち合わせの帰りに書店に寄ったら、京ぽんの本を見つけてしまいました。ちなみに、いまAmazonでは「在庫切れ」で、かなり売れてるようです。

 その「京ぽんの本-京セラAirH″PHONE AH‐K3001V活用術」(魚輪タロウ/毎日コミュニケーションズ)をぱらぱらと見ていたら、いくつか面白い話題が載っていました。

 そのなかのひとつに、「airproxyで京ぽんのOperaを速くする!」というのがあります。airproxyというソフトをパソコンにインストールし、このパソコンのairproxyにアクセスすると、京ぽんのOperaの要求を圧縮して返答してくれるのだとか。
 32kbpsの京ぽんのアクセスが、どの程度に改善されるのか、これは実際に試してみないと何ともいえないわけで、俄然興味がわいてきました。

 この本では触れられていませんが、Linuxザウルスに京ぽんをつなぐ方法もあります。さるがとんだらというサイトに詳しく書かれているので、もし京ぽんを購入することがあれば、試してみたい。

 しかしなあ、京ぽんがあれば、Linuxザウルスでネット接続することもないかもしれないなあとか、せめて64kbpsだったら即購入なのになあ、などと悩んでしまいます。京ぽんを買えば、当然@FreeDは解約することになるだろうし。@FreeDも、定額ながら、料金分も使ってないしなあ。FOMAにOperaが載って定額なら最強なのになあ、とか。悩みは尽きません。いやあ、罪な本です。

投稿者 kazumi : 02:35 | コメント (0)

2004年08月25日

青山ブックセンター営業再開

 ここでもお伝えした青山ブックセンターですが、日本洋書販売の支援で再開されることになったそうです。

経営再建中の「青山ブックセンター」、営業再開へ - asahi.com : 文化芸能
経営再建中の書店「青山ブックセンター」を支援している日本洋書販売(洋販)は24日、同書店の青山本店と六本木店の営業を9月29日から再開する、と発表した。また、広尾店は同11日に洋販の子会社の書店「流水書房」の広尾店としてオープンする。

 しかし、出版事情が好転したわけでもなく、景気がそれほど回復してきたわけでもありませんから、前途は多難だと予想されます。

 青山ブックセンター(ABC)は、独自の棚揃えやブックフェアなどでも定評があり、これもかなり評価されていました。それが時代に合っていたのか、出店場所の土地に合っていたのかなどの問題もありますが、独自の色が出ていた書店としては、かなり営業努力を行なっていた書店です。

 もちろん、書店としての営業以上に、出資先の倒産という大きな要因があったものの、しかしあのABCさえも、というのが閉店の報を聞いたときの偽らざる感想でした。
 まあ、その独自性やファンの多さから、洋販が支援の手を差し延べたのでしょうが。しかし、出版界が不況なのに変わりはないわけで、これからも大変でしょう。

 その出版界の新しい道が、少し見えてきました。という話は、次の機会に。

投稿者 kazumi : 04:55 | コメント (0)

2004年08月24日

土日社長で収入3倍!

 ブログのブームからか、ブログやWebページでアフィリエイトを行なっている方がたくさんいらっしゃいます。このブログでも、アマゾンアソシエートを利用していますが、それは書影が利用できるというのが大きな理由だったりします。

土日社長で収入3倍!
「土日社長で収入3倍!」
→ Amazonで購入
 このアフィリエイト、パソコン系の本で解説書が何冊も出てきてますが、こんなのもありました。  「土日社長で収入3倍!」(日向咲嗣/講談社プラスアルファ文庫)という本。とうとう講談社文庫(プラスアルファだけど)から、このテーマの本が出るようになったんですね。しかも書き下ろし。

 内容的には、ネットオークションからネットショップ、メルマガなどで、アフィリエイトに関してはあまり触れられていません。30の実例も紹介してます。
 書き下ろしながら、内容的にはちょっと古いかなという感じがしないでもないんですが、これからネットで副収入を得てみようかな、という方には入門書として参考になるかもしれません。

 厳しい経済環境のなかで、この副収入ものの本って、けっこう出てますね。
 以下、参考までに。


投稿者 kazumi : 03:31 | コメント (0)

2004年08月22日

ハリポタ第5巻9月1日早朝販売

 もやはお祭りになってしまいましたね。ハリー・ポッターの第5巻は、9月1日の午前5時に発売解禁だそうです。

ハリポタ第5巻、全国で早朝販売 解禁日の9月1日 - asahi.com : 文化芸能
 J・K・ローリングのファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ第5巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の日本語版が発売される9月1日、各地の書店が早朝販売に踏み切る。上下巻で4200円(税込み)と値が張るが、多くの予約が集まり、初版部数は過去最多の290万セットにものぼる超人気本。朝の通勤、通学客を念頭に、書店は手ぐすねひいて当日の朝を待っている。

 5時に売り出すのは、大阪旭屋書店。新宿紀伊國屋は午前6時半、東京八重洲ブックセンターが7時などとなっているそうです。
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻
ハリー・ポッターと
不死鳥の騎士団

Amazonで予約受付中) 

 予約数だけ見ても、売れるのはわかっているんですが、それにしても本の発売で、こんなお祭り騒ぎになったのは久々です。というか、発売解禁時間が指定されたなどというのは、前代未聞なんじゃないでしょうか。

 これが出版不況脱出となるかというと、まったく逆でしょう。1冊集中するだけの話で、その分他の本が売れなくなるんじゃないでしょうか。出版そのもののパイは、大きくなっていないんですから。
 本が売れると、出版社が潰れるという悪循環です。

 ともあれ、アマゾンでは23日までの予約なら、解禁日9月1日の午前中に届けてくれるそうです。

投稿者 kazumi : 03:43 | コメント (0)

2004年08月08日

ホットドッグ・プレス休刊

 よく頑張ったと思いますね、ホットドッグ・プレスは。

「ホットドッグ・プレス」休刊、誌面刷新も部数伸びず - asahi.com : 文化芸能  講談社は6日、男性誌「ホットドッグ・プレス」と女性向け実用誌「マイン」を11月発売号を最後に休刊することを明らかにした。
 まだ駆け出しのライターのころ、1度だけホットドッグ・プレスに記事を書きました。ホットドッグ・プレスは、79年の創刊だというから、創刊してまだ間もないころだと思います。  でも、どうしてホットドッグ・プレスに記事を書いたのか、記憶がない。

 打ち合わせで、音羽の講談社に行きました。それまでにも講談社の別の月刊誌の仕事をしてたので、講談社ははじめてじゃなかったけど、ホットドッグ・プレスの編集部は新館にあった。こちらははじめて。
 若い編集者、といっても、こちらもまだ20代前半だったけど、その編集者と打ち合わせをし、横浜のサーフショップに取材に行くことになりました。カメラマンとともに取材。あの手の雑誌のショップ紹介だから、原稿だってたかがしれてた。それでも、都内から横浜まで往復し、原稿を書いて、写真にキャプションを付け、1日仕事だった。
 その原稿が、3分の1ページほどの分量で掲載され、確か原稿料が1万円にならなかったんじゃなかったかな。あまりの効率の悪さに、1回だけでやめてしまいました。

 当時この手の雑誌といえば、先行するポパイと後追いのホットドッグ・プレスのみ。前後して、ぼくは青年週刊誌の記者として取材、執筆をしてましたが、こちらは特集4ページで、取材費3万円、原稿料4万円だった。都内2、3件の取材と、電話取材だけなら、取材費はほとんど残り、週1本で7万円の収入になった。それと比べると、やはりホットドッグ・プレスは効率が悪すぎた。

 同じころ、やはり講談社系の新しい出版社から新雑誌が創刊された。その創刊準備号、俗にいう創刊0号に、週刊誌に掲載されたぼくの記事を見て、編集者から記事を書いてくれと依頼があった。10ページ近くの記事だった。その記事をもとに、1年後には単行本が出せた。はるか昔の話だな。

 そのときの編集者から、今日ハガキが届いた。女性誌の編集部の、社長になっていた。

投稿者 kazumi : 03:19 | コメント (0)

