2011年08月17日

『仮面ライダー青春譜』を読む

5歳違うと、こんなにも違うんだ、と些か悔しい想いがした。すがやみつるさんの『仮面ライダー青春譜--もうひとつの昭和マンガ史』(ポット出版)を読んだ直後の感想だ。

もともとは、80年代後半からニフティ・サーブの「本と雑誌フォーラム」に連載されていた作品で、それが同氏のサイトで書き継がれ、やがてブログに移って続けられていた作品。ニフティでのスタートのときからの読者で、こちらも延々と楽しみに読ませていただいてきた。
それが1冊にまとまったのが「仮面ライダー青春譜」である。

仮面ライダー青春譜: もうひとつの昭和マンガ史
仮面ライダー青春譜: もうひとつの昭和マンガ史
すがや みつる
ポット出版
¥1,995円
ISBN:478080163X
2011/08/18発売


実は、すがやさんを知ったのは、コロコロコミックで「ゲームセンターあらし」を連載されていたときだ。78年~83年の連載というから、たぶん80年頃だと思う。こちらは20代半ば、週刊誌の取材で飛び回っていた頃である。
この頃からすがやさんは、大人向け学習マンガという分野を開拓されていて、「こんにちはニューメディア」「饅頭こわい」「一番わかりやすい株入門」などを立て続けに出されていた。

当時ぼくは、週刊誌や月刊誌で金融関係の記事も書いたりしていて、実はすがやさんの本が非常に参考になった。一歩も二歩も先を行くすごい人、という印象だった。

そんなすがやさんにはじめてお会いしたのは、88年のオフ会だった。想像していたよりもずっと若くて、すぐファンになってしまった。大人の学習マンガからコンピュータやネットの入門書も書き、やがて小説家に転身、そして早稲田大学のeスクールに入り大学院まで卒業してしまう。適わないなあ、素直にそう思う。

その頃の話が、350ページ近い「仮面ライダー青春譜」のなかの320ページ目ぐらいのところに出てくる。そう、この本は昭和42年にすがやさんが石ノ森章太郎氏に初めてお会いしてから、「ゲームセンターあらし」で漫画家としての居場所を見つけるまでの、漫画が一番輝いていた時代のマンガ史でもあるのだ。

それとともに、これは昭和という時代に興隆したカルチャーの一部を切り取った、隠れたカルチャー史にもなっている。第5章には、すがやさんの見習い編集者時代の話が綴られている。そこには次々と創刊されていく漫画誌の舞台裏や、漫画の編集現場、そして「赤頭巾ちゃん気をつけて」「海を見ていたジョニー」の漫画化や、「よど号ハイジャック事件」の劇画化といった話まで出てくる。

そういう時代に、ぼくも雑誌の世界に身を置きたかったという意味で、悔しい想いがしたのである。「仮面ライダー青春譜」には、熱い青春期だったマンガの持つ熱気が、いまでも隅々まで充満している。

投稿者 kazumi : 2011年08月17日 15:23 | トラックバック |


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