2004年07月21日

炎暑に「忘れる肌」

 朝まで仕事をしていて、というか、10時近くまで原稿を書いていて、さて寝ようかなと思ったが、あまりの暑さに寝られない。

東京都心、史上最高の39.5度 千葉・市原では40度 - asahi.com : 社会
関東地方は20日、高気圧に覆われて朝から気温が上昇、東京都心(大手町)で午後0時58分に39.5度まで上がり、同地点の1923年以降の観測史上、最高記録を更新した。これまでの最高は94年8月3日の39.1度。午後1時までには千葉県市原市で40度を観測した。気象庁は、日中にかけてさらに気温が上昇するとみており、記録的な厳しい暑さになりそうだ。

 各地の集中豪雨といい、この暑さといい、まさに異常気象。しかも、3台のパソコンを動かしながら、その脇で原稿を書いていると、クーラーも効かない。

忘れる肌
 仕事が忙しくなると、ついつい手近の本に手が伸びてしまう。買ったまま、積ん読状態だった本のなかから、「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)を読む。

 何を読んでもいいんだけど、文庫で、面白くて、現実逃避できる本ということで。ああ、し、締め切りが……。
 読者を本の世界に引き込むという意味では、この手の本は絶品かもしれない。

「いくぞ、由利」
「さあっ、いらして」
「全部、飲み干すんだぞ。おれのものをこぼしたら、承知しないからな」
「ああっ、飲めるのね。あなたのもので躯を染めることができるのね」
 由利が呻きながら、濁った声をあげた。先端の小さな切れ込みに舌を這わせた。鋭い快感が笠全体に生まれた。
「ううっ」
 合田は下腹が弾けるのを感じて、思わず声を放った。
「いくっ」
 白い粘液が幹の中心を駆けあがっていく。手足が痺れる。頭の芯に靄がかかり、すぐさま真っ白になった。
 口の中に溜まる粘液を呑み込みやすいように、いくらか頭をあげて口にゆとりをつくった。喉を鳴らした。二度、三度とつづけて湿った音があがった。
 合田は深呼吸をひとつした。その拍子に、わずかに幹の中心に残っていた白い粘液が押し出されていくのを感じた。
 それも由利は飲み干した。
 顔をあげた。艶やかな表情で、
「最後に残っていたのが、いちばん、美味しかったみたい……」
 と、低い声で囁いた。
「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)

 そうきたか。この小説、「飲み干す」のが鍵になってるな。
 三度は会わないと決めて、気ままに浮気を繰り返す主人公合田は、由利に会ってはじめてこの禁を破ってしまう。それほど由利はいい女なのだ。
 ところが、その由利の美貌と旺盛な性欲で、合田は由利に溺れかけてしまう。合田のつき放そうという言葉が、由利には愛の言葉として受け止められるという、いわばコミュニケーションの不一致。セックスだけを求める合田と、《愛のあるセックス》を求める由利。その由利が、合田にはじょじょに疎ましくなっていく。

 このままいってしまえ。
 合田はそう思った。その考えが浮かび、もっともそれがいい方法だと思った。性欲をぶつけあうだけの関係だとわかるはずだ。そうだ、それがいい。
 ぶぐりの奥で、堰に溜まった白い樹液が溢れそうになっているのを感じる。もうひとつ、快感にまみれたら、堰は切れるはずだ。
 腰を突き入れた。
 先端の笠が、喉の奥の肉にぶつかって歪んだ。そこから鋭い快感が生まれた。
「うっ」
 合田は呻き声を放った。同時に、由利が逃げられないように後頭部を両手で押さえた。白い樹液が噴出した。
「忘れる肌」(神崎京介/徳間文庫)

 結局合田と由利は、最後まで通じ合えない。まあ、合田は通じ合おうなんて、端っから思ってなかったんですけどね。そんな合田に、最後に強烈なしっぺ返しが待っているとは、合田は想像もしてなかったでしょうね。

 と、今回はダカーポふうにまとめてみました。
 さて、こっちもラストスパート。次の締め切りも、すぐ目の前に控えてるし。

投稿者 kazumi : 2004年07月21日 08:51

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