2004年08月06日

新刊「ウィンドウズの仕組みがわかるとカスタマイズに強くなる」

 先月書いていた本が、やっと出ました。

『Windows98/98SE/Me/2000/XPフル対応版
 ウィンドウスの仕組みがわかるとカスタマイズに強くなる』
(武井一巳/メディア・テック出版

 現在利用されているであろうWindowsの、98/98SEからXPまで、フルに対応したWindowsのカスタマイズについて解説した本です。
 Windowsのカスタマイズといっても、それぞれのバージョンによって大きく異なります。異なりますが、もちろん共通の操作もあります。共通の操作から、それぞれの固有のカスタマイズまで、幅広く解説しました。

 ただし、すべてのバージョンに対応したため、初心者向けの簡単なカスタマイズがメインで、上級者向けのディープなカスタマイズまでは解説していません。レジストリの操作などについていくつか紹介しましたが、実際にはひとつのバージョンでカスタマイズ系のレジストリ操作の解説をするだけで1冊の分量になりますから、取り上げられる分量はごくわずかです。

 現在でも、企業やオフィスではリース切れ前の98やMeを利用しているユーザーがいらっしゃいます。また、パソコンを購入し、Windows98やWindowsMeがプリインストールされていた、というユーザーもいるでしょう。
 それらのユーザーが、より快適にWindowsを、そしてパソコンを利用するために、役立てていただければと思います。

投稿者 kazumi : 00:22 | コメント (0)

2004年07月28日

不良のための文章術

 毎日毎日、いくつものブログを巡回している。RSSリーダーに登録しているブログだけでも、100箇所近くある。
 それらのブログは、RSSリーダーで巡回すると、ほんの20秒ほどで新しく登録された記事のタイトルだけを取得してくれる。そのタイトルを見ながら、読みたい記事を指定してやると、新規の記事だけが表示される。

 実に便利なのだが、このRSSリーダーの欠点は、最初にタイトルしか取得されない点だ。タイトルだけでは、その記事が面白いのか役立つ情報なのか、判然としない。
 ただし、RSSの作り方によっては、概要も取得されて表示されるから、その概要をちょっと見るだけで、たいていの記事が判断できる。

 この点を逆に考えれば、RSSリーダーが普及すると、ブログではタイトル付けや概要の書き方が重要な意味を持ってくるということがよくわかる。

 タイトルは、記事とは別に付けることができるし、これは誰もがかなり気にしているだろう。

 概要は? ブログ、とくにMovable Type系のブログでは、RSSの概要として載せる単語数を設定することができる。単語数なんていうのは、日本語ではほとんど無意味なのだが、それでも概要が掲載できるという点だけでも覚えておいたほうがいい。

 RSSリーダーで概要を取得し、読むか読まないかを判断するなら、概要の書き方、つまりMovable Typeなら記事の書き方そのものにも工夫が必要になるからだ。これについては、また別の機会に書いてみよう。今回は、記事そのものの書き方について。
<不良>のための文章術
 書店で「<不良>のための文章術」(永江 朗/NHKブックス)という本を見つけた。永江さんの本だ。「不良のための読書術」(永江朗/ちくま文庫)に引っかけて「<不良>」とタイトルを付けたそうだが、もちろん本当の不良のための文章術なんかじゃない。

 <不良>とは、「不良品」、つまり「良品」ではない、という意味だ。その「良品」とは、教科書に載ってるような、正しくて美しい日本語・文章のこと。そういう「良品」ではない「不良品」の文章とは、どこか過剰で、何かが欠落しているが、おカネになる文章のことだ。

 プロの文章は読者のためにあります。読者ができないことを書き手が代行し、読者に満足を与える文章です。ただし、これは読者に媚びへつらい、おもねり、すり寄り、慰撫する文章を書けという意味ではありません。読者を苛立たせ、不快にし、立腹させる文章もプロの文章です。
――「<不良>のための文章術」(永江 朗/NHKブックス)

 随分前に連載していた某コラムで、これを実践したことがある。読者を挑発し、立腹させ、議論を巻き起し、そして疲れた。こういうのは、書きっぱなしの活字メディアでやることで、少なくとも読者がコメントできるような場では、あまりやらないほうがいい。その後の議論や誹謗をすべて引き受けるというなら、実に有効な手段でもあるんだけど。

 この本には、他にも実に有益な文章術が、具体的かつ実戦的に書かれています。自分の文章を出し、あるいはサンプルを出し、そのどこをどう書き換えればどうなるのか、といった実戦的な説明が続きます。
 ライターとしては、ぜひ読んでおきたい1冊です。

 さらに、ブログをやってる方なら、やはり読んで損はない本でしょう。おカネをとるかどうかは別として、他人に読んでもらう文章なら、やはり「不良」の文章のほうが楽しい。

 ただし、疑問符がないわけでもない。
 この本に書かれている文章術は、多かれ少なかれ、プロならほぼ実践していること。ライターが実践しなくても、編集者ならこれらの点を考えて原稿を直しているはず。

 そういうプロのライター、あるいはおカネのとれる文章が、現実にはおカネがとれなくなっているわけです。それはシステムにもおおいに問題があるんだけど、おカネのとれない、あるいはおカネなど目的としていないインターネット上の文章に、活字メディアが客を奪われているという現実があるわけです。

 それはことによると、文章術の問題ではないんじゃないだろうか、と最近考えています。内容も、もちろん問題で、活字メディアがいまのような内容しか扱えないのなら、早晩、活字メディアは衰退して、ことによったら消えてしまうでしょう。では、どうするのか――。どうしたらいいんでしょうかね。

投稿者 kazumi : 15:14 | コメント (0)

2004年07月27日

中島らもさん死去

 作家の中島らもさんが死去されました。

作家の中島らもさんが死去 - asahi.com : 社会
「ガダラの豚」などの小説で知られる作家の中島らも(なかじま・らも、本名・裕之=ゆうし)さんが26日午前8時16分、脳挫傷などのため神戸市内の病院で亡くなった。52歳だった。

 神戸市内で酒を飲んだあと、階段で足をすべらせて転落し、そのまま意識が戻らなくて死亡されたそうです。
 らもさんらしいとも言えるけど、ひじょうに残念です。
今夜、すべてのバーで
 吉川英治文学新人賞をとった「今夜、すべてのバーで」(中島らも/講談社文庫)や、日本推理作家協会賞長編賞をとった「ガダラの豚」(中島らも/集英社文庫)、あるいは「リリパット・アーミー」(中島らも・わかぎえふ/角川書店)「アマニタ・パンセリナ」(中島らも/集英社文庫)など、好きな作品がたくさんありました。

 今年になっても、大麻取締役違反で逮捕され、有罪判決を受けましたが、これも「牢屋(ろうや)でやせるダイエット」(中島らも/青春出版社)「こどもの一生」(中島らも/集英社)などを出し、精力的に活動していました。

牢屋でやせるダイエット エッセイもたくさん出していますが、ぼくはほとんど読んでいません。「ガダラの豚」は長編でしたが、これまで読んだどの小説にもない奇妙さと面白さが同居していて、これ1冊ですっかりファンになってしまいました。
 アルコール依存症と大麻。それが「今夜、すべてのバーで」「アマニタ・パンセリナ」といった作品に反映されていますが、これまた素晴らしく面白い話でした。

 とても、残念です。ご冥福をお祈りします。

投稿者 kazumi : 22:53 | コメント (0)

パターン・レコグニション

 あまりの暑さで、夕方からクーラーをつけ、別の部屋でもクーラーをつけ、パソコンの脇で扇風機を回し、ついでに炊飯器のスイッチを入れたら、ブレーカーが落ちた。

 まあよくあることで、どうもうちは炊飯器というのが鬼門で、ついでに電子レンジのスイッチを入れると完璧で、これで必ずブレーカーが落ちる。
 ブレーカーが落ちるのはしょうがないんだけど、無停電装置なんて付けてないから、当然ながらパソコンも落ちる。しょうがねーなーなんて言いながら、パソコンの電源を入れたら、これが入らない。何度スイッチを入れてもダメで、裏蓋をあけ、CMOSなんぞリセットしても、これまたダメ。とうとうお逝きになってしまった。

 電源が入らなくなったのは、セカンドマシン。原稿書き用のマシンは大丈夫だったが、ソフトを試用したりするためのマシンが動かなくなってしまった。このマシンでは、TVチューナーボードを入れ、予約録画をしたり、DVDを作ったりもしている。原稿書くとき以外は、もっぱらその用途に使ってたりするのだが。

 さらに、サーバとしても使っており、自宅Webサーバもメールサーバも使えなくなってしまった。急遽、別のマシンでサーバを立ち上げ、Webサーバもメールもなんとか支障なく使えるように設定。この緊急用のマシンは、小さなノートパソコンだったりする。

