2005年01月25日

ネット発の話題作

 「電車男」(中野独人/新潮社)のヒットのためか、このところネットから出てきた本が何冊か話題になっています。
実録!鬼嫁日記「実録!鬼嫁日記」(カズマ/アメーバブックス)は、「虐げられる夫」の日記。もともと同名の実録!鬼嫁日記というブログで連載されていたものを書籍化したそうですが、内容は面白いです。

 ちなみに、この版元であるアメーバブックスは、「インターネットの感動をあなたの本棚に」を合言葉に設立された出版社とか。そのインターネットとは、アメーバブログで、その大もとはサイバーエージェントで……、とたどっていくと、なんだかなあ。
 しかし、アメーバブログを見ると、作家ブログという分類で、山川健一「イージー・ゴーイング」片岡義男「メントール・ユーカリプト」素樹文生「イケナイ宝箱 ~ようこそ鬱の世界へ」など、そうそうたるメンバーのブログがあります。
 これって、従来の文芸誌と単行本の関係に似てる。まだ数は少ないながら、ブログで連載して単行本化。しかもそんな作家ブログをいくつも集めている、と。出版界、うかうかしてると、全部IT企業にもってかれるゾ。

今週、妻が浮気します 話題作といえば、「今週、妻が浮気します」(GoAhead & Co./中央公論新社)もジワジワと話題になってきています。
 ドキッとするタイトル。「電車男」と同じように、こちらは「教えて!goo」に寄せられた質問投稿と、それに続く書き込みを書籍化したものです。2ちゃんねると「教えて!goo」という違いはあるものの、掲示板の書き込みがそのまま書籍化されるという時代になったんですね。

 そしてもう1冊。「びっくり爺さんのわしゃHが大好きなんじゃ!―素人さんも玄人さんもいらっしゃ~い」(びっくり爺/秀和システム)。こちらはハッカーへの階段というブログを書籍化したもの。
びっくり爺さんのわしゃHが大好きなんじゃ!―素人さんも玄人さんもいらっしゃ~い ちなみに、大好きな「H」とは「ハッカー」のこと。
 いや~、こういうのまで書籍にしてしまうというのは、面白いんだけど。

 こうして見てくると、編集という職業が少しずつ変化してきているような気がします。時代に合わせた変化ではなく、実は編集者の能力の退化。ネットと出版が、対立し、いずれ融合されるというのは、実はもう20年ほど前から見えていた構図なんですよね。当時の言葉でいえば、メディアミックス。ネット発足のときから、そんなことはわかっていた。当然、そういう形でメディアミックスして出版された本も、もうたくさんあるわけで。
 しかし、掲示板やブログの記事をそのまま書籍化するというのは、芸がないというか何というか。編集の放棄なんじゃないかな。出版の衰退は、さまざまな理由がありますが、この編集者の能力の退化というのも大きな要因なんじゃないかと。

投稿者 kazumi : 2005年01月25日 09:42

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