 そんなわけで、昨日は新宿に出て、さくらやでPCケースを物色。とりあえず、電源だけありゃいいんだけど、ついでにケースごと買ってしまおうと思ったのだ。セカンドマシンにフルタワーというのもどうかと思い、通常のタワー型のケースを購入。これで中身を入れ替えて、それでも動かなかったら、今度はマザーボードだな。やだなあ、面倒くさいし。

パターン・レコグニション その新宿で、「パターン・レコグニション」(ウィリアム・ギブスン/浅倉久志訳/角川書店)を購入した。前からずっと買おうと思っていたのだが、近所の書店ではついぞ見かけなかった。で、忘れていたのだが、日曜の朝日新聞の書評欄に載っていて、思い出したのだ。

 ギブスンといえば、「ニューロマンサー」(ウィリアム・ギブスン/黒丸尚 訳/ハヤカワ文庫SF)が有名だが、朝日新聞の書評でも書かれていたように、この「ニューロマンサー」があまりに傑作で、以後のギブスンには、ニューロマンサーに描かれたような未来社会の小説が期待され、ギブスン自身もこれに応えるかのような作品を書いてきた。

 それが今回の「パターン・レコグニション」では、時代を現代(2002年)に設定し、アメリカ、イギリス、日本、ロシアなどをめぐりながら、ネットワークと現実社会を描いている。いや、「本書は実は『ニューロマンサー』のリメイクでもある」(山形浩生――朝日新聞 04/07/25)といわれるような作品になっている。

 ニューロマンサーのリメイクかどうかは別として、実は現代のこのネットワーク社会が、ニューロマンサーに描かれた世界に近づいてきた、と見たほうが正解かもしれない。その意味では、「パターン・レコグニション」は、書かれるべくして書かれた小説なのだろう。

 巻末の解説に、巽孝之さんがギブスン公式サイトを紹介していた。ここでブログが読めるというのだ。実際にいってみたら、ブログはもう更新されていないみたいだった。

投稿者 kazumi : 13:53 | コメント (0)

2004年07月24日

世界を変えた地図

 原稿が終わったと思ったら、すぐにゲラが出てきて、この著者校がタイトなスケジュールで、原稿を書くよりきつかった。
世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生
 それがやっと終わりました。終わったとたんに、すごい本が届いた。「世界を変えた地図-ウィリアム・スミスと地質学の誕生」(サイモン・ウィンチェスター/野中邦子訳)早川書房です。

 装丁といい中身といい、歴史科学ノンフィクションの大著です。こういう本に出会えるのもまた、読書の醍醐味です。

 地図といえば、世界地図や日本地図を思い浮かべます。あるいは、メルカトル図法だの透視図法だのといった、地図の種類もあります。でも、ウィリアム・スミスが描いたのは「地質図」。
 この地質図というのは、地層の岩石や土を、色刷りであらわしたもので、これをはじめて作ったウィリアム・スミスは、地質学では必ず登場する重要人物。

 ただし、地質を観察し、地層を地図として表現し、地層図をはじめて「発明」することで、スミスは当時(18世紀)の科学界で迫害され、投獄さえされることになります。この地質図は、聖書の世界観を完全に覆すことになるからです。

 地質図をはじめて作成し、のちに「地質学の父」とまで称されるウィリアム・スミスの、苦悩と波瀾に満ちた生涯を描いたノンフィクションです。

投稿者 kazumi : 09:15 | コメント (0)

2004年07月21日

炎暑に「忘れる肌」

 朝まで仕事をしていて、というか、10時近くまで原稿を書いていて、さて寝ようかなと思ったが、あまりの暑さに寝られない。

東京都心、史上最高の39.5度 千葉・市原では40度 - asahi.com : 社会
関東地方は20日、高気圧に覆われて朝から気温が上昇、東京都心(大手町)で午後0時58分に39.5度まで上がり、同地点の1923年以降の観測史上、最高記録を更新した。これまでの最高は94年8月3日の39.1度。午後1時までには千葉県市原市で40度を観測した。気象庁は、日中にかけてさらに気温が上昇するとみており、記録的な厳しい暑さになりそうだ。

 各地の集中豪雨といい、この暑さといい、まさに異常気象。しかも、3台のパソコンを動かしながら、その脇で原稿を書いていると、クーラーも効かない。

忘れる肌
 仕事が忙しくなると、ついつい手近の本に手が伸びてしまう。買ったまま、積ん読状態だった本のなかから、「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)を読む。

 何を読んでもいいんだけど、文庫で、面白くて、現実逃避できる本ということで。ああ、し、締め切りが……。
 読者を本の世界に引き込むという意味では、この手の本は絶品かもしれない。

「いくぞ、由利」
「さあっ、いらして」
「全部、飲み干すんだぞ。おれのものをこぼしたら、承知しないからな」
「ああっ、飲めるのね。あなたのもので躯を染めることができるのね」
 由利が呻きながら、濁った声をあげた。先端の小さな切れ込みに舌を這わせた。鋭い快感が笠全体に生まれた。
「ううっ」
 合田は下腹が弾けるのを感じて、思わず声を放った。
「いくっ」
 白い粘液が幹の中心を駆けあがっていく。手足が痺れる。頭の芯に靄がかかり、すぐさま真っ白になった。
 口の中に溜まる粘液を呑み込みやすいように、いくらか頭をあげて口にゆとりをつくった。喉を鳴らした。二度、三度とつづけて湿った音があがった。
 合田は深呼吸をひとつした。その拍子に、わずかに幹の中心に残っていた白い粘液が押し出されていくのを感じた。
 それも由利は飲み干した。
 顔をあげた。艶やかな表情で、
「最後に残っていたのが、いちばん、美味しかったみたい……」
 と、低い声で囁いた。
「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)

 そうきたか。この小説、「飲み干す」のが鍵になってるな。
 三度は会わないと決めて、気ままに浮気を繰り返す主人公合田は、由利に会ってはじめてこの禁を破ってしまう。それほど由利はいい女なのだ。
 ところが、その由利の美貌と旺盛な性欲で、合田は由利に溺れかけてしまう。合田のつき放そうという言葉が、由利には愛の言葉として受け止められるという、いわばコミュニケーションの不一致。セックスだけを求める合田と、《愛のあるセックス》を求める由利。その由利が、合田にはじょじょに疎ましくなっていく。

 このままいってしまえ。
 合田はそう思った。その考えが浮かび、もっともそれがいい方法だと思った。性欲をぶつけあうだけの関係だとわかるはずだ。そうだ、それがいい。
 ぶぐりの奥で、堰に溜まった白い樹液が溢れそうになっているのを感じる。もうひとつ、快感にまみれたら、堰は切れるはずだ。
 腰を突き入れた。
 先端の笠が、喉の奥の肉にぶつかって歪んだ。そこから鋭い快感が生まれた。
「うっ」
 合田は呻き声を放った。同時に、由利が逃げられないように後頭部を両手で押さえた。白い樹液が噴出した。
「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)

 結局合田と由利は、最後まで通じ合えない。まあ、合田は通じ合おうなんて、端っから思ってなかったんですけどね。そんな合田に、最後に強烈なしっぺ返しが待っているとは、合田は想像もしてなかったでしょうね。

 と、今回はダカーポふうにまとめてみました。
 さて、こっちもラストスパート。次の締め切りも、すぐ目の前に控えてるし。

投稿者 kazumi : 08:51 | コメント (0)

2004年07月16日

直木賞と青山ブックセンターの閉店

 昨日発表された第131回芥川賞・直木賞ですが、前回があまりに大きな話題となったためか、今回は少し地味です。

芥川賞はモブ・ノリオ氏、直木賞は奥田英朗氏・熊谷達也氏 - asahi.com : 文化芸能

 第131回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞にモブ・ノリオさん(33)の「介護入門」(「文学界」6月号)が、直木賞に奥田英朗さん(44)の「空中ブランコ」(文芸春秋)と熊谷達也さん(46)の「邂逅(かいこう)の森」(同)が選ばれた。「邂逅の森」は6月に山本周五郎賞を受けており、初のダブル受賞となった。

 奥田英朗さんが受賞というのは、話題としてはわかるんですが。ぼくはまだ初期のころの「最悪」(奥田英朗/講談社)を出るとすぐに購入して読んだんですが、ぼくには合わなかった。
 もちろん、ぼくに合わなかっただけで、面白いと思う読者もたくさんいるはずなんですが。
空中ブランコ
 そんなわけで、今日は外出したついでに「イン・ザ・プール」(奥田英朗/文芸春秋)を購入してきた。直木賞受賞作の「空中ブランコ」(奥田英朗/文藝春秋)がなかったので、ちょっと読みたいと思っていた「イン・ザ・プール」にしたのだ。

 しかし、ほんとうに前回の芥川賞に比べると、今回はほとんど話題になっていない。芥川賞や直木賞の神通力も、ほとんどなくなってしまったってことなんだろう。
 そんななかで、こんなニュースもありました。

「ハリ・ポタ」第5巻日本語版、初版で290万部 - asahi.com : 文化芸能

J・K・ローリングの世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの日本語版の発行元の静山社は16日、9月1日発売の第5巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の初版を290万部に決めたことを明らかにした。

 初版が290万部。290万ですよ、2万9,000でも29万でもなく、290万! いま、ごく普通の本でも、初版は6,000~1万部といったところです。
 で、本が売れてる、なんて勘違いも出てくる。去年から今年にかけて、何冊もミリオンセラーが出ました。これは近年まれにみる現象でしょう。
 ところが……。
青山ブックセンター閉店 取次店が破産を申し立て-共同通信FLASH24:ニュース速報

【21:27】 芸術書などを中心にした書店「青山ブックセンター」が16日午後、青山の本店や六本木店などを閉鎖した。同日、債権者である取次店が、裁判所に破産を申し立てたため。

 衝撃が走りました。あの青山ブックセンターです。ABCです。いくつか支店があります。ぼくがよく行くのは新宿ルミネ店でしたが、それまでは赤坂店にもよく行きました。その青山ブックセンターが、閉店。

 本当に出版界は、どうなってしまうんだろう。

投稿者 kazumi : 21:54 | コメント (0)

2004年07月14日

文筆生活の現場

 ライターになって、というかライターとして記事を書くようになって、すでに30年近くなる。自分の最初の著書は覚えているが、共著だったため、ほとんど自分の本という意識がなかった。
 ひとりで書いた本が出たのは、ライターになって5年くらいたってからで、それから20年ちょっとで160冊の本を書いた。まあ、「ライターです」と言ってもいいと思う。それ以外の仕事、したことないし。

文筆生活の現場―ライフワークとしてのノンフィクション そのライターの仕事を、実際のライターが描いた本が出ています。「文筆生活の現場―ライフワークとしてのノンフィクション」(石井政之編/中央公論新社・中公新書ラクレ)です。

 佐野眞一さんを筆頭に、武田徹、藤井誠二、森建、江川紹子といったライターが、なぜライターになったのか、どのように仕事をしているのか、そしてその収支を書いています。

 本の裏表紙には、次のような一文が載っています。

 最前線を走る第一人者から新人まで、総勢12名の書き手が描く「ビジネスとしての執筆業」。夢の追求と生活収入の獲得を両立すべく奮闘している彼ら。その実情と本音を克明に初公開する。

 佐野さんとは縁があって、共通の編集者の結婚式でお会いしたりもしましたが、一緒に仕事をしたことはありません。森建さんは、彼が「ヴューズ」の記者だったころ、インタビューを受けたことがあります。何のテーマだったのか、実は忘れてしまった。当時は、とにかく取材を受けることが多く、月に4、5本は取材を受け、写真を撮られ、テレビやラジオに出ていた時期で、雑誌の取材など受けても忘れてしまうんですね。
 ただ、森建という2文字の名前で、若くて活きのいい記者だったという印象が残っていました。

 この本の著者たちは、雑誌や単行本のライターですが、共通するのはノンフィクションをライフワークにしている点。
 ただ、そのノンフィクションが、いまぜんぜん熱気がなく、それにともなって仕事の場も、収入も減少してきているという問題があります。

 いや、出版界そのものが、佐野さんの言葉のように「ごろごろ死体が転がっている」という状況です。
 現在、単行本を1冊書いて得られる印税が、なんとぼくが単行本を書き出した20年ちょっと前より数段落ちているんですよね。給料が、20年たったら下がっていたなんて業界は、ちょっと他にはないんじゃないでしょうか。
 雑誌の原稿料も、ほとんど変わらない。というか、雑誌の原稿料は上下の幅が広く、一律に上がったの下がったのといった比較ができない。20年、同じ雑誌に記事を書いていたら、きっとわかるんでしょうが。ただ、感覚的にはほとんど上がっていない、という感じです。

 もちろん、仕事量は30年近くもライターをやっていれば、それなりに増えるんですが、それにも限界がある。印税が安くなったからと、1年に50冊も60冊も本が書けるわけじゃない。思いっきり全速力で走っているのに、ゴールがどんどん遠ざかっていくような、そんな脱力感があります。それがライターの現状です。

「ライフワーク」と「ライスワーク」という言葉が、本書のなかにも出てきます。ライフワークを見つめながら、ライスワークをどうするのかという現実。ライフワークだけを目指すライターには、厳しい時代です。

投稿者 kazumi : 03:18 | コメント (1)

2004年07月10日

「東直己の固ゆで日記」が読める!

 寡聞にして(というか、何気どってんだよ、おまえ。無知なんじゃん)、ファンとしては大変申し訳ないんだけど、つい先ほどまで東直己のコラムが読めるのを知りませんでした。

「東直己の固ゆで日記」というのが、寿郎社のサイトで連載されていました。(しかし、ここのJavaScriptは曲者で、目的のページにどうやっても行けなかったりします。裏技使ってなんとか行ったけど)

 2003年8月5日のNo.101から、2004年7月9日のNo.100まで、バックナンバーも読めます。1日おき、週3回の掲載で、最新は7月9日、つまり昨日ですね。
 まあ、読めるのはいいけど、なんでナンバーがむちゃくちゃなんだろ。No.101以前のものもあるんだろうなあ。Webでは読めないみたいだけど……。

 とか言いながらよく見たら、この連載の前編、つまりNo.101以前のものなのかな、これは北海道新聞に連載されていたもので、東直己の「ススキノハードボイルドナイト」となって寿郎社から出版されているとのことでした。
ススキノハードボイルドナイト
 がびーん、もちろん持ってるよん。
 そっかあ、このコラムがあの本になったわけかあ。

 小説とはちょっと違うんだけど、東直己のコラムも読みごたえあります。小説は、ぼくは舞台が北海道である必要はなくて、これはもうどこを舞台にしても面白いハードボイルドだろうなあと思うんですが、コラムは札幌が舞台で、それ抜きでは面白さも3分の1くらい減ってしまうんじゃないかな。

 というわけで、またまたサイトを巡回するのが楽しみになりました。

投稿者 kazumi : 15:56 | コメント (0)

2004年07月09日

オンライン書店の限界

 原稿書きが大詰めで、ブログを更新する時間がありません。いや、時間はあるんだけど、頭が切り換えられない。

 そんななかで、書店に行くのだけが、唯一の楽しみになってたりします。たいした書店じゃないし、品数でいえばAmazonあたりのほうが当然ながら、ずっとたくさんの本があるんだけど。でも、書店の棚を見てるほうが落ち着く。

 なんでだろうとずっと考えていたら、本の並べ方に思い当たった。通い慣れた書店は、どの棚にどんな本があるのか、新刊がどこにあるのか、どの雑誌がどこにあるのか、ほとんどわかっているわけで、ひとまわりするとその日の新刊がだいたいわかる。
 大型書店に行ったり、初めての書店に行くと疲れるのは、どのあたりにどんな本が並べられているのかを把握するまでに時間がかかるからなんじゃないかな。

 オンライン書店も同じで、もちろんどのページにどんな本があるのかはわかるけど、基本は検索。目的の本があって、これを検索して初めて本と出会える。
百器徒然袋 風 それが便利なときもあるけど、落ち着かなかったり疲れたりして、新しい出会いを期待したりするのは、やはり無理があるんじゃないだろうか。オンライン書店の、今後の課題なんじゃないかな。
 などということをつらつら考えたりします。

 で、今日は書店で見つけた新刊を。
 講談社ノベルスで、「百器徒然袋 風」(京極夏彦/講談社)が出ていました。分厚くて、ぼく好み。京極ファンはたくさんいるんだけど、ぼくは京極の本なら無条件に買っちゃうというわけじゃない。やはり内容を吟味しちゃう。だって似たような内容ばかりになっちゃうから。ちゃんとした京極ファンじゃないんだろうな、たぶん。
 でも、買ってしまいました。読んでる時間、ないってば。

投稿者 kazumi : 08:11 | コメント (0)

2004年07月02日

追悼:広岡敬一

 期せずして、ふたりの作家の死亡記事が並んでしまいました。
 今日はルポライターの広岡敬一さんです。

ルポライターの広岡敬一さん死去 - asahi.com : 社会

広岡 敬一さん(ひろおか・けいいち=ルポライター)が6月21日、肺がんで死去、82歳。遺志により献体するため、葬儀の日程、喪主などは未定。

 享年82歳ですから、残念とはいえまだ救われます。
 広岡敬一といえば、「トルコロジー」(晩聲社)で一躍有名になってしまった、トルコ風呂専門ルポライターとよばれたジャーナリスト。それまで、雑誌、とくに週刊誌ではトルコ記事などがよく掲載されていましたが、そのほとんどは無署名記事でした。それが広岡さんの登場で、陽の目が当たるようになりました。

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「トルコロジー」(晩聲社)「ちろりん村顛末記」(朝日新聞社)「トルコロジストのせんちめんたるじゃーにー」(現代書林)「泡の天使たち」(講談社)「ストリップ慕情―浅草・吉原ロマネスク」(講談社)「戦後性風俗大系―わが女神たち」(朝日出版社)「昭和色街美人帖―私の"赤線時代"」(自由国民社)など多くの著書がありますが、いまでも手に入るのは、ほんの10冊程度でしかありません。

戦後性風俗大系―わが女神たち
 実は、もう30年近く前のことですが、ぼくがまだこの世界に入りたてのころ、サラリーマン向けの雑誌で「情報源」の特集記事を書いたことがあります。それはもう、政府公報から「こんにゃく新聞」(という業界紙さえある)、全国のミニコミ誌まで、面白い情報源として手に入るものを色々と探して解説記事を書いたわけです。

 このとき取り上げたもののひとつに、「全国ストリップ新聞」(確かそんな名前だったが、記憶は定かではない)というのがあり、編集長に取材でお会いしたんですね。
 台東区にある自宅兼事務所のマンションの1室で(そのときは気がつかなかったのですが、いま思えば、なぜ台東区に事務所があるのか理解できる)、業界の裏話などを聞いたんですが、このとき話の端々に出てきたのが広岡さんのことでした。トルコ記者として有名な広岡さんですが、ストリップにも詳しく、全国のストリッパーに愛されていたという話でした。
 そんな話を聞いて、いつかお会いしたいと思っていたものですが、結局果たせませんでした。

 またひとり、名物ライターが亡くなってしまいました。

投稿者 kazumi : 17:49 | コメント (0)

2004年06月29日

野沢 尚 追悼

 乱歩賞作家で、脚本家の野沢尚さんが亡くなったというニュースが届いた。

乱歩賞作家の野沢尚さん、自殺か 「眠れる森」脚本家 - asahi.com : 社会  作家で脚本家の野沢尚(ひさし)さん(44)が28日午後2時半ごろ、東京都目黒区の事務所で死亡しているのが見つかった。ひものようなもので首をつっており、遺書とみられる文書も見つかった。警視庁は自殺とみている。

 小説の新作のプロットが進み、NHKの「21世紀スペシャル大河」の脚本の話も進んでいる矢先のこととか。

破線のマリス 野沢尚の名は、乱歩賞を受賞した「破線のマリス」(野沢 尚/講談社)ではじめて目にした。乱歩賞受賞作ということもあり、発刊されるとすぐに購入して読んだが、本職が脚本家ということもあってか、映像的で面白い小説だった。

 それ以降に発売された小説は、それほど多くない。多くないが、なぜかほとんど読んでいない。講談社から何冊か文庫化されてもいたが、手に取るだけで購入にまでいたらなかった。ぼくとは相性が悪かったのだろう。

 その野沢が、なぜ自殺などしたのか。これからいろいろと憶測や噂などが出てくるのだろう。推理作家の最期としては、これも読者サービスかと思えるものでもあるが、それは不謹慎だろう。本人も周囲の人たちにとっても、深刻な問題だろう。

 真相はわからない。だが、もの書きにとっては決して明るい未来ばかりじゃないことは確かだ。
 今年の4月には、やはり作家の鷺沢萠さんが自殺されている(作家・鷺沢萠さん死去:自殺と判明――毎日新聞)。もちろん、人それぞれの理由があり、真相があるだろう。
 だが、ものを書き、それを公表していくということには、さまざまな軋轢があり、影響がある。ときには、何でこんな因果な商売をしているんだろうかと、自分を呪いたくなることもある。その自分の気持ちに、どうやって折り合いをつけていけばいいのか、ときどきわからなくなることもある。

 とかくに人の世は住みにくい……。

投稿者 kazumi : 08:33 | コメント (0)

2004年06月19日

パンドラ・アイランド

熾火 東 直己の新刊「熾火」(角川春樹事務所)が出たというので、近所の書店に行ったが、見あたらない。
 しょうがね~なあ。書店なんて、これだから。取次から届いた本は、その日の朝にとりあえず“今日届いた本”とかってコーナー作って、ランダムでいいから並べておけばいいのに。好きな客は、そこから自分で探すってば。
 しょうがないからAmazonで頼んでしまった。

 書店の棚を見ていたら、「パンドラ・アイランド」(大沢在昌/徳間書店)を見つける。こちらも新刊。東京中日スポーツに連載されていた「海と拳銃」を単行本化したものだ。帯には「ハードボイルド巨篇1100枚!」と書かれ、徳間書店創業50周年記念作品とある。
 ノンブル(ページ数ね)が530ページまで打たれていて、2段組み。表紙は、まるで海外のハードボイルドもののようで、雰囲気もいい。
 大沢在昌の本も、出たら全部買っちゃう。しかも分厚い長編となると、もろ好み。うれしくて、大事に抱えて帰る。

 話は変わるけど、Google AdSenseの審査に通ったので、さっそく埋めこんだけど、公共広告ばかり表示されてしまう。まあ、表示する広告の企業イメージを損なわないようにって、NGキーワードがあるんだけど、それに引っかかってるみたい。たぶん6月14日の東直己の文庫のタイトルだろうなあ。まっ、いいか。

 というわけで、Google AdSenseの代替広告を表示するように設定しました。この設定についても、いずれ紹介しますが、実はGoogle Adsenseで広告を表示させたとき、どんな広告が掲載されるのかを事前に知ることができるツールがあります。ownriskさんのところにあるGoogle AdSense Testというツール。これを使って、Google AdSenseを表示させたいページやサイトのURLを記入するだけで、どんな広告が掲載されるか表示されるっていう便利なものです。
 で、これでこのページを指定すると、やっぱり公共広告しか表示されないのでした。残念。

投稿者 kazumi : 04:58 | コメント (0)

2004年06月14日

札幌刑務所4泊5日

 以前ここでも紹介した東 直己の、新刊が出ていました。

 新刊といっても、以前出た本の再文庫化です。
札幌刑務所4泊5日
 光文社文庫の6月の新刊です。「札幌刑務所4泊5日」(東直己/光文社文庫)ですが、実は持っていなかったのです。
 持っていなかったのは当然で、この本は1994年に扶桑社文庫の1冊として発刊されたのですが、その後ずっと品切れ状態(というより、絶版状態)だったのです。最初に文庫で出たためか、見逃していたら、あっという間に品切れになってしまったのです。それがやっと再文庫化されたというわけ。

 あとがきでも記されていますが、著者唯一のノンフィクションであり、ルポルタージュであり、ドキュメンタリーです。内容は、タイトルそのもの。4泊5日で、札幌刑務所に入った著者の体験談です。

 収監されたのは、原チャリ(50ccバイク)でのスピード違反。罰金7,000円の違反キップを切られたのをいいことに、何とか刑務所に入ってみたいと悪戦苦闘し、やっと収監され、その体験を実に面白く再現したものです。

 ここまでするか、という感想と、そうだよな、するよなというモノ書きとしての共感。なかなかできることじゃあ、ありません。

 罰金を払わずに、刑務所に入る。それにはいろいろとメリットがある。罰金分のお金が確実に浮く。そしてまた、入所した期間の食費も確実に浮く。見聞を広めることもできる。
 入所前に考えていたメリットは、その程度だったが、その時には想像もしていなかった、思いもつかない利点もあった。
 健康診断が受けられたのだ。
――「札幌刑務所4泊5日」(東直己/光文社文庫)

 全編こんな感じで、初めての刑務所暮らしを、好奇心そのままに描いています。好奇心のかたまりです。見倣いたいほどの好奇心です。この好奇心が、札幌を舞台にしたハードポイルドを生み出す原動力になっているのかなあ。

 しかし、こんな面白い本が、10年近くも絶版状態にあったということが、出版界の危機的状況そのものを示してもいます。
 東直己、ますますのお勧めです。

投稿者 kazumi : 17:36 | コメント (0)

2004年06月06日

レーガン元大統領死去

 徹夜あけでネットを巡回していたら、レーガン元大統領死去のニュースが飛び込んできました。

レーガン元大統領が死去、93歳 - Yahoo!ニュース - 海外 - 読売新聞社
 ロイター通信によると、アルツハイマー病で療養中だったロナルド・レーガン元米大統領が5日、ロサンゼルスの自宅で死去した。93歳だった。ホワイトハウスもこれを確認した。

 レーガンが大統領に当選したとき(1981年)は驚いたものです。でも、そのうち大統領らしい大統領に見えてきたから不思議なものです。カリフォルニア州知事から大統領に当選し、最後はゴルバチョフと米ソ冷戦を終結させてしまいました。
 アメリカの大統領は、かなり古くからマスコミ対策に重点を置いていましたが、俳優出身ということもあってか、テレビカメラの前に立つときはドーランを塗り、化粧をしたことは有名でしたね。顔色をよくし、若々しく見せることにも腐心したそうです。そのくらい気をつかった。“強いアメリカ”の大統領が、高齢で弱々しく見えたのでは、国民にも影響するからです。

 日本の政治家も、そのくらい気をつかうべきなんですが、とても期待できない。取材を許可されている場所で、差し出されたテレビ局のマイクを壊した(これは警備員だけど)り、ニュースになるのがわかっているのに、参院本会議場の議長出入り口付近で取っ組み合ってみたり(もみ合ったとの報道だが)。老醜も、暴言も、見るにたえない。


イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた
 イラクで亡くなった橋田信介さんの著書「イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた」(橋田信介/アスコム)です。タイトルは「世界の中心……」のパロディですが、内容は比べものにならないほどいい。

 ちょうど今回のイラク行きの前に出演したテレビ番組を2本、見ていました。ああ、これこそジャーナリストだよな、という強い共感を覚えました。何とも残念です。

投稿者 kazumi : 08:17 | コメント (0)

2004年06月03日

夜の果てまで

 また、少年犯罪だ。今度は少女犯罪だが。

 6月1日に長崎県佐世保市で起きた、小学6年生が同級生をカッターで切りつけ、死亡させた事件だ。

asahi.com : ニュース特集 : 佐世保女児死亡
 長崎・佐世保で安倍氏講演、教育基本法改正の必要性強調 (06/01 20:15)

 おいおい、違うだろ。教育が大切なのは当然だし、その教育が変な方向に進んでいるのは確かだが、それが教育基本法改正につながるか?

 そんなことを思いながらニュースを見ていて、ふと思い出した。このところずっとレポートしている佐野眞一「だれが「本」を殺すのか (下巻)」のなかの一節だ。

だが管見では、この本がベストセラー化した一番の要因は、ひとえにそのタイトルの絶妙さにある。
「世界の」「中心で」「愛を」「さけぶ」と並べられれば、わざわざ本を開いて「読む」必要はなくなる。意地悪くいうなら、この本は日本人の「読む力」の衰退現象に実に巧妙につけこんでいる。

――「だれが「本」を殺すのか (下巻)」

 ちょっと違うと思う。が、半分はあたっているだろうなあ。なぜ、ちょっと違うと思うかは、この本のタイトルを見たときに感じたある種の違和感だ。
 実は、ぼくはこの本を読んでいないから何ともいえないのだが、タイトルだけでいえば、そのタイトルを見たときに、どこかで見たという既視感があった。いや、最初に書店で見たときは、どこかのテレビドラマのノベライズかと思った。

 ところが、ずっと気になっていたこのタイトルを、ある日、当の書店で発見した。ハヤカワ文庫で出ている「世界の中心で愛を叫んだけもの」だ。
 奥付を見ると、1979年1月の発行だから、「世界の中心で愛をさけぶ」(2001年3月)の20年以上も前になる。こちらの原題は「The Beast that shouted Love at The Heart of The World」だから、そのまんまだ。

 で、この「世界の中心で愛をさけぶけもの」が、そのタイトルだけで日本人の読む力の衰退現象につけ込んでいるかというと、そんなことはないわけで。まあ、20年前といえば状況があまりに違うから。

 しかし、どちらにしてもぼくは脅威的なベストセラーとなった「世界の……」を読んでいないわけだが、Amazonなんかで見ると実にひどい「評価」がなされている。
 曰く、「読んでてすごく恥ずかしくなりました」「ごめんなさい、ムリです」「タイトルに惹かれて買ってみましたが、全くの駄作でした」……。
 これだけ酷く書かれていると、逆にそれほどのものなら読んでみるかな、などとつい思ってしまいそうだが、しかしカスタマー・レビューが558本も書かれているというのは、それだけ読まれているという証拠でもあるわけで。

 だから、タイトルが「日本人の読む力の衰退現象に実に巧妙につけこんでいる」とは思えないわけだ。日本人好みの単語を並べた、とは言えるけど。

夜の果てまで しかし、「世界の……」のような恋愛ものを読むくらいなら、もっと上質な恋愛小説を読んだほうがいい。たとえば、「夜の果てまで」(盛田隆二/角川文庫)のような。

 それにしても、日本人の読む力の衰退現象というのは、たぶん着実に進行しているんだろう。その原因の一端が、教育にあるのは確実で、それが先のような事件の遠因にもなると推測されるわけだ。教育基本法を改正したくらいで、教育が良くなり、その結果「読む力」の衰退現象に歯止めがかかる、などとはとても思えない。

 盛田隆二は、90年に「ストリート・チルドレン」でデビュー。それまでに第2回ニッポン放送青春文芸賞佳作や第2回早稲田文学新人賞入選などもがあるが、デビュー作は「ストリート・チルドレン」だ。これは講談社から発売され、第12回野間文芸新人賞候補にもなったが、いまでは手に入らない。

 その「ストリート・チルドレン」が、2003年10月に新風舎文庫から復刻された。
 新風舎というのは、いわゆる自費出版系の出版社だが、「ストリート・チルドレン」が入っている新風舎文庫のデビュー作シリーズというのは、読者の要望によって復刻されたものだ。
ストリート・チルドレン
 野間文芸新人賞候補となり、しかもかなり評判の高かった本書が、発刊後わずか10年でなかなか手に入らず、他社から文庫化されなければならないという出版状況こそ、読者と出版との乖離を如実に物語っている。それを考えれば、読者の読む力は、憂慮するほどには衰えていないのではないかと思える。

 しかし、「夜の果てまで」は、もとは「湾岸ラプソディ」というタイトルだった小説を改題している。というか、これは「月刊カドカワ」に連載されていたものを加筆したのだが、連載中のタイトルが「夜の果てまで」で、単行本化するときに「湾岸ラプソディ」に改題し、さらに文庫化にともなって再び「夜の果てまで」に戻した、というのが正解だ。
 すでに「湾岸ラプソディ」を読んだ方は、「夜の果てまで」は同じ作品なんで注意。

投稿者 kazumi : 05:38 | コメント (0)

2004年05月31日

新書は肉マンの3分の1

 昨日、「だれが「本」を殺すのか(上・下)」(佐野眞一/新潮文庫)を紹介して、現在の出版界について少し考えたのに、その日のasahi.comでこんな記事を拾った。

「世界の中心―」「バカの壁」…出版救うかヒット旋風 - asahi.com : 文化芸能
 片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ」、養老孟司「バカの壁」など記録的なベストセラー書籍の登場が続いている。話題作に引っ張られ、97年から7年続く出版物の売り上げ減少にも底入れのきざしが見えてきた。いまなぜメガヒットが次々に生まれているのか。

 ああもう、ぜんぜんわかってないなあ、と。そうか、真正「バカ」なんだ。なんでメガヒットが生まれるか、というより、どうしてメガヒットになるのか考えたらわかりそうなものなのに。

 先の「だれが「本」を殺すのか(上・下)」(佐野眞一/新潮文庫)のなかに、こんな一節がある。

 新書のマーケット規模はおよそ百二十~百三十億円と推定されている。肉マンのマーケット規模が三百億円あまりといわれているから、その三分の一強の市場規模である。この全身から力が抜けていくような数字が、新書は所詮、子ども貯金程度の小銭稼ぎビジネスという冷ややかな見方の一つの根拠となっている。

(――『だれが「本」を殺すのか(上・下)」(佐野眞一/新潮文庫)より)


 この本には、「バカの壁」がなぜ生まれたのか、それがどうやって生まれたのか、そしてそれがどのような意味を持っているのかまで、当の「バカの壁」を編集した担当編集者にまで取材して、考察している。

 それにしても、新書マーケットが肉マンの3分の1とは。これなら肉マンの付録に新書を付けて売ったほうが、はるかに売れるんじゃないかな。カップ麺やお菓子にシングルCDを付けたら、シングルCDの売り上げがそれまでの何倍かになった、という話もあることだし。

投稿者 kazumi : 05:15 | コメント (0)

2004年05月30日

文庫「本コロ」

だれが「本」を殺すのか 上巻 今月の新潮文庫の新刊で、「だれが「本」を殺すのか(上・下)」(佐野眞一/新潮文庫)が出た。

 3年前、2001年に発刊された同書の、文庫化だ。出版や流通や本屋や読者や図書館……、いろんな話が出てくる。
 最近編集者に会うと、必ずそんな話でため息をつく。盛り上がるんじゃなくて、盛り下がるのだ。

 このところの出版界は、まさにボロボロの状態だ。ここにきて、ほんのわずかだけ底を脱したように見えなくてもないが、そんなことはない。実際にはまだまだ奈落の底に沈んでいくしかないのである。
「だれが「本」を殺すのか」(以下「本コロ」)は、その出版状況を、著者から出版社、取次、書店、読者まで縦断し、まさにこの状況を作り出した犯人探しを行なっていた。

 その「本コロ」の文庫化にあたって、佐野は「文庫版のためのやや長い前書き」と、「検死編」を書き足している。単行本として出した「本コロ」の部分を「捜査編」とし、犯人探しをした後、死んだ本を「検死」したわけだ。

 佐野がブロローグでも書いているが、出版界は97年以降7年連続で、前年の売上額を下まわっている。右肩下がりに推移しているのである。
 2003年には「バカの壁」(養老孟司/新潮新書)が、そして"文壇モーニング娘。"現象となった「蹴りたい背中」(綿矢りさ/河出書房新社)「蛇にピアス」(金原ひとみ/集英社)が、さらには「世界の中心で、愛をさけぶ」(片山恭一/小学館)がミリオンセラーとなった。「バカの壁」は300万部を超え、「蹴りたい背中」が120万部、「世界の中心で愛をさけぶ」が200万部を、それぞれ超えている。
 そして2004年9月には、世界的大ベストセラーであるハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(J.K.ローリング/静山社)が出る。

 だが、これが出版不況を脱するきっかけになる、などと考えたらそれこそ「バカ」の壁を超えられない真正ばかだ。
 なぜ、ミリオンセラーが出るのかについても、「本コロ」文庫できちんと説明されている。

 まあ、だいたいからして本をどのくらい買う(読むんじゃなくて、買う)か計算してみるといい。(株)ニックネーム・ドットコムが2004年3月に行なった第28回「本・雑誌の購入」に関するアンケートによれば、調査前の3ケ月間で購入した本・雑誌は、ともに「1~3冊」が41%でもっとも多くなっていた。3ケ月間で1~3冊、つまり、月1冊にならないのだ。年4~12冊。これじゃ書店も取次も、出版社も著者も、誰も潤うはずがない。

 出版なんて、業界全体で年2兆円ほどの売り上げしかない。トヨタの2004年3月の連結決算が、最終利益で1兆1,620億円。売上高でいえば17兆円だ。出版全体で、トヨタ1社の足元にも及ばないのである。

"システム作り"を、編集者と話したことがある。欧米の出版システムを取り入れたり、再販制度を崩壊させたり、流通を根底から覆したり、いろんなアイデアが出てくる。だが、それを颯爽と実行できる有能な人間が、たかだか2兆円の売上しかない業界に手を出すはずがない、という結論に達する。出版など、その程度のものなのだ。

 下巻で、「検死編」を書き足していると記したが、文庫化のために書き足したなどという分量ではない。文庫のページ数でいえば、下巻163ページから428ページまでの265ページ、それに上巻の「文庫版のためのやや長い前書き」20ページを合わせて、全部で285ページ分が追加されているのだ。ほぼ単行本1冊分が追加されているのである。
 となると、この「本コロ」の文庫は、単行本とは別物と考えてもいい。そして、書き足した部分が、まさに「本コロ」初出のときとはまったく異なる"いま"を捉えているのである。

投稿者 kazumi : 06:11 | コメント (0)

2004年05月26日

HAWAII

 遅れていた原稿が、やっと終わった。

 遅れていたのは、ぼくのせいじゃない。原稿は、先月末には上がっていたのだ。その後、編集の都合で少し寝かされ、その後着手したところ、ソフトがバージョンアップ。以前の版では画面掲載許可が下りず、結局半分書き直しとなった。書き直しに3日。それにしても、ケツの穴の小さな会社もあったものだ(と、言葉が悪い)。
 そんなこんなで、もう印刷にかかって、来月早々には配本されるはずだったのが、まだ形になっていない。

 書店に行ったら、月刊プレイボーイが出ていた。今月の特集は、「男のハワイ」。綴じ込み別冊付録に「PLAYBOY厳選 ハワイ・ホテル&コンドミニアム・ガイド」が付いている。

ハワイ暮らし成功物語 そういえば、ハワイは大好きなのに、もう5年ほど行ってない。一時は毎年夏とか冬とか、シーズンに関係なくハワイに行ってたのに、いつだったかたまにはグァムにでもと行き先を変更したら、季節外れの大型台風の到来で、成田で足止めをくらって、結局キャンセル。代理店が雲隠れして、旅行代金も戻らず、さんざんな目にあって以来、どこにも行ってないなあ。

 そのハワイ、旅行ガイドはたくさんあるのに、ハワイに関するちゃんとした本はあんまりない。
 そんななかで、最近出た「ハワイ暮らし成功物語」(はたせいじゅん/えい(木偏に世)文庫)を読んで、ハワイ暮らしもいいなあなんて思ってみたりする。いまの日本は終わってるもん。
 しかし、観光じゃなくて暮らすとなると、相当な苦労があるみたいだ。暮らしそのものはいいのだが、それまでの手続きやら何やらで、それだけで挫折してしまうだろうなあ。

ハワイイ紀行 完全版 ハワイ本でお勧めは、なんといっても「ハワイイ紀行【完全版】」(池澤夏樹/新潮文庫)だ。ハワイの歴史から風土、本当の素顔など、綿密な取材でまとめられている。ガイドブックには決して載っていない、ディープなハワイの話は、ポリネシア文化センターやビショップミュージアムを丹念に見て回ったような錯覚さえ覚える。

 ハワイに行けないから、ときどきWebでハワイを見て回る。いまハマっているのが、プーコのハワイ生活というウェブログ。ハワイに住む主婦兼ウェブライターのページなのだが、ハワイの日常や現地にいなければわからない情報など満載。
 Almost Paradiseも面白い。こちらはハワイ移住への現在進行形の話。
 仕事に疲れると、KAUAI DIGITAL ....WHAT ELSE CAN YOU SAY?を見たりする。音楽もいいし、ビーチの美しい写真を見ながら、360 DEGREE VIRTUAL TOURSなんてのも楽しめて秀逸です。

投稿者 kazumi : 10:56 | コメント (0)

2004年05月23日

駆けてきた少女

 紹介したくないような、でもしたいような、しないとタイミングも逸しちゃうし……。

 ハードボイルドというと、好きな人は好きだけど、嫌いな人はまったく読まない分野かもしれません。でも、それってきっと気に入ったハードボイルドに出会わなかったからでしょうね。ハードボイルドは、現在のミステリーブーム(というほどのものじゃない)を見れば、必ずもっと多くの読者に受け入れられるはずのもの。
悲鳴
 そのハードボイルドに分類される著者のひとりに、東 直己がいます。ぜったいお勧め。
 この東 直己の新刊が、「悲鳴」(東 直己/ハルキ文庫)です。ただし、2001年に角川春樹事務所から出した単行本の文庫化です。

 すでに読んでいる方もいらっしゃるでしょうから、ちょうど同じころ出た、正真正銘の新刊を。こちらは「駆けてきた少女」(東 直己/ハヤカワ書房)です。
駆けてきた少女
 東 直己は、北海道に住み、北海道を舞台とするハードボイルドを書きながら、根強いファンのいる作家。北海道で、北海道を舞台とするハードボイルドというと、なんとなく想像がつくかもしれませんが、東の書く小説は、実は舞台なんて関係ない。北海道でも、あるいは埼玉でも大坂でも東京でも京都でも、どこでもよかったりします。地名に依存しないところが、歌舞伎町ミステリーや渋谷小説とは一線を画す点でしょう。

 もともと東は、90年代初頭に「探偵はバーにいる」(早川書房)で出てきたんですが、これがまさしく北海道を舞台としたハードボイルド。以来、一貫してこの姿勢を貫いていますが、このデビュー作からして舞台は北海道である必要がなかった。軽妙なタッチで、しかもハードボイルド。この相反する要素を、見事に融合させているんだけど、何てったって寡作で、なかなか新刊が出ない。

 そうこうするうちに、2001年に「残光」(角川春樹事務所)で第54回日本推理作家協会賞を受賞。ファンとして、やっと光が当たったという思いで嬉しかったのですが、しかし相変らずの寡作ぶりは変わらず、新刊が出ない。しょうがないから、以前出した本を再読したりしてるんだけど、それでも30作くらいしかない。

 出たら必ず買う、でも、なかなか出ない。そういう大好きな作家の新刊です。

投稿者 kazumi : 06:06 | コメント (0)

2004年05月20日

新宿歌舞伎町

 打ち合わせの帰りに、新宿に寄って紀伊國屋に行ったら、休みだった。そんな間の悪い日もある。

 紀伊國屋の前を通り過ぎ、量販店でパソコンのメモリなど購入。その後、雨が降り出していたが、歌舞伎町まで足を伸ばす。といっても、帰り道にちょっと寄り道しただけだけど。30年ぐらい前まで、ほとんど毎晩この街をうろついていたが、ここ10年くらいは年に1回か2回ぐらいになってしまった。

歌舞伎町案内人 ちょうど歌舞伎町を舞台とした本を読んでいた。読んでいたのは「歌舞伎町案内人」(李 小牧/角川文庫)だ。日本にやってきて、この街でガイドをやっている中国人の話だ。
 歌舞伎町を舞台とする小説は少なくない。「不夜城」(馳 星周/角川書店)「鎮魂歌(レクイエム)―不夜城 2」(馳 星周/角川書店)といった馳 星周のものは言うに及ばす、大沢在昌「新宿鮫」シリーズは、8巻まで出ている。(しかし、四六で出したあと、タイトル変えて新書で出すのは止めてほしい)

 それらの新宿もののなかでも、ぼくが好きなのは、殺し屋はバスに乗る「殺し屋はバスに乗る」(山本音也/講談社)だ。歌舞伎町の話はほとんど出てこないが、ぼくが知っている新宿に、一番近いかもしれない。

 「歌舞伎町案内人」は、中国人の目から見た歌舞伎町が描かれている。奥の奥まで知りつくしているのだろうが、それが書けないもどかしさもあるだろう。その分、ちょっと深みが足りないかもしれない。

 しかし、歌舞伎町も変わったなあなどと思うのは、確かにぼくが年をとった証拠だ。

投稿者 kazumi : 01:19 | コメント (0)

2004年05月15日

ASIAN JAPANESE

 ちょっと必要があって、Windowsの再インストールを行なった。

 再インストールったって、Windows98、98SE、Me、2000、XPの各バージョンをすべて再インストールしたのだ。泣けた。時間のかかること、かかること。しかし、こうして異なるバージョンのものを一度にインストールしてみると、インストーラーさえもよくなってきているのがよくわかる。

 とにかくインストールには時間がかかる。手間もかかる。CD-ROMを突っ込んで放っておけばいいってわけにもいかず、プロダクトIDを入力したり、設定ボタンをクリックしたりと、ずっとパソコンの前にいる必要がある。WindowsXPになって、少しはマシになったけど。

 インストールに時間がかかるため、その間パソコンの前でASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ〈1〉「ASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ」(小林紀晴 / 新潮文庫)をパラパラと見る。初版が出たのが95年のはず。このとき書店で見つけて購入してるけど、本棚のなかに埋まってしまって見つけ出せない。それが最近文庫で出てるのを書店で見つけ、買ってしまった。

 アジアン・ジャパニーズ以来、小林紀晴は、出れば買う作家になってしまった。作家というか、写真家なんだけど。
 このアジアものは、「アジアン・ジャパニーズ(2)」「アジアン・ジャパニーズ(3)」と続き、さらに「デイズ・アジア」「アジア旅物語―Asian generation」「アジアロード」などに続く。さらに9.11のニューヨークを歩いた「days new york―デイズ ニューヨーク」でも、ニューヨークのアジア人をとらえていた。

 この手の旅ものといえば、古くは小田 実の「何でも見てやろう」(まだあるのかな、とAmazonで探したら、講談社文庫版が手に入るようでした)があり、さらに沢木耕太郎の深夜特急 (1)
「深夜特急(1)」
があり、そして素樹文生の「上海の西、デリーの東」なんかがあるんだけど、小田のものと比べ、ここに挙げたものがすべて、情緒的で限りなくウェットなのは、やはりアジアという特質なんだろうか。そこに惹かれもするんだけど。

 10年ほど前、まだ返還前の香港に取材で行ったとき、泊まったかなりいいホテルの副支配人が日本人で、話を聞いて驚いたことがあります。副支配人として、日本から出向してるというなら話は別だけど、高校を卒業し、単身香港に渡り、職を転々としながらその世界的にも有名なホテルの副支配人まで登りつめたんですね。こんなふうに頑張ってる日本人がいるんだと。

 アジアだけじゃないけど、とくにアジアではどこに行っても、必ず日本人に会う。それはもう、どんな小さな村でもというぐらい。

 小林紀晴には、ほかにも「写真学生」といった小説もあり、これもお勧め。実は小林はぼくと同郷なんですね。どうやら高校が同じらしい。そのためか、この「写真学生」には、妙に共感するところも少なくなくて、心穏やかには読めなかったりもします。しかもそのウェットさも心地よい。しかし、Windowsの再インストールをしながら読む本じゃないな。

投稿者 kazumi : 19:53 | コメント (0)

2004年05月01日

久々の下北沢

 久々に昼前に起きて、午後から下北沢に行ってきた。こちらも久々。仕事がらみ。

 帰りに吉祥寺に寄って、友人の新刊を購入。まあ、友人だから。他に仕事がらみの本を2冊ほど購入し、西友で買い物もしたら、駐車券で駐車場代が無料になった。

女の方式
「女の方式」
(神崎京介/光文社カッパ・ノベルス)

 巻末に、著者リストが掲載されていた。「女薫の旅」(講談社)を筆頭に、46冊にもなっていた。最近の雑誌での活躍もすごい。

 夕方帰宅。ほとんど寝てなかったので、夕食後に爆睡。午前2時に起き出して、ブログなど更新したりしている。

投稿者 kazumi : 05:21 | コメント (0)

2004年04月29日

エラゴン――遺志を継ぐ者

 昼に、昨日Amazonで頼んでいた本が届いた。5冊頼んだのだが、そのうちの1冊が、クリストファー・パオリーニ/大嶌双恵訳の『エラゴン 遺志を継ぐ者』(ソニーマガジンズ)だ。
 実はずっと前から本屋で見つけていたのだが、あまりの分厚さに、本屋で買うのを放棄。Amazonで買う本があったら、ついでに買おうと思っていたのだ。

エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉
エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉

 ハリー・ポッターなんかと同じ、いわゆるファンタジーもの。肩がこらず、気軽に読めて、しかも面白いから、ときにはこんな本もいい。

投稿者 kazumi : 05:21 | コメント (13)